goo blog サービス終了のお知らせ 

ヴェネチアへ行こう

タイトルは私が猫好きで、街全体で猫と共存していこうというヴェネチアに憧れてです。でも内容は日記みたいなもんです。

「獣の奏者」の感想

2008-11-11 22:13:40 | 好きな本
「獣の奏者」を読み終えました。

あらすじ(アマゾン「出版社からの紹介」より)
獣ノ医術師の母と暮らす少女、エリン。
ある日、戦闘用の獣である闘蛇が何頭も一度に死に、
その責任を問われた母は処刑されてしまう。
孤児となったエリンは蜂飼いのジョウンに助けられて暮らすうちに、
山中で天を翔ける王獣と出合う。
その姿に魅了され、王獣の医術師になろうと決心するエリンだったが、
そのことが、やがて、王国の運命を左右する立場にエリンを立たせることに…。

これまで上橋さんの作品としては
「守り人シリーズ」と「精霊の木」しか読んだことありませんが、
それらの作品や上橋さんの経歴から、
侵略者の先住民への仕打ちに対する怒りや悲しみのような思いが
作品となって表れていると思っていましたが、
この「獣の奏者」を読んで、
上橋さんは民族の違いから来る差別だけでなく、
動物、植物、この世の生きとし生けるものすべてが
ありのままで生きていくことが美しいというか
自然なことと考えているんだなと感じました。
違うことは当たり前、
違いを受け入れることは自然なことだと。

このように文章にまとめちゃうと
「そんなの当然じゃん」ってなるけど、
実際同じ日本人同士でもちょっとした違いから
(今B'zの「今夜月の見える丘に」の
ちょっとした違いにつまづいて
が浮かんできちゃいました
わかりあえなかったりするし、
人間でくくってしまえば、
人間と他の生物とを分けて(差別して)考えることが普通ですよね。
そういうことが不自然だと
この作品の中で感じました。

でも改めてこれまでの既読作品を思い返してみれば、
どの作品にも、人間同士の差別だけでなく、
この世界のすべてにおけるそれぞれの生の違いへの
差別はおかしいという考えが表れていたと思います。

「守り人」の新ヨゴ皇国もそうでしたが、
「獣の奏者」のリョザ神王国も
神の子孫が国を治めてるってとことか
日本ぽいですよね。

先日「獣の奏者」がアニメ化になるらしいと書きましたが、
主人公のエリンの絵がNHKのHPに載ってました。
http://www.nhk.or.jp/etv50/detail.html#5
う~ん・・・
「精霊の守り人」の絵を想像してたので、
なんかイメージが違うような・・・
この作品はエリン中心に話が進みますが、
「王獣」と「闘蛇」が主人公といっても過言じゃないので、
これらがきれいに描かれてることを祈ります

以下ネタバレあり
ダミヤって胡散臭い男ですよね。
もし「獣の奏者」が実写化されるなら(まずありえない・・・)
ダミヤはデビット伊東にお願いしたい
最近のデビット伊東は一癖ふた癖ある悪役というか
胡散臭い人間演じさせたらピカイチなんで。
でもダミヤはデビット伊東よりもっと若いだろうし、
なにより女にもてるみたいなんで、
胡散臭い以外がデビット伊東では難しいところが残念。
女に声を掛け捲るという点では石田純一なんだけど・・・

上橋さんの作品は
ストーリー的にあんまりがっちり恋愛関係を
描かれないのは仕方ないと思いつつ、
エリンは誰とっていうのも楽しみの一つです。
だってリランはちゃっかり子供まで作っちゃったもん
エリンにも幸せになってもらわなくっちゃ
闘蛇編でトムラが出てきたとき、
こいつかぁと思いましたが、
イアルが出てきたらもう用済みです(言い方ひどくてすみません)
私の中では「守り人」のジンと被ります。
きっと中身だけなく容姿もイケてるはず
アニメのジンのように
職業も被ってるし。
でも最後にたいへんなことになっちゃったし、
恋愛してる時間なんてエリンには当分こないのかも。

守り人シリーズ

2008-09-28 19:08:23 | 好きな本
昨日NHK総合で放送中の「精霊の守り人」が最終回を迎えました。
それと同時に私の守り人シリーズも読み終えました。

アニメの「精霊の守り人」はその名のとおりシリーズ1冊目の
「精霊の守り人」が主となった内容でしたが、
途中のエピソードなんかは「夢の守り人」や「闇の守り人」
から持ってきたものも含まれてました。

