デ某の「ひょっこりポンポン山」

腎がんのメモリー、海外旅行記、吾輩も猫である、人生の棚卸しなど。

かんわきゅうだい 29 ( パリで句会…前篇 )

2016-05-26 00:25:00 | かんわきゅうだい

 
 「地球俳句」と「土曜俳句」
 俳句に興味がなかった私に、パリの女子高生と句会・吟行する「地球俳句」(2003年NHK-BS)が少し目を開かせました。そして或るブロ友の「土曜俳句」を懸命に読み取ろうとしたこの一年余、更に俳句が身近になったところに前記BSの番組が再放送されました。その間の年月を思いつつ改めて興味深く視聴しました。

 俳句のきまりごと
 案内役は、小説家で「俳句という遊び」(岩波新書)の書もある小林恭二さんと女優の井川遥さん。二人はパリを散策し、小林さんが井川さんに俳句の手ほどきをします。
 【1】匂い、音、目にした光景それら・・・を言葉とし、言葉を「動詞」でつなぐ。
 【2】自由律俳句というものもあるが、基本は五七五の十七文字におさめる。
 【3】季語を入れる。季節感の文学とも言われ旧暦により定められている約束事です。

    

 群鳥が秋の霞をかけていく(遥)
 井川さんの最初の句は『群をなす鳥が霞をかけてゆく』。小林さん「鳥が空を駆けるのはあたりまえ」。井川さん「駆けて(飛んで)行くではなく、群れをなした鳥がカーテンのように霞みをかける光景」だと。小林さんは ほぉ~っ!と・・・その深さに感嘆。最初の句を更に深められ『群鳥が秋の霞をかけていく』と。

 色づいて踊り疲れて眠りかな(遥)
 場所はリュクサンブール公園・・・バリの人々が憩うところです。落葉が地に敷きつめられています。ですから「色づいて」は枯葉すなわち秋の季語。深紅の枯葉が風に舞い落ちる光景が、井川さんにはダンスを踊っているように映ったのでしょう。踊り疲れた枯葉が地に眠る光景に、自身の心地よい疲れも重ねられ・・・

    

 たんぽぽを握りつぶしたその手かな(恭二)
 俳句を作れば単位を貰えると聞き入ったゼミの最初の句会で 小林さんが詠んだ一句。一点も投票されなかったこの句に、教室を出て行く先生が一言「これもなかなかいい句だね」と仰った由。その一言がなかったら今日の小林さんはなく、「パリで女子高生と句会」の企画、放送もなかったかもしれない運命の言葉!

 俳句・・・一瞬にして緊張を解き放つ言葉
 フランス語で俳句、しかも「季語」という概念を入れる。そこで小林さんは フランスの俳人 A.ケルベンさんを訪ねます。ケルベンさんは「フランス語は季節と結びつきの強い言語ですから大丈夫です」「句会では批評を通じてお互いを大事に思うことでしょう」、そして俳句の魅力は「一瞬にして緊張を解き放つ言葉」と。
 ※「咳をしてもひとり(尾崎放哉)」は、ケルベンさんの好きな自由律俳句。
  尾崎は、鳥取県出身の型破りの俳人です。ちょっとお国自慢させていただきました(笑)

 
    

 フランス語17音節、季語などを定めて
 パリの女子高生による大句会。まず五七五の十七文字については、日本の名句をフランス語に訳すと13音節になることから、少し余裕をみて17音節を基本形としました。そして季語については幾つかの言葉を出し合い、秋の季語として「風」「きのこ」「雨」「銀杏」など・・・をフランス版 "臨時歳時記" に。

    

 一人の男が孤独にたたずむ
 小林さんの俳句入門の話の後、句作に移り 小林さんがひとり一人批評、添削し疑問に答えます。写真(上)の女生徒は尾崎放哉ばりの自由律俳句。ただ一人でいるのではなく群衆の中に「一人孤独に」いる!と。小林さんが「もう少し情景を」には「先生は少し謎があるほうがいいと仰った」。小林さん「私の負けです」。

    

 パリの女子高生は みんなオトナです
 句会では一人二点ずつ票を入れます。得票第一位は上左『二人きりで愛し溺れる彩の海』。う~むぅ~・・・思わず唸りました。井川さんの句には票が入りませんでしたが、井川さん「女子高生にあわせようと可愛い句にしたのが敗因」と分析。それにしてもこの句、日本のどんなマセた女子高生でもよう作らないでしょう。

 絶賛! 感嘆! 深くて重厚な心象風景
 小林さんが絶賛した句は上右『鳥の背に涙飛び去る風の中』。どんな哀しみだったのか、泣きぬれたその涙を背にのせ鳥は遥か遠くの世界へ飛び去る。彼女自身が鳥なのか、鳥に彼女の哀しみを託したのか・・・。「私の知る限りこんな句は日本にはありません」と小林さん。パリの女子高生の深くて重厚な心象風景でした。

    

 一挙に全篇と思って書き始めましたが、息がつづきません。「吟行」篇はまた後日UPします。
  それにしても最初にこの放送を視てからもう13年がたったんですねぇ。
  前半の息抜きがわりに、番組中に井川遥さんが口づさむ「あの青い空のように」をお聴き下さい。

 

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