「争う」 吉野 弘
静
青空を仰いでご覧。
青が争っている。
あのひしめきが
静かさというもの。
浄
流れる水は
いつも自分と争っている。
それが浄化のダイナミックス。
溜り水の透明は
沈殿物の上澄み、紛(まが)いの清浄。
河をせき止めたダム
そも水は澄んで死ぬ。
ダムの安逸から放たれてくる水は
土地を肥やす力がないと
農に携わる人々が嘆くそうな。
「記憶」 朴念尽
昨日は友人3人の手助けで、28℃の蒸し暑さの中を
ブルーベリー畑のブルーベリーを、鳥たちや虫たちから守るために
ネットで囲んだ。記憶というものが年々失われていく昨今。
昨年の今頃確かに「コガネムシ」が集まってきたことだけは覚えている。
そして二人のヘルパーに力を借りて、ネットを張ったことも覚えている。
しかしどのネットでどの場所を張ったのかを忘れているのだ。
結局、ブルーベリーにとって、どの網が一番ありがたいのかで、
次に張る側の手やすさを考えて、張りにくいアミ、ブルーベリーに引っかかって落とす網を
捨てることにした。
これからの自分の生き方は、かくあるように今までの生き方ではなく、今の自分にふさわしいやり方で
物を考えることにしたのだ。過去の曖昧さの中での記憶は、いい格好の希望や汗の匂いのない霧のようなものだ。
そう考えたら吹っ切れた自分と、財布の中身がなくなっていた。
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