原作の「精霊の守り人」文庫化にあたっての内容紹介
『老練な女用心棒バルサは、新ヨゴ皇国の二ノ妃から皇子チャグムを託される。精霊の卵を宿した息子を疎み、父帝が差し向けてくる刺客や、異界の魔物から幼いチャグムを守るため、バルサは身体を張って戦い続ける。建国神話の秘密、先住民の伝承など文化人類学者らしい緻密な世界構築が評判を呼び、数多くの受賞歴を誇るロングセラーがついに文庫化。痛快で新しい冒険シリーズが今始まる。』

私がこの作品を知ったのはアニメとの出会いがキッカケで、
原作にないチャグムの町での暮らしなどが含まれていて
先が知りたくて我慢しきれなくってアニメをあと
10話ほど残すくらいで原作1作目を読んでしまいました。
この守り人・旅人シリーズは番外編を除けば7タイトル、
冊数としては10冊あるんです。
1冊目を読んで、バルサとタンダの今後やチャグムの運命が知りたくて、
ほぼ一気に読んでしまいました。

一応ジャンルとしては児童書になるんだけど、
私自身は児童書の対象年齢(小学生くらい?)の時ではなく
今読めてよかったと思ってます。
内容としてどの世代が読んでも、
自分がまた何年か年をとって読んでも
また新しい発見や気づきがありそうな
そんな深い内容の作品だと思います。
特にナユグって世界観には共鳴しちゃいます。

以下ネタバレというか感想文
ネタバレってほどではないんだけど、
「蒼路の旅人」だったかチャグムがとらわれた先で
あけすけな女性からの誘いを受けるんだけど、
1冊目ではまだまだママのおっぱいが恋しいって感じの子供だったのに
そんな年齢になったんだと思うと感慨深くて
行く先々でモテモテだし。
そんな風に急速に成長していくチャグムに比べて
バルサとタンダはどんなにバルサが否定しようと
お互いにはお互いしかいなくて、
「昔は夏のような熱い思いもあったけど、今は秋のような穏やかな気持ちだ」
っぽい季節に例えてタンダが自分の気持ちを表してたけど、
タンダは秋といっても残暑厳しい暑い秋のような気持ちを
隠しもしないで猛アピールしてるのに
バルサは彼女のそれまでの人生がそうさせてしまうんだけど、
涼しい顔して、自分の暑い気持ちをはっきりさせなくて
タンダの腕のことは悲しくて泣いてしまったけど、
最後にバルサがタンダの小屋に帰ってきた時
「おーい、かえったよ」
は感動しちゃいました。
彼女があの小屋に来たときに
「かえったよ」
と声をかけたのはあれが初めてでは
おそらく今後もとうぶんは彼女の生業は用心棒で
家を空けることもしばしばだろうけど、
それでもやっと帰る場所ができたんだよね。
タンダとの子供もできちゃうかも

一応はこのシリーズは終わりということですが、
まだまだタルシュ帝国には油断できないし、
チャグムの恋愛話なんかも知りたいし。
まだ番外編を読んでないので、もしかしたらその番外編に
含まれてるかもしれないけど、
個人的にファンのジンの話をもっと知りたい
ので上橋さん、また物語が降りてきたら書いてください

ファントム・ピークス

2008-03-20 10:39:35 | 好きな本
休日出勤だいぎいついでにもう1ブログ投稿。
パソコンが壊れてる間、図書館利用に目覚め
延滞なんて迷惑行為もたまにしつつ、ただいま利用中です。
今現在借りている小説の感想です。

「ファントム・ピークス」
長野県安曇野。半年前に失踪した妻の頭蓋骨が見つかり、
三井周平は絶望していた。
しかし、なぜ、あれほど用心深かった妻が、山で遭難し、
しかも現場と思われていた場所から、
遥かに離れた場所で発見されたのか?
数日後、沢で写真を撮っていた女性が、
一瞬目を離した隙に行方不明になる事件が発生。
妻の事故との類似点に気づいた周平が捜索を手伝うことになる。
しかし、それは、恐怖の連鎖のきっかけにすぎなかった!
人間をあざ笑うように、次々と起こる惨劇。
山に潜む、かつてない凶悪なモンスターとは!?(帯より)

