虚構の世界~昭和42年生まれの男の思い~

昭和42年生まれの男から見た人生の様々な交差点を綴っていきます

生きる意味~勝ち組を演じる生き方~

2017-08-10 09:01:38 | 小説
 「ふー、今日も緊張することばかり・・・」
 
 そんな言葉が自然こぼれる・・・。
 滝沢 修、50歳。金沢市のある会社の部長である。滝沢の前には、20個ほどの机が並んでいる。
そんな部下たちを前にして、滝沢は日々演技をしながら今日もギリギリのところで生きている。

 「勝ち組を演じて生きるのもしんどいよなあ・・・」

 一人の時に思わずそんな言葉が浮かんでくる。

 年収1000万円、一戸建て、妻も市役所勤務、子供たちも国立大学へと進学・・・。滝沢の人生は周りから見ると勝ち組のように思われている。

 しかし、滝沢は、いつもギリギリのところで生きている。



 家族のために・・・。そうやって自分を鼓舞して生きている男性も多いが、自分は違うと滝沢は思う。

 自分は、弱い人間だけれど、それを隠して、勝ち組のように演じて生きているだけなんだと・・・。

 人の言動に繊細、傷つきやすい、嫉妬心が深い・・・。
 けど、周囲には、誠実で明るくふるまっている。家族のためにがんばって生きている男性を演じている。

 部下の女性は、「部長の奥さんは幸せですよね」とよく言ってくれる。

 いや自分は・・・。

 そういい夫を演じて生きているだけなのだ・・・・・。

 弱いけれど、強く見せようとして生きている。

 いや幸せになるために、必死に手生きていると過言ではない・・・。

 そんなことを思いながら、滝沢は今日も一日を必死に生きている。