デ某の「ひょっこりポンポン山」

腎がんのメモリー(術後10年クリアーし"卒がん")、海外旅行記、 吾輩も猫である、人生の棚卸しなど。

悼む詩(吾輩も猫である147)

2017-07-04 19:23:13 | 吾輩も猫である
    

 「昨日、悲別(かなしべつ)で」は、北海道を舞台にした1984年の連続TVドラマである。その頃、吾輩はまだ生まれてもいない。日頃はもの覚えの悪い主人、この種のことはなぜか記憶力が良い。吾輩をむんず!と抱き寄せるや「悲別という町を知ってるか?」。

 「し、知りません」と答えると、「では教えてやろう」。「け、結構です」と言ってやめる筈もなく、「如何にも北海道にありそうな町やけど、実在しない架空の町」「ドラマのエンディング・・・伊勢正三 <22歳の別れ>にいつも胸きゅん!きゅん!やった」。


    

 ひとしきり語り終えるとトーンを落とししみじみ「ドラマの<悲別>はともかく別れはいつだって悲しい」「稀に別れて幸せになることもあるが、それでも別れは悲しい。況や永久の別れとなれば尚更に!」「悲しく苦しく涙は枯れ 心は・・・ちぎれる」。

 やがて主人は「人が亡くなることほど辛い別れはない」「お前は経験がないだろうから人の死を<悼む詩> を読んでやろう」と書を取り出した。たまらず吾輩はNHK:BS「岩合さんの<世界の猫歩き」を見ながら主人の話を聴く(ふりをする)なり。
    谷川俊太郎「悼む詩」・・・以下に紹介する詩はこの書より

 なお冒頭からUPしている写真はいずれも前記「世界の猫歩き(イングランド篇)」より吾輩の網膜に残った映像である。以下すべて同様であるが、一点だけ主人が撮った吾輩の写真もある。賢明な読者の皆さんには敢えて説明せずともおわかりであろうが・・・

    

 『ひたむきにみつめたひと/苦しみのさなかにも/輝く瞳を失わず生きたひと/決して目をそむけなかったひと/魂のもっとも深い戦場で/ひとり戦ったひと/哀しみの鎧と苦しみの槍で/ひそかな歓びを守りつづけたひと・・・この地上の明るい陽差の中で/もっと明るい光に憧れやまなかったひと/私たちの知りつくせない物語を/虚空に書き遺してくれたひと/終ることのない生の苦い旋律が/今日から明日へと流れてゆくとき/私たちはいつまでも憶えている/未知の彼方から注がれるひとつの眼差を』(「魂の戦場」より)

 

 『あなたがいなくなったと知った朝/二月の雨もよいの空の下/庭の梅の木が小さな花をつけていた・・・私から触れることはできないとしても/あなたは今も私に触れてくる/風に和む手で 雨に癒される眼差で/星々に慈しまれる微笑みで/明日を夢見ることを許された/一日の終わりに』(「いなくならない」より)

    

 『・・・生きることに疲れきって/空からも木からも人からも/眼を逸らすとき/あなたが来てくれる/いつもと同じ何喰わぬ顔で/駄洒落をポケットに隠して・・・気づかないうちに/私は自分で答え始める/あなたの新しい物語の中で/あなたとともに生きようとして/あなたの魂の吹く笛の音に誘われて/ふたたび私は取り戻す/空に憧れ木と親しみ人を信ずることを・・・ひとり途方に暮れるとき/あなたが来てくれる/言葉なく宇宙からの一陣の風のように/私たちの記憶の未来へと/あなたは来てくれる』(「来てくれる」より)

    

 谷川俊太郎の詩の一節・・・『私たちの生きているのは/果たされなかったきみの未来/自身の祭壇に自らをいけにえとして/きみが証ししようと望んだもの』。遺された者には「サバイバー・ギルト(生き残った者の罪悪感)」ではなく胸に刻むべき遺志なるか・・・



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11 コメント

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上砂川駅 (遠音)
2017-07-05 06:58:32
おはようございます。
過ぎた日 もういちど故郷をたずねようと・・
上砂川駅へ行くと何「と悲し別駅」となって居るでは!
***********
昨日、悲別で・・・

JR函館本線の(旧)上砂川支線の終端駅で、映画「駅 STATION」やテレビドラマ「昨日、悲別で」のロケ地に利用されました。

テレビドラマ「昨日、悲別で」では、劇中で架空の町「悲別」の駅と設定され、一躍ブームとなりました。

その後に廃線・廃駅となり、しばらく閉鎖されていましたが、映画やテレビドラマのファンが数多く来町して、町の観光の柱として重要な役割を担ってきたため、駅舎内にドラマ撮影当時の時刻表や写真・パネル・色紙等を展示して公開しています。
**********
何だか廃線はともかく 駅が別名になっていて
びっくりしたのを覚えております。
この駅を横目に4キロの道のりを歩いて通った
中学生時代 この鐵道を利用して通った高校時代が ふいに消しゴムでゴシゴシ消された様で
不快になりました。
返信する
Re: 遠音さん (デ某)
2017-07-05 09:15:56
遠音さん
お早うございます
いま起きて コメント欄を閉じなくてはと・・・。
でも コメントくださっていて嬉しかったです。
やっぱり しばらく 開けておこう と思いました。
ありがとうございました。