この小説を知ったきっかけはテレビで紹介されてたこと。
作者が元映画宣伝会社のプロデューサーで
45歳の若さで癌で他界。
存命時からさまざまな小説大賞に応募し、最終選考に残るものの
受賞は逃していた。
そんな作者の思いを世に出そうと
死後仲間たちが、さまざまな出版社に原稿を送り、
晴れて角川書店のからの出版となった。
その角川書店の担当者が言うには、そでに他界している新人の
作品を出版するのは異例のことだそう。
出版社が新人を売り出すメリットとして、
その才能を買うことが最大だそうで、
この作者はすでに亡くなっており、
他の作品も残してるだろうけど、
将来性という意味ではないに等しいですよね。
それでもこの作品の魅力にとりつかれたとか、
言ってました。

以下ネタバレ注意
ミステリー好きな私は、
読む前は犯人は凶悪なでも悲しい過去を持つ人間と推理。
読み始めてからはこの小説の中だけの
未知の生物が犯人と思いながら読み進めてました。
物語の1/4程度読んだあたりからでしょうか。
犯人はクマではないかという流れがすでに見えてきて、
中盤あたりでこの安曇野に生息するツキノワグマが一頭射殺されます。
しかしその後そのツキノワグマよりも大きい
安曇野に生息するはずのないヒグマが生息していて、
そいつが犯人だからと捕まえるための罠を仕掛けることになるんですが、
その時点でもエイリアンみたいなのが犯人だと思い込みながら読んでた私は
(そもそも物語はまだまだ中盤くらいだったし)
「ほんとの犯人のエイリアンはどんなんじゃろ
とわくわくしながら読んでたんです。
そうしたらなんと、本当にヒグマが犯人じゃないですか
なんだクマが犯人かとちょっとがっかりしました。
そもそもツキノワグマとヒグマの違いなんて、てんでわからない、
ましてや生息している地域さえ知らない、
そもそもクマなんて動物園で見たことあったっけ?
クマってかわいいよね
な、まったくのど素人の私には
ツキノワグマどころかヒグマの恐ろしさなんてわかりません。
でもがっかりした私に渇
こういう物語お決まりの
主人公がモンスターに襲われるシーンがあるんです。
ここでもお決まりチョイ役が殺されちゃうわけですが、
作者が実際にヒグマが人を襲うところを見てたんじゃないかってくらい
殺し方がすごい生々しくて、残酷。
チョイ役が死んだ後
主人公も襲われますが、そのときの恐怖心と言ったらないです。
あとがきで映画監督の黒沢清さんが
「作者が元々映画関係にいたからかこの小説は実に映画っぽい」
と賞賛していますが、
映像が浮かびやすい表現を使ってるのか、
ヒグマなんて見たことない私でも、
ヒグマの襲ってくる迫ってくる情景がまざまざと浮かんできて
すっごく怖かった。
読み終えた後もその恐怖は続き、
(エイリアン系や幽霊系の映画を見た後もそうだけど)
自分の背後にクマが
暗い場所の電気をつける前にその暗闇にクマが
といるはずもないのにビビリまくりでした

もちろんこの小説はヒグマの怖さを描くためのものではありません。
元々生息しているはずのないヒグマがなぜ、安曇野にいるのか。
主人公が言ってたと思いますが、「これらは立派な人災ですよ」
という言葉が象徴するように、人間の身勝手さ、
さらに作中の山口凛子が何度も言うように、人間と自然との共生、
(というより人間も自然の一部なんだという意識改革みたいな)
いろいろなことを考えさせられる作品です。
人里に下りてきたクマを射殺しましたというニュースを見るたびに
動物好きな私は「出てきたくらいで殺すなんて」
と怒っていましたが、
クマが生きていくためにえさを求めて人里に来るように、
そこに住んでいる人もまた生きていくために
農作物などが荒らす動物との攻防は避けられないんでしょうね。
全然関係ない私の怒りは机上の空論でしかないんだなと
改めて感じさせられました。

水に棲む花

2007-09-30 19:16:21 | 好きな本
別のブログにも書いた今私が無性に読みたいマンガは
篠原千絵の「水に棲む花」です。
ネットカフェにはなくてその場ではあきらめざるえなかったけど、
ネットカフェから出たとき
「貸本屋に先週はなかったけど、今日はあるかも
と思い、さっさと家に帰り、貸本屋へ。
ありましたよ全巻
ネットカフェで読んだNANAの続きも借りようか悩んだけど、
とりあえずこのマンガだけにしました。

