映画少年

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ルーム

2016-10-16 23:30:13 | 日記
 参加を予定していたイベントが雨のため延期となったので、先日ツタヤから届いたDVD(2本)を観ることにした。
 「スポットライト」と「ルーム」。いずれもアカデミー賞受賞作であり、どちらを先に観るか迷った挙句「ルーム」を選んだ。

「ルーム」(Room 2015年カナダ・アイルランド)



 フリッツル事件(オーストリアで実際に起こった監禁事件)を基に書かれたエマ・ドナヒューの小説「部屋」を原作としている。主演はブリー・ラーソンが務めた。なお、ブリー・ラーソンはこの作品で2016年第88回アカデミー賞主演女優賞を受賞している。

(概要)
 17歳の時に誘拐されて納屋に閉じ込められたジョイは、2年後にその部屋(ルーム)で誘拐犯オールド・ニックの子どもを出産する。映画は、その子どもジャックが5歳の誕生日を迎えるところから始まる。 
 「部屋」(ワンルームで、バス・トイレ・洗面台付き。料理もできる)でママであるジョイと一緒に暮らすジャックは、体操をして、テレビを見て、ケーキを焼いて、楽しい時間を過ごしている。しかしこの「部屋」が、ふたりの全世界だった。 ジャックが5歳になったとき、ママはジャックに打ち明ける。「この「部屋」の外には本当の世界があるの」と。そして誘拐犯の束縛から決死の脱出を図るが・・・。

 こうした監禁事件は、日本でも度々起きている。不思議なのは、近くにいる人たちがそれに気づかず事件が長期化すること。近隣住民に無関心という今の風潮もあるのだろうが、犯人が巧妙に発覚を防いでいるとも言える。
 こうした監禁事件は、家族が関係していることも少なくない。むしろそちらの方が多いと思う。この映画のモデルとなったフリッツル事件は、実の父親が実の娘を24年間にわたり監禁したものである。
 2年ほど前、NHKで「消えた子どもたち」というドキュメンタリー番組があった。
親から家に閉じ込められて学校に行かせてもらえない子どもたちの現状とそれに対する学校や児童相談所の対応を取材したものであった。それらの事例の中で、特に衝撃を受けたのが、生まれてから17年間にわたり親から自宅(公営住宅)に閉じ込められていた女の子が、自らの意思で脱出して保護されるという福岡市の事例である。この件については、学校も児童相談所もその事実を知りながら、抜本的な手だてを講じることができなかったことが問題となった。保護されたとき17歳だったにも関わらず、小学生並みの体格だったことが事件の深刻さを物語っている。

 話を映画に戻そう。映画の最後の部分で、もう一度「部屋」に行ってみたいというジャックの願いに応えて母子が「部屋」を訪れる場面がある。残された家具や窓に「さよなら」と声をかけるジャック・・・。そこが世界そのものだったという悲哀とともに、悪夢から解き放たれたジャックの想いを感じる場面であった。

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