僕の細道

【となりの山劇】第64話

<樽見鉄道に乗った の巻、その3>

 ところがその夜。子供達と3人で風呂に入っている時のこと。

「明日は何処へ行こうか?自転車でも乗るか?」
「自転車も乗りたいけど、ボク、電車に乗りたい。」

 説明すると、この場合の「電車」と言うのは私のJR定期券を使うという事で、行き先は「名古屋」であり、名古屋に出るとなると、私の実家にも寄るというのが定番である。この時も当然そのつもりで考えていたら、さらにもう一言付け加えた。

「おばあちゃんの所へは行かないよ。」
「おばあちゃんの所へ行かないなら何処へ行くの?」
「青い電車に乗りたい。」
「?????」

 東海道本線に青い電車なんてあったかいな。?

「それで、何処の駅へ行くの?」
「桜の駅へ行くの。」

 なんと、今日見物した列車に乗りたいと兄弟揃って主張ていたのだった。自分としても正直、今日は多少後ろ髪を引かれた想いがあったので、まんざら悪い気もしない。

「まー、しゃーないねー。」

 驚いた事に、カミさんも興味を持っていたらしい。・・・という事で、翌日は家族揃って青い列車に乗ることに決定したのであった。日頃の教育がやっと花が咲いたのだろうか。(冗談)

 翌日、朝一番に出発しようと思っていたら、カミさんがここんところ次男をちょいと病院に連れていくというので、二人の帰宅を待ってからの出発になった。
 樽見鉄道に乗るためになるだけ早く大垣に行きたかったので、早めに病院へ行って欲しかったのだが、なんだかんだで病院に行くのが9時になってしまった。子供らが通っている病院は笠松にあり、行き帰りだけでタップリ1時間はかかる。しかも人数が多いと待ち時間が長くなるので、多分最低2時間は帰ってこない筈だ。・・・・という事は出発は昼だな、と予想した。

 この間、ただ時間を潰しているのも勿体ないので、樽見鉄道本社に電話して列車の発車時間を聞いてみると、この特別列車は午前中に名古屋駅を出発し、大垣から樽見鉄道に入り、大垣出発が10時40分。
 このまま終点の樽見駅まで2往復してから名古屋駅に帰るという。ちなみに車両の扱いは「快速」なのだが、何故か穂積には停車しない。

 樽見鉄道に電話した時点で既に午前中の時刻には間に合わない。午後からの時刻を聞くと大垣を13時49分に発車するという。なんとなく時間に余裕が出来てしまった。

 カミさんらが病院から帰ってきたのが、予想通りの11時。それからのんびりと昼食をとり、まだまだ早めだが大垣に出発する事にした。
 大垣駅に着くと樽見鉄道線には既に青い客車の列車が待機している。しかし発車まで1時間近くある。予定通り駅前付近をゆっくりと見物してブラブラしてから再度駅に入った。

 「早く、早く。お父さん早く。」

 私の手をぐいぐいと引っ張って跨線橋を降りて行くのだが、そんなにあわてる事はない。ホームに降りると昨日樽見駅で見たままの青い列車がそこにあった。ホームには人影が無く、閑さんとしている。

 とりあえず荷物を置くために席を決め、改めて外に出てみる。その客車は「オハ14」型という車両で、5両編成。先頭には「DE11(?)」型の樽見鉄道所有のかわいいディーゼル機関車がついている。DE11が東海道本線を運行しているのを見たことが無いので、名古屋~大垣間は別の機関車が牽引するんじゃあないかな。確認していないけど。

次号に続く


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