過去を知ることの大切さ

2009-03-18 02:10:31 | 修習関連
記事を書くだけ書いてアップするのを忘れてました。。

法律家の仕事には、過去に生じた問題の解決を目的とするものが多いです。
なので、過去に目を向けることは、法律家にとって日常的なことといえます。
ただ、この過去に目を向けるというのは、なかなか難しいなと思った出来事が2つ続きました。

1つ目は、先日の、模擬法律相談(※1)でのこと

相談者:
今の借家には平成12年くらいから住んでるのですが、最近、借家の抵当権が実行されるという話になっていまして… 抵当権が実行されたら、立ち退かなければならないのですか?
抵当権は平成10年くらいからついていて、私は当初2年契約でそのあとも更新してきたのですが。。

修習生:
抵当権の方が先についてますから、基本的には出ていかないといけないですね。
ただ、抵当権の実行から6ヶ月は出ていかなくて大丈夫ですよ。

…これがダウト。
平成15年改正前にもとの契約がなされているので、旧395条(悪用されたことで有名な短期賃貸借制度)が適用されて、この場合は2年間出てかなくて良いのです。※2

大学で勉強していたときには完全に「過去の話」として聞いていたトピックですが、過去の法律は現在まで継続するという。

もう1つは、修習先の事案なので、詳細は省略しますが、本人確認に関する問題です。
昨今は、非常に本人確認が徹底されているので、それに慣れていると、本人確認は当然にしているものと思ってしまうのですが、10年前とか20年前だと状況はだいぶ違うわけで。

前者の例は、法律について、後者の例は事実についてと場面を異にしますが、適切な事件処理のためには、「当時の状況」をしっかりと想定・把握することが重要だなと痛感しました。※3

(法整備や予防法務など将来に向けた取り組みもありますし、個人的にはそっちの方にも強く魅力を感じますが)

※1
弁護士の先生方が相談者役、修習生が弁護士役で、法律相談を受けるという修習。
普段の弁護修習では、基本的に傍聴になるので、事件を受ける当事者として話を聴くのは、非常に刺激的でした。

※2
執行妨害として悪い印象が強い制度ですが、弁護士の方によると、賃借人保護の観点で妥当なケースも少なからず存在したとのお話でした。

※3
さらにいえば、当時の客観的な事実関係という問題と同じか、それ以上に想像が難しそうなものとして、当時の主観的な事実(心理状態など)という問題もあると思われます。

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2 コメント

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Unknown (midori)
2009-03-24 00:08:43
旧395条とか普通に無視、というか「過去はそんなことが問題になってたんだ、へー」ぐらいだったんだけど、実際すべてが今の感覚で当てはまるわけじゃないんだね。勉強と実務のずれっていうか勉強で全然意識しないところだけど…みたいなところかな。ふむ。
勉強になりました。
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Unknown (さがわ)
2009-03-27 07:12:15
僕も議論は存在しか知らなかったですよ。司法試験的には使わないし。笑

実務にきて色々と新しいことも多いんだけど、でもやはり基本は学部時代の勉強なんだよね。もっと勉強しとけば、と思いつつ泥縄してます(>_<)
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