あらすじ
二階堂立花のクラスのバスが転落し、彼女だけが生き残ります。
その事故の後、立花の前に同じ名前の立夏という女が水の中から現れ
種を返せと立花を殺そうとします。
立花自身も水の中で息ができるようになったりして、
バスが転落したとき、誰かに金の種を飲まされたことを思い出します。
種を飲ませた出水という男は立夏より立花を選んだということだが、
そこに意味はあるのか

以下ネタバレ注意
私が読んだことのある篠原千絵の作品は
「闇のパープルアイ」「海月」「陵子の心霊事件簿」「蒼の封印」
その他短編多数です。
そのすべてが女性が主人公だったし、
キーパーソン=主人公だったと思います。
今回ももちろん女性が主人公なんだけど
キーパーソンは主人公の立花ではなく
幼なじみで恋人の楪ちゃんだったと思います。
彼がすべての要というか。
彼が白龍で出水が黒龍
この二人の戦いに決着をつけるための物語だった。
楪ちゃんを白龍にするために立花が必要だった。
5巻なんて立花はほとんど出てきませんもんね。

元々篠原千絵の構想が5巻程度だったのか
初めから人気がなかったのかわからないけど、
話の展開が早かったですね。
私としてはもっといろんな要素を盛り込めば
さらに話が広がりそうだと思うんだけど。

今現在何かの雑誌で連載中かはよくわからないけど
プチコミで単発で書いてる「霧の森ホテル」シリーズとか
サスペンス・ミステリー好きな私には
たまらない作品を書いてくれます。
次はたぶんこの人の一番の大作である「天は赤い河のほとり」を
読んでみようと思います。

太陽の黙示録

2007-09-18 21:51:07 | 好きな本
以前このブログで太陽の黙示録のDVDを見たって書きましたが
今回は原作のマンガのほうの感想を書きたいと思います。

あらすじは
日本大地震や富士山噴火により国土を二つに分断された日本政府は
自国だけでの復興を断念し北は中国、南はアメリカを主体とした
南北分裂復興の道を選びます。
舷一郎は震災当時の首相の孫で
震災により記憶を失い台湾人夫婦に拾われ台湾人として成長していきます。
その彼が記憶を取り戻し、
日本の真の復興を目指して奔走する。

原作は友達に借りたんだけど、
日曜日にその友達の家でドラゴンボールZを見て帰った私は
その先が気になってしかたなくて
太陽の黙示録そっちのけでドラゴンボールを読みふけり
次の日の祝日も朝からドラゴンボールざんまい。
太陽の黙示録は正直どうでもイイ感じになってました。
そして夜の10時頃明日は仕事だし
そろそろお風呂に入って寝ようと思ったとき
1巻くらいは読もうかなと手に取ったのが間違いでした
アニメはまるまる4巻分の内容だったので
1巻を読み終えたとき、一応その先は知ってるのに
2巻を取る手が止まらない
4巻まで読み終えて、5巻の表紙を見ると
それまで主人公だと思っていた(実際主人公です)青年・舷一郎の姿はなく
新たなキャラクターが登場していて、
気になって読んでるとこれまた止まらない・・・
特に「あなたヒトラーになりたいの?」な
董藤卓也が出てくると日本どうなっちゃうの?
と心配で心配で。
結局夜中の3時まで読んでました
今朝は寝不足で頭がガンガン
さすがにマンガ読んで寝不足だからって
会社を休むわけにはいかないので出勤しました

巻が進むにつれてというか5巻の表紙を飾っている
宗方操が出てくる辺りから話が完全に政治的になってきて
眠い頭で理解するのが大変でした。
私が夜中の3時までがんばって読んでたのは
おもしろくて止まらないのもあったけど
寝てしまうと話がわからなくなるような気がしたから。

今は15巻まで出てるようだけど、話はまだまだ続く様子。
各巻の出版年月日を見ると、3ヶ月に1回出版してるみたい。
貸してくれた友達とは最近では年に数回会うか会わないか程度。
そんな調子では話を忘れた頃に次を借りるという状態になっちゃう
太陽の黙示録のために3ヶ月に1回通い詰めるか

