感電死したアオダイショウ

レコーディングの翌日、東京発の長野新幹線で帰宅途中、軽井沢を過ぎ次の停車駅の佐久平に間もなく到着するというアナウンスがあり、席を立ち出口に向かって歩いていた時、突然車内が暗くなって急停車した。
トンネル内なので外は真っ暗で空調が止まった途端少し息苦しくなったが、もうすぐ次の駅とわかっていたので乗客は皆案外静かに事態を見守っていた。
原因不明の停電のためしばらく待つようにとの案内放送があり、小一時間程してようやく停電は架線にヘビがからみついたためとわかって、ようやく新幹線は動き出し、間もなく私が下車する佐久平駅に無事到着した。
夕方のニュースで、停電を起こしたヘビはアオダイショウで、木に登る習性があるため高架線に登ってしまたのだろうということがわかった。
何とも気の毒なヘビさんではあるが、考えてみたらあの新幹線の車内が突然真っ暗になって急停車した時が、数万ボルトの電流を浴びたアオダイショウの命が消えたまさにその一瞬だったのかと思うと、ひとつの命が消える瞬間を数百の人間が同時に体感したのだなあという、何とも不思議な感慨さえ覚えてしまったのだった。
冥福をお祈りいたします・・・。