電子書籍作家 夢野美鈴のブログ

美鈴の日常や思ったことを書いて行きます。

映画のお約束

2011年02月25日 12時20分26秒 | 日記
何百もの映画を観ていると、それらに共通するパターンが見えて来ます。
しかも、それは現実世界ではまずあり得なくて、
観てる人が「これ、おかしいんじゃないの?」と感じるような登場人物の行動パターンです。

例えば、主人公が警察に追われるようなサスペンス映画があるとします。
この場合、次のような特徴があります。
・主人公は、自分の立場をきちんと表明しない。
・主人公は、わざわざ疑われるような行動をとる。
警察や周りの人に疑われた主人公は、
自分がどういう目に遭い、どういう立場にあるかをきちんと説明すれば理解者も現れるだろうに、
「そんな説明で周囲の人は分かってくれるかよ!」というような説明の仕方をわざわざします。
現実世界では、このようなことはあり得ません。
ドリフのコントで金田一耕介に扮した志村けんが、幽霊に襲われて怖い目に遭いますが、
刑事に扮したいかりや長介を呼んでも、シドロモドロでうまく説明できないパターンとよく似ています。
また、次に殺される人物が主人公にだけ分かる設定の場合、
よせばいいのにわざわざ被害者の殺された現場へ行き、
被害者を殺した凶器に指紋をつけたり、現場を第三者に目撃されたりします。
あまりに間抜けですね。

さて、話は変わってパニック映画にあり勝ちなパターンですが、
登場人物が理不尽な力により、特定の状況、もしくは密室に閉じ込められ、
そこから抜け出すにはみんなで知恵を出し合って協力しなければならないとします。
この場合、決まってみんなを破滅の方向に導く身勝手なキャラクターが必ず一人はいます。
この場合、次のような特徴があります。
・主人公は、傲慢な人物の指図に抵抗しない。
・主人公は、悪い人間をいつまでも放置する。
映画の中では、殺人を犯しても法律が適用されない状況下です。
例えば、ゾンビ映画等を思い浮かべると分かり易いでしょう。
そして、この人物を殺さなくては、
いずれ仲間達を危険な目に遭わせるだろうことが明白な人物が仲間にいます。
最初は傲慢に振る舞い、他者に指図したり、主人公を平気で殴ったりします。
何だか、警視庁の中にはよくいそうなタイプですが・・・。
挙句の果てには、自分が助かるためにゾンビや悪者を手引きし、最悪な状況を作り出してしまうのです。
観ている人は、「こんな奴、最初のうちに殺しておけば問題なかったじゃないか!」と感じます。
そしてなぜか、主人公はこの手の人物には何ら抵抗せず、指図されても素直に従います。
不思議ですね(笑)。
きっと自我が脆弱なのですね。
田舎育ちの人は、確かにこのような自我の脆弱な人は多いですが。

犯罪映画やヒーローものでよく見かけるパターンですが、
敵が凄く凶悪なキャラクターで、簡単に人を殺すようなタイプが登場するとします。
その場合、次のような特徴があります。
・主人公は、脅されると素直に従い抵抗しない。
・主人公は、チャンスがあってもさっさと殺さない。
・主人公は、敵を追い詰めてもトドメを刺さない。
主人公は、銃を突きつけられると何もできなくなってしまいます。
それは当然だと思うかも知れません。
ですが、この後の悲劇を考えたら、たとえ怪我をしようが抵抗した方がまだマシであり、
しかも銃が異常なほど至近距離に構えられているので、
取り上げるのは簡単ではないかと思える場合があまりに多いのです。
でも主人公は素直に従います。銃は一つしかないのに・・・。
たとえ自分の墓を掘らされているのであっても。
なんて忍耐強いのでしょうね。それもバカが付くくらいに。
そのバカさ加減に神様が同情したのか、形成が逆転し、主人公に何度も反撃のチャンスが訪れます。
でも、主人公はそのチャンスを生かそうとしません。
これも、観てる人をイライラさせます。
さらに最悪なのが、遂に悪党を追い詰めたのに、なぜかトドメを刺さないのです。
生かしておくと危険なことが分かっているのに、自分を死ぬほど苦しめた敵を殺しません。
一体、どういう人道主義なのでしょうか?
そのため、最後の最後に最大のピンチが訪れたり、
みすみす主犯格に逃げられて映画が終わるラストさえ存在します。

どれもこれも、主人公や登場人物の行動が、わざわざ問題をこじれさせてしまうのです。
でも、問題がこじれて厄介な状況にならなければ、90分のシナリオが書けません。
そのため、たった一人の人間が大勢を恐怖に陥れることが、映画の中では成立してしまうのです。
これらのパターンは、何も主人公が道徳的人物だからという理由ではなく、
単にシナリオライターのご都合主義であり、
シナリオライターの力量不足であることに気づかなくてはなりません。
現実世界では起こらないようなストーリーを観ていると、本当にイライラします。
これまで述べた定義を一言でまとめるなら、「主人公はトロ臭い人間である」これに尽きます。
観ていてハラハラドキドキするのではなく、ただ単にイライラするのです。
たまにはこんなどん臭い登場人物が出て来ない映画も観てみたいものです。

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