楽園

2007-08-20 20:56:43 | 好きな本
宮部みゆきの最新作「楽園」

あらすじ
ルポライターの前畑滋子の元をある女性が訪ねます。
その女性・萩谷敏子は交通事故でなくなった息子・等の絵を見せて
「息子が超能力者かどうか調べほしい」
ということでした。
その絵は彼の死後ニュースになった
火事の焼け跡から16年前に両親に殺された少女・土井崎茜の遺体が見つかる
という事件を描いた物。
両親は誰にもそのことを話していないと供述しており
彼はどのようにしてその事件を知り得たのか。
本当に不思議な能力があるのか・・・
滋子が調べていく内にあらたな事実が発覚していく。

滋子の「模倣犯」からの立ち直りを描いた作品だと思ってましたが
結局、立ち直るためのスタートラインに立てたところで終わってましたね。

前回作の「名もなき毒」の時もそうでしたが
現代社会のいろいろな問題を盛り込んである作品だと思います。

以下ネタバレあり
まず第一に両親による実子殺し
最後の最後に土井崎茜の最期の瞬間が明らかになりますが、
ただただ悲しい。
この一言で片付けてしまうのは間違っているとわかっていても
他の言葉が浮かばない。
たぶん茜が生きていれば私と同い年ってのも悲しくさせる要因でしょうか。
茜は自分より少しだけ上の世代はバブルの恩恵を受けているのに
自分はこんな惨めな暮らしをしてるという状態に
もがいていたとなってますが
私は幸い?逆にバブルの華やかさを見ないままいつの間にやらはじけてたので
自分の暮らしが上の世代と比べてどうとか思うことなく過ごしましたが
茜のように早く大人になりたい女の子にとって
自分の立場は歯がゆいものだったでしょうね。
茜と明夫がした犯罪は決して許される物ではないけど
自分の親に殺されるってのはつらいですね。
15才って大人になりつつあるけどまだまだ子供で
茜はまだまだ親に甘えたくて。
そもそも彼女は妹の誠子ができたことで甘えられる場所が奪われたと思ってたから
甘えられる場所に飢えてたでしょうね。
だからこそ明夫にのめり込んだんだろうし、
まだまだ甘えたかったからこそ興奮してたとはいえ、
自分の犯した犯罪を親にべらべらしゃべっちゃったわけだし。
私はまだ独身で子供もいないから親の気持ちはわからないけど
茜を殺した母親の気持ちは最近の子供を虐待して殺す親とは違うでしょうね。

次にけっこうさらっと過ぎていったけど
等の3,4年の担任であった川崎先生の問題。
もう何年も前から警察官や学校の先生による犯罪が目立ってきてるけど
学校のメンツために川崎先生はたらい回しにされて
被害に遭う生徒は増えていくだけですよね。
でもこんなことでは登下校も危ない世の中、
学校も安全ではないって事になっちゃう。
(虐待とか考えると家庭も安全ではないってことになるけど)
学校に限らず、一般企業でも自分の会社に不利益なことは隠してる
なんてみんなやってると思うけど。
先生だって人間だし多少のえこひいきとかあるのは当たり前だと思う。
でも犯罪はいけません。
子供の心に一生消えない傷を残すんだから。

「楽園」というタイトルと内容とがまだ私の中で繋がってません。
「模倣犯」はまさしくこの言葉が発端で事件が解決に向かうわけですけど、
「楽園」は滋子にとって、敏子さんにとって、その他の登場人物それぞれの、
そして茜にとっての楽園はなんなのか?って問いかけでしょうか。
またじっくり読み返してみようと思います。

模倣犯

2007-08-15 17:12:40 | 好きな本
宮部みゆきの最新作「楽園」を読んで
これは「模倣犯」読み返さなきゃ話がわかんないなって
ことで久しぶりに「模倣犯」を読みました。
出版年を見ると2001年なので6年ぶりくらいです。
その当時ともかく犯人のすることに対しての恐怖感がいっぱいで
内容はよく憶えてないのにその恐怖感ははっきりと憶えてたので
覚悟して読んだからか、今回は恐怖感というか
背中を走る寒~い感じはなく読めました。
たぶん当時は被害者のほとんどが女性で
さらにそのほとんどが自分と同世代ってことも
現実にこんな事があったらどうしようという
不安をかき立ててたと思います。
6年分年を取り、内容への覚悟もあって
のめり込むと言うより、ちょっと客観的に読めたかな。
そこで6年前に感じなかった感想が出てきました。

