僕の細道

【となりの山劇】第90話

<通勤の車窓 の巻 その1>

 以前にも書いたことがあったかもしれんが、ワシは毎朝電車で名古屋まで通勤している。
 現在ワシは穂積という町に住んでいるが、名古屋までは快速で30分程かかる。名鉄で30分というと全然たいした事ないが、JRで30分という距離はたいしたものなのだ。(名鉄利用者の方、気を悪くしないでね)

 JRで30分の距離と言うとまず、気候が違うのである。笑うなかれ、冗談ではない。穂積は晴れていても名古屋は雨だとか、そのまた逆だったりという事は日常茶飯事である。

 気温も違う。夏は両方ともくそ暑いのでその差はあまり感じられないが、冬になるとよくわかる。ウチは伊吹おろしの直撃を受ける位置にあるので、朝起きると雪が30センチくらい積もっていることがフツーにある。

 そんな日はまず車を救出する事から始まり、駐車場から道路までの通路を確保しなくてはいけない。
 そうやって朝からヒーヒー言いながら作業してから電車に乗るが、名古屋に近づくにつれて雪が薄くなり、名古屋に着くと5センチくらいしか積もっていなかったなんてことがある。

 ウチのほうが確実に寒い。そんなわけで生中継する朝のワイドショーは極めて重要な情報で、これで名古屋市内の天気状況を掴んでおくのだ。前置きが長くなったけど、そーゆー事で、今回のテーマです。

 毎朝、たいていは発車時間ギリギリに駅に到着するので、バタバタと急いで駅の階段を駆け上がり、ホームに立ってから息を整えます。

 そこで改めて岐阜方面を眺めると進行方向真正面に金華山の岐阜城が見え、その山々をずーっと左の方へ目を移していくと、北の方角には温見峠がある能郷白山が見え、西の方角の池田山の上には伊吹山の姿が見えています。
 これらの山並みが全てはっきりと見えるのは割と珍しい事で、曇りの日とか、晴れていても大気の透明度が悪いといった条件が良くない日には霞んで見えないのです。

 やがてやって来るいつもの電車に乗り、いつもの進行方向に対して右側の所定の座席に陣取り、ほっと一息ついてから外を眺めます。
 電車は動きだしてからすぐに長良川の鉄橋にさしかかります。私は毎日ここで、今日の水量は少ないか多いかを眺めています。
 いつもはたいてい少なめの長良川ですが、雨が降った翌日なんかは水量が豊富で、水面が上がっていきます。

 あと、この長良川の景色はその日の天気によって様々に表情を変えます。中でも川面だけにもやがかかっているような幻想的な景色に出会えると、何だか得したような気分になります。

次号に続く

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