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初恋

2004-06-30 02:01:08 | 恋愛
好きになった理由を一つあげるとしたら、すぐに答えられる。
自分と違うから。

彼は自分と違うものを見つめていた。
それを知りたいと思った。
同じものをみつめ、同じ道を歩みたいと思った。
彼ばかり見つめていても、置いていかれてしまうから。
大きな負担になりたくないから、おんぶされるつもりは無い。少しぐらいは頼りたいけど、やっぱりガマン。
同じものをみつめ、それがどんな風に見えるか、それを見てどう感じたか。教え合うのも、伝え合うのも、相手と違う考えや感覚だからできることなのだと思う。
なにかアドバイスできるかもしれないし、聞いてもらうだけでラクになるってこともある。それになにより、好きな人が自分と違う感覚を持っていて、私はそれを知れるのだ。それほど楽しいことは無い。その瞬間瞬間に彼だけが感じられる感情を言葉にのせて貰えるとしたら、それほど幸せなことはないのだ。

私が彼から得られるものは、無限だ。けして終わることは無く、けして飽きることはない。話題はつきない。自分のこと、彼のこと。それだけで時間が過ぎて行く。それまで生きてきた十数年は、けして数時間で語りきれるものではないし、その瞬間さえも彼の人生の一部なのだ。けして終わらない。

好きという気持ち一つで、世界が変わった。自分が変わった。
幸せな気持ちでいっぱいになり、すべての物事に意味を見いだした。生きる意味など考える暇もなく、自然と湧き出てくる。明日が楽しみになる。

失うものなどなにもなかった。得られるものばかりだ。
初めて好きになって、初めて付き合って、初めて両思いになった彼。付き合った日数は足しても一週間しかないけれど、好きと伝えて、ひと月待って。付き合って、ナシにして、距離おいて、付き合って、別れた。
今も距離をおくために連絡もとっていないけど、けして後悔することはない。

今でも好きだ。恋愛感情かと言われると怪しいけれど。

二人のために別れよう、よくあるセリフだ。
どんな意味かよく考えもせず、言った方に都合が良過ぎるな、とか思っていた。
私には彼が害になるようには思えなかった。

言われたときに、ふと気がついた。私が害なのだ。私は初めて好きになって、初めて愛してると言ってくれた人を害することしかできなかったのだ。二ヶ月一緒にいて、あれだけ与えてもらったのに苦痛しか与えていなかったのだ。安心感と共に苦痛を与えていたのだ。優しいから彼は言えなかっただけで、好きと言ったあの日から、彼の背負うものは確実に増えたのだ。

いつか、いつかまた、私が重くなくなったら、笑顔で会える日がくる。
私はその日が来るまで、心のダイエットをし続けるから。
彼だけじゃなく、だれにとっても重くならないように。

秘密の花園/バーネット

2004-06-29 23:49:32 | 読書記録
岩波少年文庫の吉田勝江訳。上下巻。
通学中に読むライトノベルをうっかり兄に借り忘れて適当に読みやすそうなのを家の本棚から選んだのがこれ。

最初、いかにも訳が古くさく、しかも内容が子ども向けだなぁ、と思いながら呼んでいたんですが、それも当然。
作品自体1911年に書かれたものだし、日本語訳のものでさえ1958年が初版です。
もし今この訳で再販などしたら、人権団体からすぐにお叱りがくるでしょう。

主人公の女の子がそれまで住んでいたインドとの違いに気付き、荒野のすばらしさを感じ始めるさまは、爽快感さえ感じます。
それまでただ偉そうにして、ダラダラ不健康な生活をしていた彼女が、突然知っている人のだれもいない土地で暮らすことになるのです。
このあたりの作者のゆるゆるとした文章の使い方が、とても心地良い。元祖ひきこもり小説といった感じ。
小中学生の時になぜ読んでおかなかったのか、後悔がつのります。
もし、まだ読んでいなくて、あるいは読んでいても、ひきこもりを脱出したい方は、すぐにでも読んだ方が良いと思います。
最後の、または最初の一歩が踏み出せずにいる方にオススメ。