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香水と酒とコスメとウマいものについて語りたい

Parfums Dusita ERAWAN / OUDH INFINI / FLEUR DE LALITA

2018年06月06日 | 香水
引き続き、ドゥシタのサンプルレビューです。


エラワン
ERAWAN

トップ:ハーバルノート、プチグレン
ミドル:ミュゲ、ベチバー、ヘイ、モス、リアトリス、クラリセージ
ラスト:シダーウッド、オークモス、バニラ


薄い黄緑色が素敵なボトルの香水です。

甘い干し草に包まれているようです。
プッシュしたてはクリーミーでとってもあまーい!でもハーバル!で不思議な感じなのですが、すぐに落ち着いて穏やかな丸みを帯びた、上品な甘さに落ち着きます。
このドゥシタの香水、どれも上品であまり強く拡散しなくて、非常に日本の気候に向いてるな、と感じてるとこです。
周りに強く主張する香りではなく、自分一人のためのリラックス空間が、肌上2cmで展開されています。
メロディ・ド・ラムールと同じで香りの移り変わりは少なく(もしかしたらあるのかもしれないけれど、非常にバランスのとれた香りのため、一体化しているようにしか思えない)、気難しさゼロの使いやすさ。

つけたての頃はどことなく花の甘さも漂っていて、緑が濃くて雨が近い5月~6月頃に、街路樹や植え込みが多い道を、どこか遠くで咲いている甘い花の香りを探して歩いている…ような気持ちになりました。
湿気と緑の匂いに混じった、花の芳しさです。
これホント、きれいな香りだなぁ…。

ベチバーやクラリセージ、ミュゲなんかも入っているそうですが、何かの香料や要素を突出して感じず、ふんわりとした甘い草、淡い霧に包まれるイメージです。
白いサマードレスのフェミニンな女性には意外性があって案外ハマりそうだし、マニッシュなブラックスーツの女性もカッコ可愛くまとえると思います。
フレアスカートが揺らめく裾からこの香りがしたら、クラクラしそう。

消えゆく儚い甘さが惜しくて、重ね付けしたくなっちゃう。結構中毒性あるかも。
持続については、7時につけたら13時にはちゃんと残ってる。拡散性の低さは変わらないため、肌の近くで深呼吸しないと分からないけれど。
19時過ぎにはさすがに跡形もなく消え去っていました。

最後に陶酔するような柔らかく甘いバニラを残して消えていくところが、ふとランスタン・ド・ゲラン(パルファム)を思い出しました。
匂いは似ていませんが、なんとなく印象が似ています。
このハーバルさとラストのバニラで、同じくゲランのアンジェリーク・ノアールとも似てるかもしれないな、とちょっと思いましたが、ちゃんと並べて嗅ぎ分けてみると全然違いました。
ERAWANはかなり独特で、ありそうでなかった素晴らしく美しい香りです。購入決定。ボーナス出たらフルボトル買います。
夏はランスタン使えないので、エラワン使えないかな? グルマン好きは夏も甘い匂いが欲しいんだ!
(一方で柑橘系も大好きでよく使いますが)

閑話休題。
ユニセックスですが、女性も満足して使える甘さと思います。くどくない爽やかな甘さなので、フルーティーな甘さに飽きた人なら、このエラワンはとても新鮮で良いのではないかと。
男性も、そこまで難しくなく気持ちよく使えるのではないかな。
グルマンラバーには、ぜひ一度お試しいただきたい逸品。

涼しい気候で試したので、暑くなってからだとまた感想は違うかもしれません。


ウード・アンフィニ
OUDH INFINI

トップ:ウード、ローズドゥメ、オレンジフラワーブロッサム
ミドル:ベンゾイン、マイソールサンダルウッド
ラスト:マダガスカルバニラ、ムスク、シベット


獣だ!!昨今、こんなに強烈な獣臭さは都心じゃまずお目に…お鼻にかかることはありません。
凄まじい個性を持っているので、とにかく圧倒されます。
物凄い玄人向けです。
ただこの獣臭さ、競馬場…と思いきや厩舎というほど激烈でもなく、フローラルなアニマリックです。
あ、うちの家族に猫二匹いますが、彼らはあまり強い体臭をもたず、場合によっては香ばしい甘い匂いさえさせているので(猫の激せまおでこ、めちゃいい匂い)、この香水は家猫より濃い獣臭であることには間違いありません。
最近手に入れた元祖オピウム(1977年版)ですらここまでアク強くない…。ただ激しさは実はトップの間だけで、次第に獣と花の主張が入れ替わっていきます。

アニマルがやや後退する頃には、芳しいウードと深みのあるフローラルが表に出て、麗しい個性を示します。
こうなると、アニマリックはアクセントになって、時折影からひょこっと顔を出す、といった趣に。
余程鼻を近づけない限りは、フローラルやウッディの方がやや広く拡散し(ただし拡散しすぎるというほどでもない)、他の人からしたら「やたら芳しい香りのする人だなぁ」という印象になると思います。
お着物に最適です。男性の紋付きなら、物凄くハマりそう。

