遊童子のひとり遊び

日々の生活の中で心を休ませる時間と趣味を独り言の中で話すブログです

M邸上棟

2022年04月19日 | 仕事

おはようがんす

最近は自宅や工場など建築工事をしても上棟式をする現場が無くなりました

当社ではできるだけ古来の仕来たりをなぞって伝統行事を後世に伝える様に努力しています

今回も若い施主の家ですが当社負担で各種の貢物や段取りをさせてもらいました

私の花好きが花屋さんへ良く行き、その花やさんの店員さんと懇意になり意気投合して、、、数十年経てからドイツ留学を経て独立開業した、、、

と言った長い付き合いの中から、ご指名を戴いたお客様、ありがたい事です

最近は隠居の糞爺に成り下がって、現役を退いていますが、こうした時だけは若い職人に実地で教えるべく正式の事と、ここをこうして省いたという事を

教えています  、今回も、施主にも式をする意味と意義と由来を説明して造詣を深めていただき、若い職人には基本の中の基本を示しここまでは許せる範囲の

省略だという事を示しています、生意気が過ぎるとも思いますが伝統文化はそう

職人たちも昔は色染めの手ぬぐいを被ったり鉢巻きにしたりしていて粋と華が有ったが今は建築基準法などがあり武骨なヘルメット姿に成っている

プレハブ建築全盛の時代で、こうした軸組式の家さえも少なくなってきている

母屋が上がり棟が上がり、雲筋違いがほどこされ、強度的には全く遜色ない軸組が出来ている・然し大工の腕の本領を発揮できる丸太使いは一つもない

足場も丁寧に強固にできていて安全安心が第一義に成っている

最頂部に神様を設置して神域を作る、主神は「天之八意思兼之命」と言う、読みは「あめのやおこころおもいかねのみこと」読む

先年も万年も家を各種の災害や貧困や健康などを総じて守る神様である

ゆえに頭頂部の神扇は、陽出る日輪と、鶴は千年と、先年の翠の松が描いてある

その右の脇神は。「吾奈瀬之命」と言い(わがなせにみこと)読み火伏の神様である

更に左は「手置帆負之命」と言い(ておきほおいのみこと)と読み、大工の神様で順風満帆を背負って大海原を行く事を表す神様だ、家門繁栄と健康を守護する

そして下の青葉のついて居る木の枝は、水木の枝で有り三本が束ねてある。正式には水木の樹を製材して棟木とした

水が頭頂に有れば若しも火災の時もすぐ消えるという縁起だ

その下にある三無垢紙は神域の基を清める神で三本の麻で結んである、この麻を米結びにし夫夫を亀甲形にむすん措くこれを亀尾結びと言う

亀は万年を表す、従って神扇には亀は居ない、、、、、となっているのがあらましだ

斎主が祝詞を奏上する、この祝詞はこの家を守ってくださいという事と大過なく引き渡しに成ってくださいという事とこの家の末代までの繁栄を願って奏上する

神官、請負元,棟梁。鳶頭、等がこれを務める

 

青龍、朱雀、白虎、玄武。という四神の守護する順番に従って。ご洗米、浪の華をそれぞれ撒いて四方固めの式を執り行う

其れは工事期間の中の僅かな時間なのだが、こうした真摯な心を捨ててしまっているのが現実だ

さいごに施主と職人たちも一緒に拝礼して略式の上棟式を終える、春雨に濡れた若緑の様な清新な心で後の仕事ができる、、、一時だ

そんじゃあまたはなすべえ

遊童子

 

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