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金田隆の地方自治政策研究ノート

定年近くになって無性に学びたくなりました。そこで在職中に大学院に入学。このブログは私の勉強のノートです。

ゴミ箱モデルの紹介

2011-09-30 14:08:11 | 研究
 この理論を学んだ時、よく理解ができなかったにもかかわらず(今でもよく理解できているとは思っていないが)、ひどく感動したのを覚えている。なぜなのだろうか。それは意思決定の本質をえぐり出しているからだろう。なるほど政策決定はこうなっていたのか。後期高齢者医療制度、障碍者自立支援制度等の矛盾、こんなだから普通の国民とかけ離れた感覚の政策がおこなわれるのか。これはさらに心して物事を見つめなければならないぞ、ゴミ箱のゴミであってはならないぞと単純に反応したわけだ。

以下その説明をいくつか紹介したい。

ゴミ箱モデル

1970年代にアメリカのマーチ、コーエン、オルセンが提唱したもの。
実際に行われる意思決定は合理的(規範的)なプロセスを踏んでいないという理論。
基本的には意思決定の要素として
「選択機会(会議の場)」
「参加者」
「解」
「問題」
の4つを指摘。
 意思決定を行う場面は、ゴミ箱のようにたえず色々なモノが出たり入ったりして、最終的に期限になったときの状況で意思決定が行われる。集団における意思決定は、必然的に生み出されるものではなく、4つの要素が偶然に結びついた結果でしかないという考え方。">結論を出すことに時間をかけることよりも、仮説-検証を繰り返していくことが大事とする。


公務員試験問題ごみ箱モデルの問題の解答

1.課題、解決案、参加者および選択機会の4つの個別の流れが結びつく過程として政策の決定を記述しようとする組織の「ごみ缶モデル」では、時間内に具体的な決定が行われる場合よりも、見逃しや先送りが組織内において多くを占めていることを主張する。
【視点・論点Ⅱ】
「PHP 政策研究レポート」(Vol.5 No.63)2002 年7 月10
NPM・PPP理論の検証(2) 意思決定の本質(ゴミ箱モデル-1)

 NPMは、民間的手法を公的部門に導入することを柱としている。しかし、表面的な差違は別として、公的・民間両部門で意思決定等に本質的な違いがあるか否かの整理がまず必要となる。民間部門の意思決定が絶対的優位性を持つわけではなく、公的・民間の別を問わず意思決定に共通する問題点が存在していることを認識しなければならない。NPMの導入、活用に際しては、まず行政あるいは民間で現実に展開されている意思決定の本質を整理し、そのうえで合理的意思決定を支える評価などの仕組みをいかに組み込むべきか判断しなければ、NPMの活用も充分な成果を生み出さないからである。民間部門の意思決定では、最終的な選択の基準が「利潤の追求」に置かれ、意思決定に影響を与える属性の単一性が強い。このため、意思決定の表面的明確性は高い。しかし、そのことは意思決定のプロセスや本質の明確性が担保されていることとは根本的に異なる。そこで、組織の意思決定における本質を2回に分けて整理する。
 公的・民間の別を問わず意思決定の本質を整理するうえで有用なのが「ゴミ箱モデル」である。ゴミ箱モデルは、組織体の意思決定モデルの一つとして提起されたものである。公的・民間の別を問わず組織の意思決定は、合理的に整理されたプロセスによって展開されるものではなく、問題点と解決策が無秩序に混在している「ゴミ箱」の中での選択に過ぎないとする。このゴミ箱モデルの本質は、「組織化された無秩序」にある。組織化された無秩序は、1.不明確な選考、2.不明確な技術、3.流動的参加構造の三要素によって形成される。
 第一の「不明確な選考」とは、意思決定に参加する人々が予め選考の基準となる目標を明確に定義づけることは少なく、むしろ何を達成しようとしているか選考の基準を曖昧にしておくことで自ら行動しやすい環境を整備する傾向にあることを意味している。選考の基準を明確化することは、むしろ他人との間の対立を露わにする要因となるほか、同一人の選考においても矛盾を生じさせる
場合がある。このために、目標や選考の基準を不明確にすることで、意思決定に対する合意を得やすくし、行動の選択肢を広く持つ状況を確保する場合が多い。その実態は、「選考に基づいて行動するよりも、行動に基づいて選考を発見する」(Michael D. Cohen)という言葉に象徴されている。利潤の追求に代表されるように属性の単一性が強い民間部門に比べ、「不明確な選考」の問題は公的部門において、より強く内在している。
 第二の「不明確な技術」とは、組織化された無秩序のもとで、その構成員が組織の意思決定のプロセスを十分に理解していないことを意味する。組織の構成員は、自分自身の仕事については十分理解しているものの、その仕事が組織全体の中でどのように組み込まれ位置づけられているか、組織にとってなぜ自分の仕事が本質的に必要なのかについては、断片的にしか理解していない場合が多い。そこで、意思決定や行動に際して、試行錯誤と先例重視を繰り返す。この点は、公的・民間の別を問わず共通して内在している問題である。
 第三の「流動的参加構造」とは、意思決定に参加資格を有する構成員が設定された問題に応じて意思決定に参加したり、参加しなかったりすることを意味している。また同一主題であっても時間の経過によって参加者が投入する労力の度合いは変化し、もとより異なる主題間では投入する労力は当然に異なるものとなる。すなわち、意思決定への参加者の構成とそこで形成される質には、意思決定ごとに差があるのが実態である。これも公的・民間の別に関係なく内在している問題である。
 こうした問題を前提として抱える意思決定には、問題、解決、参加、選択のプロセスがあり、それぞれ一連の流れとなって展開される。その流れの中に、組織の意思決定全体の本質がある。「PHP 政策研究レポート」(Vol.5 No.63)2002 年7 月


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