同級生の少年が運転するバイクに轢かれ、美しく優しかった姉が死んだ。殺人を疑う妹の結花は、真相を探るべく同じ高校に入学する。やがて、姉のおぞましい過去と、残酷な真実に直面するとも知らずに……。ピアノソナタの哀切な調べとともに始まる禁断の恋、そして逃れられない罪と罰を描く衝撃のR18ミステリー。
人間の本性及び赦すとは何かを描いた作品。甘い誘惑には誰しもが惑わされ、そこに倫理は無力である。しかしその代償として悪魔に身を捧げる生活が始まる。
主人公の姉は禁断の恋の誘惑に負け、その結果、弱みを握らせ陵辱されてしまうが、そこで、自分の罪ごと曝け出して助けを求められる強さがあれば皆救われたのかもしれない。厚い人望が皮肉にも彼女を孤独に追い込み、そして破滅を招いた。最期まで周りからの期待に縋り、自らの穢さを曝け出すことが出来なかったという点では、彼女は不幸でもある。
繰り返しになるが、自らの穢さを曝け出すことができる人間は真の強者だ。また、それを赦し受容できる強さを我々は持つべきだと思った。
『月光 (中公文庫)』の感想
どんな人でも弱みや欠点はある。ただ、それを曝け出して助けを求めることができるかどうかは当人次第であり、助けを求めることができる人間は恵まれているのだと思う。
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