
ショックが多過ぎて…無でしかない。
福島の伯父が昨夜亡くなったと、今朝連絡があった。
自宅葬による密葬で、明日…火葬されると。
うちの母とも話した結果、亡くなった父の代わりに私が行かなくてはならない。
いや…行かなくてはならないというよりも、行く。
その伯父は、福島から父の所へ出稼ぎに来ていて、私が小学5年生位まではほぼほぼ一緒に生活していた。
父の帰りが遅い時は、伯父が私をお風呂に入れてくれたり…父に私が叱られてる時は、よく助け舟を出してくれていた。
本当に父代わりのような伯父で、幼少期からずっと一緒にいたような感じで…。
そういえば…私のランドセルを買ってくれたのも、この伯父だった。
「牛革の1番高いランドセルだぞ!」って、私よりも嬉しそうに…自慢気にプレゼントしてくれた、艶々で他のランドセルよりも濃い深紅のランドセル🎒
私よりも嬉しそうに…というのは、私は本当は…当時珍しいピンク色のランドセルが欲しくて。
父と一緒に買いに行く約束をしていたから…。
素直に喜べなかった。
当時は軽いランドセルが出始めていたが、私のは重たい牛革のランドセル。
雨が降ると…もう水を吸って重たくて重たくて…。
それでも…段々と、みんなと違う濃い深紅の色に…そして、誰よりも艶々なランドセルに…慣れてきた。
今思うと…いや、やっぱりランドセルは勝手に買ってきちゃダメだよ〜😭
どんなに高価なランドセルでも、それはないって…と今更ながら伯父には言いたい。
伯父は、穏やかな父とは違い…ハッキリ…キビキビした人で、口調も父より厳しかった。
それでも、伯父のニカッとした笑顔をよく思い出す。
そして…父が亡くなった時。
長男として本家を守っていた伯父だったが、伯父の娘は嫁に行き…息子は結婚もせず…の状態で、このままでは絶家になってしまうという事で、子供達のいる私に本家を託してくれた。
今まで必死に守ってきた家柄を…代々続いてきた本家を…次男の娘に本家を託すという決断は、どんなに苦しかっただろう…。
それでも、自分の代で終わらせるくらいなら…と、私に引き継いでくれた。
そんな私は伯父とは違い、終わらせるのであれば自分の代で…という覚悟で、私も受け継いだ。
そんな伯父が亡くなったと聞いた時、色々な思い出が蘇り…心底ショックを受けた。
と、同時に…もう本当にこの家を守れるのは私しかいない。
私は当主として、ちゃんと独り立ちしないと行けないんだ…という覚悟と、恐怖感もあった。
まずは…父の代わりとしても、そして当主としても…伯父の葬儀を滞りなく出来るよう、最期までちゃんと見送らなくては…という、覚悟。
その為には、頭も下げなきゃならない。
この家系を守る為なら。
そう思い、私が不在の間…家に残る子供達の事と、葬儀に関してまとまったお金が必要となるので、その立替のお願いにお隣へ向かった。
ただ…ここで、私は…無になった。
ショック…哀しみ…怒りを通り越して、無。
「実は…昨夜、福島の伯父が亡くなって…」と話し出したら…突然の高笑い。
「あはは(笑)!そうなの〜?何歳なの?(笑)」と、なぜか爆笑するお隣のばぁーさん。
一瞬、私はびっくりして息を呑んだ。
すると、私の隣にいたちびうさが、無言で私の手を掴んだ。
何が起きてるのかよくわからない状況に…混乱しつつも説明を続ける。
「伯父は、84歳で…」と言うと、
「あー!それならいいじゃない!(笑)
もう80過ぎたら、ホント逝って!って言える年齢なんだから。(笑)」と、また爆笑するお隣のばぁーさん。
もうその時点で、私は完全に…無。
そのまま私は無言で家に戻った。
私の手を掴んだままのちびうさも。
家に入るなり…ちびうさが声を押し殺しながら、呟いた。
「人が亡くなってるのに…高笑いするなんて、頭おかしいんじゃねぇか?
80過ぎたら、もういいじゃんとか…ホント意味わかんねぇ!
俺、今人生で1番後悔してる。
何で俺、すぐに…笑うなんておかしくね?って、声を出してばぁーさんに言えなかったんだろ…
何で俺…黙ってたんだろ…
ママ、本当にごめん…。
ごめんだけど…亡くなったのがばぁーさんだったら良かったのにって、俺…思っちゃった…。」と。
私は自分に言い聞かせるように、ちびうさに言った…。
「認知症って、人の心も失ってしまう怖い病気なんだね…。
ちびうさは、私の手を瞬間的に勘付いて掴んでくれてた。
それがどんな意味なのかわかったし、そのおかげで私は無でいられた。
それで精一杯だったのもわかるから、大丈夫よ。
ありがとう…。」って。
私も言ってやりたい。
じぃーさん、もう十分でしょ?って。
ばぁーさんにも、まだ逝かないの?って。
でも…そうしたら同じ土俵になっちゃう。
それに…そういう怒りの気持ちとか…そんな事で自分の時間を使いたくもない。
許せない発言でも、赦すというのは…しんどくなる。
赦さないのもしんどい。
だから、無。
無になるだけ。
なんだろ…無になると、ボーッとするんだね。
もう…何も期待しない。
何も…悲しまない。
何も…感じない。
さて、そろそろ出発だ。
日帰りで福島…体力気力勝負。
大丈夫、私なら出来る。
私なら出来る。
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