(連絡が…来ない……)
韓国から旅立って、移動の慌ただしさや、マカオに馴染もうと無意識に努力する時期も過ぎたころ、チェギョンは
一度も夫から連絡が来ないことが気になり始めたのだった。
いや、正確には、韓国を離れる前から気になっていたのだ。
ただ、忙しさを理由に誤魔化すのが限界に来ただけのこと。
それはチェギョン自身がよく分かっていた。
(せめてメールとかさぁ~)
思っても、誰にも言えない。
(こうゆうのは男性から動くものでしょう!!)
相手が口下手で、こと対人スキルに関してはいまいちだと分かっているくせに、チェギョンはそれをすっかりと棚上げしていた。
同行したチェ尚宮にはさすがに言えない。
いや、多分理解はしているのだ。
だから、チェ尚宮もなにも言わないのだ、きっと。
無事に着いたという連絡は、すでに上殿に入れている。
ならば、シンが動かないということだ。
だから、チェギョンは不安になる。
「シン君、やっぱり…」
その先はどうしても口にできなかった。