とおいひのうた いまというひのうた

自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

イラク女性の占領下日記:リバーベンド 再開12(トルコ軍とは)

2008年02月28日 21時27分44秒 | 地理・歴史・外国(時事問題も含む)
2003年10月18日
   「夕刻のお茶とトルコ軍」
 ほとんどのイラクの家族は、”夕刻のお茶”に集まる。これは、その言葉から想像されるほどフォーマルなものではないけれど、その日がどんなに忙しくても、みんなお茶を待って居間に集う。
 イラクのお茶はティーカップとティーバッグだけの単純なものではない。イラク人に ”ティーバッグ茶”を出せば、軽蔑と物笑いの種になる危険がある。ティーバッグはお茶の玄人に対する侮辱だ。そして価値ある飲み物への感謝の念が完全に欠けていることを意味する。
 お茶を入れる正しい作法は家庭により異なるけれど、一般に3段階から成る。最初に、水を入れたやかんをコンロの上に置いて沸騰させる。次に、熱湯と一定の量の茶葉を大きいティーポットの中に入れ、ちょうど茶葉が浮き上がり沸騰をして吹きこぼれる直前まで弱火にかける。最後に,「小さいポットを弱火にかけた大きいポットの上に置いて」、茶葉を沈殿させるのだ。
  

*(訳注,「小さいポットを弱火にかけた大きいポットの上に置いて」:二段重ねの親子やかん、チャイダンルックを使う)

 市場には何百種類ものお茶を売っていて、最も上質なのはセイロン製。茶はイラク人にとってとても重要なので、経済制裁が課されて以来、配給食糧の大きな割合を占めている。朝食にお茶を飲み、正午にお茶を飲み、夕刻のお茶を飲み、そしてしばしば夕食と共にお茶を飲む。
 イラクのお茶は特別で、「カルダモン」で風味をつけて「”イスティカーン”」で供される。イスティカーンとは、上が平らになった、数字の”8”のような形の小さなティーカップだ。薄いガラス製で、小さなガラスの受け皿か複雑な模様の描かれた磁器の受け皿に置く。お茶の色はちょうどよくなければならない。澄んでいながら濃く、できれば深い赤茶色。

*(訳注「カルダモン」:ショウガ科の香辛料の一種。別名ショウズクとも言う)
*(訳注「イスティカーン」:日本では、チャーイグラスと呼ばれている)

 夕方、私たちはお茶のトレーとビスケットやパン、チーズといった簡単なお茶受けを持って集い、小さなコーヒーテーブルを囲んで座って、経済封鎖や戦争戦略、爆発、政治の話をする。 

      中略

 目下の話題は ”トルコの軍隊”。朝食で話し、昼食の準備をしながら話し、家々を隔てる壁越しに隣人と話す。弟によると、ガソリンスタンドや店先、街角でも同じだと言う。
 実のところ、トルコの軍隊そのものが論じられているのではない。CPA(私注:米国主導の暫定占領当局)に、イラクにトルコ軍を投入するのはとんでもない考え違いだとわからせてやることができない操り人形たちとその能力、いや無能力について議論は展開しているのだ。最近では、イラク人でも属する民族が異なると意見がみんな違っている。でも、トルコ軍は状況を悪化させるだけだということには、すべての人が同意するだろう。
 トルコ軍を導入するという方針に反対する理由はさまざまだ。まず、クルド人とトルコ人の間の遺恨がある。トルコの領土内では、何千人ものクルド人が絶え間ない迫害に直面した。それらのうちの多数はイラクに追いやられたが、この戦争のはじめからずっとイラク北部でクルド人民兵とトルコ軍の間に衝突が続いている。
 次に、トルコがある地域に関心を持っていることを誰もが知っている。すなわち「キルクークとモスル」だ。トルコは4月の ”戦争終了”以来、軍隊を送ることに非常に熱心だ。

*(訳注「キルクークとモスル」:クルド人を最も多く抱えるトルコは、クルド人が石油資源が豊富なこの2都市を制すれば、石油利権を得てクルド独立機運を強めるのは必至とみて非常に警戒している)

 第三に、トルコ人が主にスンニ派であることだ。攻撃的なスンニ派の軍隊の存在は大多数のシーア派にとって目障り。だからシーア派は、トルコ軍駐留を許可しないことに関しては強固だ。
 イラクにおけるキリスト教の1つの教派をなすアルメニア系イラク人も、イラクにトルコ軍を駐留させることに対して断固反対している。彼らにはトルコによる占領、流血、処刑およびイラクに難民として追われた記憶がある。彼らにとっては、イラク国内にトルコ軍を入れると考えただけで恐怖なのだ。
 そして、他にもさまざまな歴史的理由がある。およそ400年の間、イラクはオスマン朝によって治められていた。トルコ帝国によるイラク支配は1918年、英国の占領開始により終わりを告げたが、第一次戦争大戦中に何十万人ものイラク人がオスマン朝のために戦い死ぬのを強いられたことを忘れていない。
 さらに、イラクとトルコ間の問題すべてのうちではささいだが、例の問題がある。イラク人は、ユーフラテス川の悪名高きアタチュルク・ダム(世界で4番目に大きなダム)をまだ忘れていない。私たちは、自分たちの目の前で年々ユーフラテス川が消滅し、多くの場所で小川のようになっていくのを黙って見ていなければならなかった。大部分が砂漠で構成される国で、多くの人が生存を託している川の流れを衰退させていくことは残虐行為だ。
 ともかくイラク人には、なぜトルコ軍導入が断固主張されるのか、まったく理解できないのだ。それとも何か良いことでもあるというのかしら。アメリカは、この地域に ”イスラム教徒の軍隊”を導入することがどれくらい重要か強調する。でも、いったいどんな違いがあるというの?もしトルコ軍が占領軍の監督下で活動するならば、彼らは占領軍となる。宗教は事態を一向に改善などしない。

(後半、要約)もしアメリカが北朝鮮に占領されて、アメリカ人の家屋に侵入して人々を拘束し、戦車と銃で通りを満たしている時、北朝鮮が、大多数がキリスト教のメキシコに支援を頼み、きっとうまくいくだろうと思うと想像してみて。(私は単に米国と北朝鮮の敵対心から、例にあげただけ。なんのニュースソースも持っていないわ) 
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