あらすじは
ある朝公園で肘から下の手と女性のカバンが見つかり、
カバンの持ち主と手の人とは同一人物ではないことがわかります。
その後犯人から犯行に関する電話が
テレビ局や被害者の遺族にかかるようになります。
また新たな犠牲者の遺体が発見されたり、
警察も世間も犯人に奔走されます。
そんな中犯人と思われる二人組が自動車事故を起こし
トランクに男性の遺体を乗せた状態で死亡します。
二人組の内一人、栗橋浩美の周辺からは
物的証拠がわんさか出てきますが
もう片方の高井和明はアリバイも曖昧で
物的証拠も出てきません。
だけど死亡した状況からマスコミや世間は
二人を連続殺人犯と断定し
警察もその裏付けに奔走するという状況の中
ルポライターの前畑滋子も
二人が犯人だという説の下ルポを進めていきます。
ところがそんな世間の流れと逆行するように
兄は無実だという高井由美子の主張と共に
栗橋は犯人だが高井は無実で
真犯人Xは別にいるという説で世間に躍り出てきたのが
栗橋、高井とは小学校からの幼なじみという
網川浩一青年です。
彼は幼なじみを思う好青年、その妹を守る騎士として
一躍有名人になります。
前畑滋子はそんな彼自身に疑問を抱き
彼の周辺を探っていきます。
そしてそこで驚愕の事実が!

という展開です。
話は3部構成で
1部は公園で手が発見され、
犯人と思われる二人組が事故死するまでを
警察や遺族、世間の側から描いたもの。
2部はそれらを犯人の過去にさかのぼったりして
犯人側から描いたもの。
3部は犯人と思われる二人組が事故死した後の
それぞれの動き。

ネタバレでもなんでもないんで書きますが
真犯人Xは網川浩一です。
網川浩一は自分の組み立てたストーリーの中で
栗橋を利用し、高井に罪を着せ、
自分をヒーロー扱いする世間、警察、マスコミを嘲笑っていました。
自分は特別な人間で、他の奴らは無能だ
という思いこみで犯罪を繰り返し楽しんでいました。
6年前の私は確かにこの網川浩一は
根性腐ってるし、ろくでもない奴だけど
頭はいいよねとどっか一目置いてた所がありました。
これだけの犯罪を犯したにもかかわらず、
それを見事に隠し通して、
逆にヒーローとして脚光を浴びる手口は
すばらしいぐらいに思ってました。
別に私もこんな犯罪に興味があるということではなく
ただ彼の独創性や行動力に感心しました。
でも今読み返してみて
確かに頭はいいかもしれないけど
この人子供だなと思ったんです。

高井は栗橋が事件に関与していることに気づき
彼を止めさせようとして
結果として一緒に事故死するんだけど
彼が網川、栗橋に拘束されているとき
二人に「おまえたち世界で自分が一番だって思ってる子供だ」
と言います。
この高井という青年は視覚障害のために
小学校では先生からも家族からもましや友達からも
ぐずでのろまでみんなより劣っているという評価を受けていました。
それが中学に入り視覚障害に気づいた先生のおかげで
学力はぐんと伸びるものの
内気な性格は変わらず、
栗橋には大人になった今でもいいように利用されているという状態でした。
(実際には利用されているように見せていたわけだけど)
彼は高校へは行かず家業の蕎麦屋を手伝い
29才で死ぬまでまじめに働いていました。
私はそんな彼のことをぐずでのろまと思っていました。
でも今回読み返してみて、
網川、栗橋を「子供」と思ったのとは逆に
高井は29年間生きてきただけちゃんと成長している「大人」だと感じたんです。
何をもって大人子供と判断するって人それぞれだと思うけど
私は人を思いやる心、他を受け入れる心
そして経験値をどれだけ持っているかというのが
大きなポイントだと思っています。
経験値は長く生きれば生きるほど誰にでもついてきますが、
心は未成年、成人に関係なく
持ってる人は持ってて、持ってない人は持ってないです。
小さい頃はあったのになくしてしまう人、
年齢と共に身につけていく人、
いろいろだけど、私は今も昔も持ってないです
話が逸れたけど
昔読んだとき、感じなかったことを今は感じるようになった。
それが成長した証拠なのか、
単純に私が変わったのかわからないけど
今の感想のほうが宮部みゆきが伝えたかったことに
近づけたような気がしてます。

