遊童子のひとり遊び

日々の生活の中で心を休ませる時間と趣味を独り言の中で話すブログです

薬師堂屋根替え

2013年11月18日 | 仕事

お晩でがんす

当社の本堂建設工事の現場近くに重文の茅葺建物、薬師堂があります、此処が茅葺屋根の吹き替えをしていました、9月1日から始まった工事はすこぶる順調に進んででいるようです、重要文化財なので上屋がかかっています、、、、単管足場で懸けた質素な上屋だが頑丈にできています

同じ建築屋として興味があり。その都度工程に合わせて写真を撮らせてもらいました。施工の職人さんとも顔なじみになり色色と話も聞けました、屋根剥ぎ前の茅葺屋根は草や木がたくさん生えています

 此の草や木が根を張って腐食を進ませてしまうのですが、普通の茅葺は棟だけはこの草木の根でしっかりと棟を押さえ風に飛ばされない様にする効果もあります、長い期間屋根が裸になるので上屋は必須条件です

こうして中間の工程は省きますが11月に入るとこんなにきれいに仕上がってきました。茅は地元の北群馬方面で調達したようです、今でもこうしたものを刈り干して貯蔵している業者がいることが驚きです、この茅を刈って干した作業の中で生まれたのが「刈り干し切り唄」の民謡になった

大した道具もなく、精度の高い機器を使用するでもなく、長年の勘が自然に織りなす,弛み、やカーブと言った物が実に見事に出来ている、屋根屋鋏一本でこの緩やかな曲線や丸みを出してゆく。もう芸術品である、1.8mあまりの柄の先に少し角度をもった茅押えの板がついている、簡単だが実に使いやすい道具で屋根職人が表面を叩いたり押えたりして仕上がってゆく、見ていて飽きない

もう大棟はは仕上がって銅板が眩しく光っている。勝男木も両端の鳩尾も品よくできている、今日あたりはもう完成して周りの足場も取れている頃ではないかと想像している

横から見た弛みの妙はとても計算では出ない手仕事の妙味だ、敬服の一語に尽きる、因みに屋根屋職人は、千葉の方で73歳だと言う、もう後継者もなく私の代で終わりだと話す職人の何とも言えぬ寂しさが込められた言葉が心を打ち、いずれは私たちの木造建築の技術もこうなるのかと思うと他人事では無い気がして、お互いに頑張ろうと握手をして別れた

日本のこうした文化はどうなってしまうのだろう、どんどん欧米化してまるで昔の流儀を伝承する者は時代遅れの馬鹿者のように見られる風潮はやがて日本国自体を滅ぼす基になるのではないか、、、、、、

そんじゃあまたはなすべえ、       遊童子

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2 コメント

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茅葺屋根 ()
2013-11-19 09:00:31
おはようございます
素晴らしいですね 茅葺屋根 何とも見事な曲線できっとこれが家屋の屋根にとって良いものなのでしょうね 古の昔から長年培ってきた匠の技なのでしょうね こうした技術は絶えた伝承をよみがえらせるには相当な苦労が要りますから後継者が育つと良いのですがこの世の中、食べていくには代価が必要でなかなかその路線に乗らないものは途絶えてしまいがちになってしまうようです
技術があっても材料が無いとできないですし、時代の流れというものは仕方のない一面もあります

先日立川の昭和記念公園に久しぶりに行ったのですが、しばらく工事中であった里山の民家ができていてこれが藁だか萱だかだかわかりませんが、茅葺風の家屋になっていて養蚕や土間、竈、囲炉裏など昔の日本家屋そのままでした 屋根のひさしの部分を見ると4層になっていて下から上層へ向かって太い萱が使われているのがわかりました きっと職人がやった仕事でしょう 感心して見てきました 屋根裏はまだ白々とした萱そのもの これが囲炉裏でいぶされて黒くなれば本物でしょうけどそこまで使い込めるかはわかりませんが・・・
<橙>
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茅葺屋根 (遊童子)
2013-11-20 18:50:12
橙さんへ

おれんじさん、こめんとありがとうございます
茅葺は外から見た目だけでは本当の事が解りません
外は甘風で自然に色が黒くなって行きますが中はみたとおり真っ白です、囲炉裏でいぶして煤が染み込むと茅は虫も死ぬし、腐らなくなります、だから燃し火の家でなくては長持ちしないのです
いまの茅葺は見た目だけですので20~25年くらいしか持ちません、正しい茅葺の使い方はもう茅を保存しておく段階から生の木を燃やしていぶします
そうした茅が製品としてありますが、ひと手間ついているので高いのですが昔はそうした物がありました
燻してあると50年くらいは持ちます
いまや現代の建築で一番高価な屋根が茅葺です
そして日本の風土に一番合っているのがやはり茅葺なのです、人に一番優しい屋根なのですが、、、、、、
どこへ行ってもビルディング、世界中がそうなってしまった、お国柄や特色などはもう昔の話です

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