小説の書き方

私は小説を執筆する時、最初にタイトルを閃きで決めます。
タイトルを決めた時、無心になってその言葉から思い浮かぶ情景を書いて行きます。
小説には臨場感が大切だと思うので、自分がまるで体験しているような気分で書きます。
それには、感情を大量に行間に投入します。
自分の魂が抜け出し、異世界を見に行きます。
右脳がそれを見て体験し、左脳が文字に翻訳します。
大抵の場合、先に書きたいシーンを書き、後からそこへ至るまでの筋道を書きます。
旅行にも出掛け、旅先にある空気を書き止めようとします。
書き止めたものは整理して、油絵のように何度も塗り直し、全体を構成します。
ストーリーは説明で表現せず、場面の積み重ねで表現します。
実際の人生も見出しではなく、現在の一念の積み重ねだからです。
内容はリアルであるほど面白く、スケールが大きいほど面白いです。
華美と長命、永遠と刹那、想像力と説得力、冒険とドラマ、面白さとは常に相反する要素の結合です。
考えて生まれたもので、いいものは何一つありません。
逆に無の状態になって、浮かんで来たものを書き止めた方が間違いありません。
たとえ自分が今書こうとしている展開に反していても、
もしくは今書いている内容と全く関係ないとしても、
思い切って浮かんだことを純粋にメモします。
直感というのは気紛れで、目の前を通り過ぎたら逃げてしまい、もう二度と現れません。
だから私は、同時に三作や四作進行している場合もあるし、
何も浮かばない時は何箇月も書きません。
作家は書くことだけでなく、他人が書いたものも読まなければなりません。
作家であれば尚更他の小説を大量に読まなければなりません。
勿論、それには速読という技術があった方が有益でしょう。
そうしているうちに何かと繋がり、言葉が溢れ出すことがあります。
執筆と一人旅はよく似ています。
旅は行き当たりばったり、でも予定調和がしっかりと働きます。
執筆も気紛れでランダム、でも後からパズルがはまるように必ず完成します。
今の時代はインターネットが普及し、自分の表現を発表する場が増え、
芸術が爆発的に花開いた新たなルネッサンス期だと思うのです。
ことに文章という表現は、最もデータの負荷が少なく、ネットの時代に向いてると思うのです。

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