網川に感心していた自分を思い出して
現実にもこんなことあったなと思いました。
それが元ライブドア社長堀江貴文です。
彼がなんだかやけに有名になり
当時消えかかっていた近鉄を買収しようとして
他の球団から反発を受けていたり、
そのくせ三木谷社長は受け入れられたとき、
その後堀江が捕まったとき、
「やっぱり若くて成功すると反感買うんだね。才能ある人って大変」
と思っていました。
さらに
「ホリエモンは頭いいからこのまま終わるような人じゃないよね。がんばってほしい」
とまで思ってたんです。
小説の中で網川がヒーローとしてもてはやさていた時
容姿もそこそこってこともあり世の中の女性の憧れの的でした。
ホリエモンも当時は女性に困らなかったと思います。
網川とホリエモンとでは犯した罪の内容は全然違うけど
二人は似てると思います。
ホリエモンは網川ほどではなくても、
無意識にみんなを見下してたのは確かだし
その態度が結果的に社会に受け入れられなかったんだと思います。

なんかすっごい長い感想になりましたが、
私の知り合いで模倣犯を読んでみたい方
お貸しします
単行本が出てて全5巻です。(私が持ってるのは新書です)
けっこう長いです
内容も内容だし長いしってことで
読んだ後かなり疲れると思うし
その長さや内容を乗り越えても
最後に多少心が温まるエピソードがあるくらいで
ただ疲労感が残るのみだけど・・・

名もなき毒

2007-02-25 22:08:05 | 好きな本
先々週だったかな
今話題の映画「それでもボクはやってない」
を見ようと街に出ました。
いざ映画館の前に来ると急に1800円が惜しくなってきて・・・
服を買うときもそうだけど
「迷ったら買うな」が私のモットー
いつか見に行くかもしれないけど、
今日はそんな気分じゃないんだろうって事で
ヒマなときのいつものコース本屋へ。
そこで去年発売されてた宮部みゆきの最新刊
「名もなき毒」をなんとなく立ち読み。
10年くらい前から宮部みゆきのファンで
それまで出ていた作品はほぼ読み、
ファンになってから出版された作品もほぼ読んだ
でも・・・どうしもこの人の書くファンタジーにはついてけなかった
「ドリームバスター」やアニメ化にもなった「ブレイブストーリー」とか。
ここ何年かそういう感じの本を主に執筆してるようで
私の好きな江戸物とかミステリーとか書いてくれないかなと思ってました。
そんな時「誰か」という作品を出版
久々のミステリーと期待に胸膨らませ購入。
んが
それまでのこの人のミステリーって
「模倣犯」とか「理由」とか「火車」などなど
けっこう刺激の強い物が多かったと思うし
私もそういうのが好きだった。
だからこの「誰か」のような
なんかのほほんとした、悪く言えば抑揚のない?
特に心温まったわけでもなかった作品にかなりがっくり
新書版でジャマだったのでさっさとBOOKOFFに売りに行った。
前置きが長くなったけど
「名もなき毒」はその「誰か」の主人公が
また別の事件に巻き込まれるという内容で
発売された当時は「またあれ」とがっかり
手に取ることもなかった。
でもその時は何か映像作品見たり、本読んだりしたい気分だったので
映画と同じ1800円だったけど、
買っちゃいました。

これはおもしろかった
シックハウス症候群や土壌汚染が私たちに与えてる影響。
それが動機?な理由で人を殺す人。
自分がこの世で一番不幸と思ってる人。
そんな人たちが絡み合って事件が展開していく。

最近現実に普通に起きる事件を題材にしていて
リアリティがあったし、
泣けたし

宮部みゆき作品は基本的に、はずれがない
HPを見てみると、
今2本連載をしているようで、
その内の1本は「ぼんくら」シリーズ最新作
また新しい作品が出版されるのが楽しみです

DEATH NOTE感想

2006-09-24 23:15:34 | 好きな本
内容はかなりおもしろかった
人間的にライト、メロ、ニアは好きになれない。
Lにはずっと生きてて欲しかった。
ライトは常にLを殺すことしか考えてなかったけど
Lは半分ホントに友達になりたいと思ってたと思う。
キラ事件がなければLとライトが出会うことはなかっただろうけど
デスノートを持ってない時のライトと
本当の友達になって欲しかった。
Lが死ぬときあんな顔するなんて。
ライト最低
だいたいライトは神になろうとするならさっさと目の取引すればよかったのに。
自分が神になってからの世界を長く生きたいからと言ってるけど
本人が目を持ってたら、いろいろなピンチももっとうまく切り抜けられたろうに。
それに一般人とは違う能力あった方が神っぽいし。