ラストに獣がいなくなった後はまるでご褒美みたいに、控えめでありながらも煌めいてやまない、サンダルウッドと薔薇に彩られた、それはそれは美しいウードになりました。
トムフォードのウードウッドも持ってるけど、美しさと自然さという点においてはウードアンフィニに軍配をあげたい。
アニマル部分もローズでウードな部分も、不思議と自然です。
ビックリするほどアニマリックなのに全然嫌味がなくて、ナチュラルな獣臭さからナチュラルなウッディへスムーズに移行していきます。

ウードウッドが、ロンドンのなよやかなグレイヘアの老紳士だとしたら、ウードアンフィニは腕に鷹をとまらせたアラブの若いイケメン王子(脱いだらガチムチ)のようです。
これ、灼熱のアラブ(平均気温40度)みたいな土地のほうが、美しく香らせやすいのではないだろうか、と予想。
だれかドバイでこれ試してみません?


実はこの香水の癖が強いことは知っていたので、ちょっとイレギュラーな試し方をしています。
腕にプッシュするところまでは普通ですが、直後にお風呂に入りました。
極力腕を濡らさないようにし、手っ取り早く体温を上げて展開を早くする狙いです。
もったいない試し方だと思います。が、私にはこの獣を飼いならせないのは分かっていたのでつい…。
狙い通り、割りと早々と香りが移り変わっていきました。先に述べたように、香りが変わるというよりは、目立つ要素が入れ替わる、といった方が正しい気がしますが。
獣が多少鳴りを潜めても、暗い影はどうしても拭えず、ウッディの心地よさに紛れて鼻先がチラチラ見えてしまう。
大きな古い洋館の、黒い木製の家具に囲まれた部屋の壁に、見事な角を称えた鹿の頭が飾ってあるのを何となく思い浮かべてしまいます。
最後には、古くて黒く艶々した木の机にひたりと頬を寄せてうんと深呼吸したときの、肺の中からすうっと気持ちの良い木の香りで締めくくります。
このラストが本当に、得も言われぬ美しさです。
多分今回試したドゥシタの香水の中で、このウードアンフィニのラストが一番「美しい」と思います。後を引き、記憶にいつまでも残るかのような麗しさです。
この香水、本当にすごい。

古くさくはないのに、そこはかとなくレトロというか、過ぎ去った時代へのノスタルジーを感じるというか、ともかく若い人には無理そうな香りです。
もしうら若いお嬢さんがこれをまとっていたら、失礼ながら三度見くらいは平気でしてしまいそうです。
それくらい、「えっ!」と思わせる香水です。
かろうじて、田舎の凛とした黒髪少女・おじいちゃんおばあちゃんっ子で部活は剣道or弓道、みたいな女子ならいけるかもしれない…。
着物の帯を締めてしゃんと立つマダムには、普段お使いのミツコ様、シャリマー様に加え、こちらもラインナップに入れてみてはいかがでしょう?

我こそはこの荒々しい獣を飼いならせてみせる、という方なら、ぜひ試してもらいたいです。
とても面白い香水であることには間違いありません。


フルール・ド・ラリータ
FLEUR DE LALITA

トップ:ローズ・ドゥメ、ジャスミン、マグノリア、ユリ、ガルバナム、イランイラン
ミドル:アンブレットシード、フローラルノート
ラスト:マダガスカルバニラ、マイソールサンダルウッド、トンカビーン、アンバーグリス


ストライクゾーンが女子高校生~25歳まで、永遠にお風呂入りたてのフレッシュで甘い若々しさ。
いい意味で上等なシャンプーのような香りがします。厳密にいうと、シャンプーと石鹸と、とにかく女性受け(男性受けも)するイイ匂いをこれでもかと集めた香り。
それでいて、ほんのちょびっとだけシックな感じがして、決してチャラくないです。
そこそこ偏差値高くて育ちのいいおっとりお嬢さん女子大生、みたいなイメージが頭に浮かびます。つまり、私は完全に射程範囲外です。
それでも良い香りであることに変わりはなくて、非常に良い印象です。
なんというか、いいお嬢さんだろうし、いいお嫁さんになりそうだなというか…全体的に育ちの良さみたいなのが滲み出ます。
春夏向けで、翳るところのないお日様の下の明るくて優雅な香りです。日本人で、香水初めての女の子でも全然難しくないです。
ここのブランドはすべてそうですが、香料が上質なので頭痛くならないし、消え入り方も美しい。
プッシュ量さえ間違わなければ、無意識のうちにいろんな場所で男の子をメロメロにしていく、無邪気な天使になりそうです。
これは、小悪魔になる香水ではありません。そういった翳りが無いので。そのこともあって、昼間向きです。
女子大生が夜間にちょっと冒険するなら別の香水がある。こちらは朝、家を出る前にシュッとしてほしい。

バニラ入っているらしいですがかなり時間たっても分からず、サンダルウッドが際立つこともなく、フローラル一本勝負って感じでした。
水っぽさというか、瑞々しい潤いに満ちたフラワーで、そこもシャンプーぽかったです。


クロエやランバンはちょっと安っぽいしかぶりすぎてイヤ、シャネルやディオールは強すぎて無理、なそこ行くお嬢さん。こちら試してみてください。