> 過ぎた日 もういちど故郷をたずねようと・・・
> 上砂川駅へ行くと何と「悲別」駅となって居るでは!
> 劇中で架空の町「悲別」の駅と設定され、一躍ブームとなりました。

上砂川駅。
ドラマ、映画では悲別駅であっても 厳然と上砂川駅ですからね。
私の郷里の 境線「余子」駅。廃線にはなっていませんが 今は無人駅です。
漫画家 水木しげるの生地、「妖怪の町」として観光化されて以後
大きな字で「こなきじじい」駅と書かれ、本名!の「余子」は小さな字になりました。
商店街は土産物店街になり 食糧・日用品は巨大スーパーで買うようになりました。
お年寄りが多いのに お年寄りには住みにくい町になりました。

> 廃線はともかく 駅が別名になっていて びっくり・・・。
> 駅を横目に4キロの道のりを歩いて通った中学生時代 この鐵道を利用して通った高校時代が
> ふいに消しゴムでゴシゴシ消された様で 不快になりました。

長く日常であった風景が 一瞬の非日常に塗り替えられて・・・。
もう一つの「悲別」物語でしょうか。

わが町の境線にも かつてSLが走り
余子駅の100m程ある長いホームに通勤通学の乗客があふれていました。
駅への道も駅のホームも車内も 日常の延長にある社交の場でした。
無人化された今 長いホームに降り立つ人は往時の1割もいません。

そうした現在の風景が・・・今ここで育つ子らが年老いる頃
どのような風景に変貌し 如何なる郷愁と感慨を誘うのでしょうか・・・。
返信する
見つけて~~! (遠音)
2017-07-05 12:35:47
コメント欄を閉じる理由がデ某さんにあるとも思えず
人の境地はまことわからないものですねー

お嫁さんは如何ですか?
サヌ・ヒロさんは 奥さまの手術10日になるようです。 公開していませんのでよろしくね。
気に掛けて下さっていると思いましたので。

ブログ訪問しているのですよ。 でも更新が
あまりないので 気が付かないのです。
書いて下さいネ
「サマータイム」 YouTubeで捜しましたが(サックス)で。あまり古いので無いのかも・・デ某さん捜して下さい。 わたしのCDに入っているのは
「夕日に赤い帆」もあって この曲見つけたいなー
お願いします。 見つかったら私の所へ貼って下さ~い。 したっけネ~
返信する
お元気ですか? (moka)
2017-07-05 17:20:09
シマくん、デ某さん、こんにちは。
コメント欄開けていて下さって良かったです。

可愛い猫の姿とたくさんの悼詩…
シマくんの可愛い姿もしっかりキャッチしましたよ。ありがとうございます。
返信する
Re: 遠音さん (デ某)
2017-07-05 22:40:51

遠音さん
再コメント ありがとうございました
出かけていて お返事が遅れ 申し訳ありません。

> コメント欄を閉じる理由がデ某さんにあるとも思えず
辛くて重い内容でしたので 敢えてシマに書かせました
それでも コメントのやりとりはしづらいかなぁと・・・。

> お嫁さんは如何ですか?
> サヌ・ヒロさんは 奥さまの手術10日になるようです。

今月末頃に2回目の・・・(また別の機会に記します)
サヌ・ヒロさんのご連絡、ありがとうございました。
しばらくは・・・見守らせていただこうと思っています。 

> ブログ 訪問しているのですよ。 
> 更新があまりないので 気が付かないのです。書いて下さいネ
此頃は概ね1週間に1度のペースの更新です
書きたいことはいつも山ほど?ありますが、タイミングが難しいです。
自分のペースだけでは書き連ねしづらくて・・・

> 「サマータイム」 YouTubeで捜しましたが 余り古いので無いのかも・・・デ某さん捜して下さい。 
すぐ見つかりましたが、お求めの曲とは異なるのでしょうか・・・
ここの末尾にリンクを貼りました。

> したっけネ~
妻は中旬からまた函館へ・・・
介護はたいへんですが、気候的には「人権蹂躙の関西の夏」を離れられます。
ではではしたっけね~!