とても意外だったのがライトってデスノート持ってないと
あんなに良いヤツなのってこと。
さすが夜神総一郎の息子って感じで。
でもデスノートを持ってるときと持ってないときとで
人格が変わるのはライトだけだった。
ミサも父さんも魅上も変わらんかったし。

この物語で一番の犠牲者は夜神家の女性たちだと思う。
お父さんはキラ事件捜査中に死に、
その犯人キラは息子だったなんて。

救いはお父さんは息子がキラじゃなかったと確認して死ねたことと、
ライトが家族だけは犠牲にならないように考えてたこと。
血も涙もないようなヤツに見えたけど、
そういうとこ見ると、根は良いヤツだったのかも。
(実際デスノート持ってないときのライトはイイヤツだったし)
総一郎が死んだときの涙は本物だったと信じたい

あとミサが最後まで死ななかったこと。
彼女のしたことはいろいろ問題あると思うけど
ライトに利用されまくってかなりかわいそうだった。
最後に出てくる女性がミサだって説もあるみたいだけど
彼女にはまともな男を好きになってもらって幸せになって欲しい。

以前友達が私がデスノート読んでると思って
感想を言ってきたことがあって、それが
「リュークが一番悪いと思わん?」でした。
確かにねぇ
でもリュークは死神だから、
人間の道徳が通用するワケじゃないだろうし

りんごが食べたいがために、隠しカメラ探してるときの
リュークはかわいかったけど
最後ライトを殺すときのリュークは
さすが死神って感じだったな

やっぱり一番悪いのはライトでしょ。
元々ライトは自分は他の人間とは違うっていう考えがあって、
そういう勘違いが、自分なら神になれるという勘違いへと繋がっていったし。
そういう勘違いしてるって意味では
メロもニアも高田も魅上もみんなそうかな。

映画ではメロやニアは出てこないみたいだからどんな決着になるんだろう。
Lは死なずに藤原竜也がリュークに殺されて終わり?

本を読むキッカケ

2005-03-14 00:13:51 | 好きな本
私は主にサスペンス、ミステリーが好きで、小説を読んでいます
小説(物語)を読む楽しさを知ったのは小学4年の時に読んだ「ズッコケ三人組シリーズ」
国語の教科書に載っていたあまんきみこ作「すずかけ写真館」でした
たぶんそれまで絵本かマンガしか読んでなかったと思います
私の学校では本に親しむためか
先生が選んでいたのか図書室の本が何冊か教室の後ろに置いてあり
さらに個人の本もみんなに読んで欲しいと思ったら
持ってきて置いてよかった
その個人で持ってきた本の中にズッコケ三人組シリーズがありました
小学6年生の仲良し三人組がいろいろな事件などに巻き込まれ
遺跡を発掘したり、謎の民族に遭遇したり
ポルターガイストに巻き込まれたり。
ホントにハラハラドキドキでおもしろかった
読んだのは10数年前で
内容はかなりうる覚えなので、
それについて書くことはやめておきます
でも当時はファンクラブにも入っていたし
小学校の卒業文集でこの本が好きだということを延々と書くくらい、
中学に入って赤川次郎や氷室冴子にハマルまで本当に好きでした
「すずかけ写真館」はあまんきみこ作品を読むきっかけをくれた作品です
どこかの森に突然現れた写真館に入ってみると
主人公のそれまでの人生を刻んだ写真が飾ってあり・・・
この作品も読んだのは10数年前の上に
これが載っていた教科書は捨てていて
その後どこかの本に載っていないか探したんですが
結局見つからなかったため
詳しい内容は憶えていませんが
心が温かくなったのを憶えています
もう一度読んでみたい作品です
この作品を読んでから「車のいろは空のいろ」シリーズなどを読んで
それでも心が温かくなったのを憶えています
この2作品をキッカケに「ぼくは王様」シリーズや
「おちゃめなふたご」シリーズなどの児童文学を読んでいました
この2作品が私にとっての小説を読むようになった原点です
時間があればそれぞれ読み返してみたいし
自分に子供ができたら、できなくても今の子供たちに
ぜひ読んで欲しい作品です