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そのようにして番組を丸ごと録音するものだから、長時間録音できるオープンリールが必須だった。そうしてソースを貯めてゆき、まとめてカセットテープにトラックダウンするのだが、当然ながら音質にも細心の注意をする。
まず、元となるFM音源の音質が悪ければ元も子もない。
機械としてはトリオ(今のケンウッド)の9800というチューナーを頂点とする良質なチューナーを手にいれ、アンテナをしっかりとセッティングする事がまず第1の基本となる。
オープンリールデッキという機械は、カセットの2倍の幅のテープを使用するので、元々音が良い仕様になっているのだが、これがさらにスピードが調節できて、機種によっては38センチ/秒という超速スピードを出せる機種もある。テープによる録音再生品質は、秒辺りの面積に比例するのですな。参考までに言うと、通常のカセットの速度が4.8センチ/秒だから、その高速ぶりはたいしたものなのだ。
当然、オーディオの核となるアンプが一番重要だという事は昔も今も変わらない。当時ワシらが買えるのはせいぜいサンスイのプリメインアンプが限界だった。
当時はラックスのA級動作する真空管モノラルパワーアンプと、ヤマハの「C―2」というプリアンプに憧れていたが、それは無理というものだ。
この頃、舶来のアンプもおおいに幅を効かせていて、クォードのアンプとか、マッキントシュのアンプとか、マークレビンソンのアンプとか、そういった超高級品が、国産の製品には無い怪しいミリョクを醸し出していた。
流れでいくと、アンプの次はカセットデッキである。当時、カセットデッキと言えば「Nakamichi」か「AKAI」か「TEAC」というのが定番だった。特にナカミチのドラゴンという化け物のような機種に憧れていた。だが、所詮それは雲の上の存在。とても購入できる価格ではない。
ワシはその中からTEACの「C―3」という機種を選んだ。このCシリーズの顔の色は鴬色をしていて、dbメーター(VUではない)が針式で、まるで計測用の測量器と言ったような外観がプロっぽくてよかった。
このデッキの特徴は、まず、「3ヘッド」だという事。そしてこの3ヘッドの利点は、「録音した音がリアルタイムに聞ける」という点にある。
今、巷にあるセットステレオのカセットや、CDラジカセのヘッドは間違いなく2ヘッドだ。
通常、この2ヘッドタイプのデッキで録音しても、「録音中の音は聞くことが出来ない」のだよ。録音中でも音が出ると言われるかもしれないが、それは例えばCDを録音しているならば、録音中に聞くことの出来る音はカセットの音ではなくて、CDの音をモニターして聞いているのだ。
話がややこしくなったが、つまり、3ヘッドのデッキでは本当に録音できているか、そしてその音はどんな音になっているのか。常時リアルタイムで確認出来るのだな。
あと、カセットテープには録音特性というものがあり、同じようにデッキにも周波数特性というやつがある。もし、手持ちのCDラジカセなんかの説明書があったら、仕様の欄でカセットの部という場所を見て欲しい。
そこには多分60~16000Hzという様な表示があると思う。これが高級なカセットデッキになると、20~20000Hzという表示になる。20Hzとか20000Hzとかの周辺の音なんて通常出ているかどうかなんて解からない音なのだが、そこまで音の保障をする事で、音の「ツヤ」というものが出る。・・・と、何かの本に書いてあった。
次号に続く
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