ノラ・ジョーンズ「サマータイム」
https://www.youtube.com/watch?v=xJOtaWyEzaI

ジャニス・ジョプリンでも・・・
https://www.youtube.com/watch?v=bn5TNqjuHiU

マリア・カラスでは・・・
https://www.youtube.com/watch?v=alrBe2XF0IA

フランク・シナトラの場合は・・・
https://www.youtube.com/watch?v=ltZNpxbjQyM
返信する
Re: mokaさん (デ某)
2017-07-05 22:54:27
mokaさん
コメントありがとうございます
昼前から外出し レスが遅れて申し訳ありません。

> コメント欄開けていて下さって良かったです。

mokaさんもブログにUPされていましたし
繰返し触れられるのも・・・と思い コメント欄は閉じるつもりでした。
でも遠音さんはまた別の視点からコメントくださり
mokaさんもWることなくさらりと・・・。
あぁ 開いておいて良かった、と思いました

> 可愛い猫の姿とたくさんの悼詩…
> シマくんの可愛い姿もしっかりキャッチしましたよ。
敢えてシマに書かせました
気持ちを汲んでいただけて嬉しいです。
ありがとうございました

遠音さんの「Summer time」をさがしていて Janis Joplin に再会
そしてたくさんある「The Rose」の中でもひときわ光る Janis Joplin「The Rose」を
mokaさんにおくります
https://www.youtube.com/watch?v=-gUbRVl794M
返信する
Re:遠音さん (デ某)
2017-07-06 07:28:32
遠音さん

鍵コメ?が開きましたらまた・・・。
なお、このブログの右側の欄の上のほうに
「メッセージ」というタブがあります。
そこの『メッセージを送る』をクリックすると
非公開のコメントが送受信可になります。

「サマータイム」・・・歌!ではなかったのですね。
また ハズレ!かも知れませんが以下に・・・。

サムテイラーのサックスで「サマータイム」
https://www.youtube.com/watch?v=rbywtcrFbGM

ジョージ・ガーシュインの「サマータイム」
https://www.youtube.com/watch?v=K6DI6ysDemk

サムテイラーのサックスで「夕陽に赤い帆」
https://www.youtube.com/watch?v=1bVbucWij_c

返信する
そのあと (風のフェリシア)
2017-07-06 08:21:56
私は「そのあと」が好きかな。
とくに「もうあとはないと思ったあと」のフレーズ。
しかし、谷川俊太郎さんは息の長い詩人ですね。

デ某さんも、2014年に出版された詩集「悼む詩」に親しむって、おそらく私と同い年なのに感性が瑞々しいと驚きました。

私のなかに「詩」は若者のものという偏見があるのかな?

返信する
Re: 風のフェリシアさん (デ某)
2017-07-06 09:39:11
風のフェリシアさん
お疲れでしょうに コメントありがとうございました
私は フェリシアさんにコメントしたくてウズウズ?しているのですが、
お気を遣われては・・・とできるだけガマンしていました。
恐縮しつつ・・・嬉しいです。
コメント欄、やっぱり開いておくものですね。

> 私は「そのあと」が好きかな。
とくに「もうあとはないと思ったあと」のフレーズ。

方々で引用される有名な作品で、この詩集では巻頭に載せられています。
『もう後はないと思ったあと
 すべてが終わったと知ったあとにも
 終わらないそのあとがある』
終わらないそのあと・・・後!であり跡!であり痕!
残し刻んでまいりたいと思います、お互いにね。

> しかし、谷川俊太郎さんは息の長い詩人ですね。

か細い体躯の型ですが、精神も知性も並外れて頑健でいらっしゃるのだと思います。

> デ某さんも、2014年に出版された詩集「悼む詩」に親しむって、
> おそらく私と同い年なのに感性が瑞々しいと驚きました。
私の感性はもうとっくにしぼんでいますけどね
感傷といいますか 郷愁といいますか・・・
そうしたものが何かに触発されると沸々と湧いてまいります。

> 私のなかに「詩」は若者のものという偏見があるのかな?

若者には若者の詩しか書けませんから・・・。
老いることが「そう悪くない」と思われ始めると
気持ち!少し若くなるかもしれませんし(笑)
気持ち!少し若い詩が書けるかもしれません。

コメント、ほんとうにありがとうございました。
術後最初の3か月が特に大切ですから、しっかりご養生なさってくださいね。
京都にいらっしゃる機会がおありでしたら
お互い「寛解にはまだちょっと早い」ですから(笑)
祈!寛解プチオフ会 などいたしましょう
返信する
大雨 (リーのママ@電車)
2017-07-07 08:58:38
九州地方は大雨で大きな被害が出ました。今朝は、JRの運休区間ギリギリセーフで電車が動いて、無事職場に向かっています。本数が少ないのでいつも以上にすし詰め。私は幸い座れたのでラッキーでした。
今週の月曜日に、私も友人と2年前逝った友人を偲ぶ会をしました。
若く才能溢れる彼女が、なぜ先に逝かなくてはならなかったのか、神に問いたい思いです。
友人達と、毎年偲ぶ会をしようと話して1年ぶりに会いましたが、私達の中には彼女は生きていると思いました。
母が逝ってもうすぐ2年。
母も我が家のあちこちで父や私達を見守っているようです。
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