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今日の本紹介

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本紹介31「塩の街」

2020-12-17 09:44:00 | 日記
有川浩の織りなす自衛隊三部作の一作目!
自衛隊三部作はそれぞれ陸軍、空軍、海軍の自衛隊が活躍するフィクションエンタメ小説である。今作は、塩害(一般的に言う塩害とは異なる、今作では、自身の身体が塩化してしまう奇病のこと)が発生し、文明が半ば崩壊した世界で陸軍が活躍する。
また、恋愛における心情描写が細かく、感情移入しやすい。「秋庭さんに会うためにこんな世界になったんだったら、それがどんなひどい世界でも許容してみせる」などというかっこいい台詞を聞いて私は痺れた。一度でもいいから言われてみたい。
あらゆる要素が詰まったマルチエンタメ小説を是非堪能いただきたく思う。

『塩の街 (角川文庫)』の感想

「塩害」というフィクションから唐突に始まるが、ディテールがしっかりとしていて内容が入ってきやすい。番外編、「塩の街その後」の心情描写が細かく胸打たれた。二人にはどうか安らかな人生を送ってほしいと心から思った。

『塩の街 (角川文庫)』 有川浩 #ブクログ
https://booklog.jp/item/1/4043898037


本紹介30「ヴァイオレットエヴァーガーデン 下」

2020-12-16 11:53:00 | 日記
以前紹介したヴァイオレットエヴァーガーデン上の続編❗️ここから、原作オリジナルエピソードが多く収録されている。
しかし大切なことはただ一つ。「必死で生きようとする姿は美しい」ということ。
まだまだ続編は続くが、ここで一つのピリオドを迎える。ヴァイオレットの勇姿を再び見守ってほしい。

『KAエスマ文庫 ヴァイオレット・エヴァーガーデン 下巻』の感想

アニメ未公開エピソード、アニメとは違ったシナリオのエピソードが多数を占めるが、その差異を見つけ、感動するのが楽しくてたまらない。半神のエピソードは、意味のない伝統に縛られていては発展はないという核心とともに宗教にのめり込む人間の狂気、脆弱性を説いていて現実の宗教事件に警鐘を鳴らす意図があったように思った

『KAエスマ文庫 ヴァイオレット・エヴァーガーデン 下巻』 京都アニメーション #ブクログ
https://booklog.jp/item/1/4907064446

本紹介29「スピン」

2020-12-15 14:04:00 | 日記
バスジャックを通して世間に訴えかける少年たちのお話。少年たちと世の中に不満を抱く主人公の座標が交わる時、大切な何かがそこに生まれる。
ネットの功罪と少年たちの未熟な葛藤がテーマのヒューマンストーリー。

『スピン (角川文庫)』の感想

心にトラウマを抱えた少年たちが、バスジャックを起こし、世間に訴えかけるくだり、一所に同乗したキャラがそれに対し思いを馳せるくだりは一貫性があり面白かったが、最後の陰謀論オチはなんだか釈然としなかった。少年たちの幼さが助長された構図と捉えれば納得がいくが、それまでの過程に価値を見出していた私はそれが否定されたようで納得がいかなかった。

『スピン (角川文庫)』 山田悠介 #ブクログ
https://booklog.jp/item/1/4043792093

本紹介28「モンテクリスト伯 中」

2020-12-14 12:53:00 | 日記
以前紹介した「モンテクリスト伯 上」の続編!
今作は伯爵によるゲームコントロール、つまり、一つ一つ布石となる罠を仕掛ける頭脳戦がメインとなっている。ほぼ全ての行動や会話が伏線である為、その裏を読み取る作業が魅力的である。
「巨万の富と強靭な意思をたよりに、モンテクリスト伯は、着々と復讐の準備を進めていった。」

『モンテ・クリスト伯 中 (岩波少年文庫 (504))』の感想

一つ一つの布石が後に悪党を陥れると思うと痛感でたまらない。9年に渡る長期準備の賜物が、文章からひしひしと伝わってくる。

#ブクログ




本紹介27「黒冷水」

2020-12-13 15:25:00 | 日記
これを読んでる皆さんにはこんな体験をしたことはないだろうか。嫌いな相手と対峙した際、怒りを通り越して身体が冷たくなる感覚。冷ややかな目線を向けてしまう感覚。汚物を見るような感覚。
この物語は、そんな憎み合う兄弟の話である。兄は弟を忌み嫌っているが、彼は先の感覚を身体に流れる憎悪の水(血液)と称し、「黒冷水」と表現している。
血の繋がりこそが、家族の絆たらしめるものではないというこの小説の主張は、一定の理想論者を否定することになるが、それは甘い考えであるという現実主義な発想は私は嫌いではない。
家族の在り方、絆に疑問を抱いている方に読んでもらいたい一冊。

『黒冷水』の感想

最後の、「頼むから帰ってきてくれ、僕のためにもどうか生き延びてくれ....」の台詞は締めとして最高だったように思う。なぜならこの空虚な台詞こそが、この物語の主張しているメッセージを集約しているこれ以上ない言葉だからだ

#ブクログ