見出し画像

Re-Set by yoshioka ko

■暗殺の公園

 イスラマバードでは様々な噂が飛び交っている。まず内務省がベナジール・ブット(以下BB)を殺害した真犯人は、アフガニスタン国境に近い北西部の部族地域、南ワジリスタン地区の武装勢力を率いるベイトラ・メスード司令官だと名指しした。司令官側はすぐさま暗殺への関与を否定した。

 暗殺時の状況に関して、当初BBは頭部と頸部に3発の銃弾を浴びた、という報道がなされた。しかし政府は「BBは銃撃音を聞いて首をすくめたときにサンルーフの縁に首を引っかけ、それで死亡した」と説明した。銃撃はあったが、死因は銃弾ではなかった、というのだ。この説明に、目撃者らからは疑問の声が上がっている。

 ともあれ、内務省のチーマ報道官によると当局は28日朝、にメスード司令官と「シャヒブ」と呼ばれる人物の電話を傍受。そこでは司令官が「おめでとう。よくやった。彼女を殺した少年らは勇敢だ」と暗殺成功をたたえた、という。メスード司令官は国際テロ組織アルカイダやアフガニスタンの反政府武装勢力タリバンと関係が深い人物だ、という。

 果たして真相は何か?街に飛び交う噂は、ひと言にまとめて言えば、ムシャラフが仕組んだ暗殺、というものだ。上記写真などがその根拠とされた。写真のキャプションは以下のようなものだ。
 〈パキスタンのテレビ局「ドーンニュース」は29日、ブット氏を囲む群衆の中で銃を構える男(赤線の枠内)の写真を放映した。写真は3枚あり、ブット氏が殺害された27日、アマチュアカメラマンが写していたという=ロイター〉

 イスラマバード近郊の街、ラワルピンディ。BBが選挙演説を終えて壇上から降りサンルーフ付の選挙カーに乗車。支持者の声援に応えようとサンルーフを開け、上半身をさらしたときに銃弾が襲った。犯人は、写真の人物だ、と『ドーンニュース』は伝える。

 その場所に立ってみた。この公園はCamp Baghと呼ばれている。実はこの公園は、パキスタン建国後の初代首相Liaqit Bagh(リアキッド・バー)が暗殺された場所だった。それから数十年経って、この同じ場所でBBが殺された。因みに首相だったBBの父ブットも、このラワルピンディの軍刑務所(AliAlaJail)で処刑されている。

 ラワルピンディはパキスタン政治を語るときに必ず出てくる場所である。銃撃を受けた場所にはPPP青年部の若者たちが集まり、路上に置いたBBの写真に蝋燭を灯し、「誰がBBを殺したんだ」「誰に殺されたんだ」「国ははっきりさせろ」と叫んでいた。
 

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「テロとの戦争」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
2021年
2012年
人気記事