今までに描いたはがき絵をいろは歌に沿って紹介していくシリーズが四周目に突入です。現代仮名遣いにない「ゐ」と「ゑ」はとばします。「を」と「ん」で始まるはがき絵もありませんので、全部で四十四作品を紹介する予定です。
四周目はお絵かきのチャットゲーム「あつまれ!おえかきの森」で「相方」なる人物と合作した投稿絵を中心に紹介していきます。いわゆる「はがき絵」として描いたものではありませんが、新たに解説文を付けて紹介していきますのでお付き合いください。
四周目の第九回目は「お」「く」「や」の三つです。
『お』・・・オウムガイ
生きた化石と呼ばれる動物はいくつかありますが、オウムガイもその一つです。中生代のアンモナイトに似ていますが、そのルーツはもっと古く、古生代のチョッカクガイなどと共通の祖先を持つそうです。その祖先の誕生はおよそ4億5000万年前から5億年前ぐらいまでさかのぼるそうですから、まさに生きた化石といえるでしょう。深海にすんでいるイメージがありますが、あまり深いところにはいないようです。殻の構造から、あまりに深いところでは水圧により殻が壊れてしまうのだそうです。オウムガイという名ですが、貝というよりはイカやタコに近い仲間で、頭足類といいます。触手は90本ほどもあるそうです。
バックを黒く塗りつぶして、周囲にぼんやりとクラゲやクリオネなどをあしらってあります。ちなみに「オウムガイ」は俳句の季語ではありません。
・オウムガイの知恵柏落葉の知恵 いさな歌鈴
・まっしろな春へ伸ばすオウムガイの触手 いさな歌鈴
・短日の回転ドアからオウムガイ 黒田 崖
『く』・・・クローバー
クローバーの葉を何枚か描いて「聞」という字を書き添えました。「クローバーの声が聞こえる少女」というのをテレビで見て驚いたことを思い出したのです。その少女はクローバーの声を聴いて、四つ葉のクローバーをいとも簡単に見つけるのです。非常に興味深く視聴しました。
「クローバー」は俳句では晩春の季語になっています。「苜蓿(うまごやし)の花」という親季語の傍題になっていますが、苜蓿とクローバー(シロツメクサ)は別種の植物です。苜蓿の花は黄色、クローバーは白い花をつけるのでシロツメクサとも言います。赤紫色の花をつけるアカツメクサというのもあります。
・しづしづとクローバを踏み茶を運ぶ 高濱 虚子
・クローバー踏まねば行けぬ滑り台 佐藤 美恵子
・白詰草たどれば渡来人の裔 柿本 多映
『や』・・・焼きおにぎり
香ばしい醤油の香りが漂ってきそうな焼きおにぎりを描こうと思い立って相方と合作しました。おむすび(焼き結び)とも言いますので「結」という字をデザインして書き添えました。
冷凍食品のニチレイが制定したところによると10月8日は「焼きおにぎりの日」だそうですが、俳句では季語になっていないと思います。「握り飯」などでも調べましたが、季語として扱っている句は見つかりませんでした。
・羅の人のくれたる握り飯 岸本 尚毅
・二三人若草に座して握り飯 正岡 子規
・稍醉ひし月の酒宴や握飯 正岡 子規
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