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F: false direction

F: false direction


これはそのまんま、誤った演出上の指示ということです。

今回、高校の最後の発表では、幸運なことに二組の生徒の演出をさせてもらうことができました。

この二組の舞台成果に関しては、対照的な結果が出てしまい、大いに反省しています。


二組とも、既述した「Hello Out There」をやったのですが、1チームは台本上の舞台=お客さんに見ている世界と、俳優たちが想定している世界=演出上の指示として動きをする世界をあえて変えてやりました。

どういうことかというと、俳優さんたちには現代の駅のプラットホームの端と端に別れてしゃべりあっている世界を想定してもらい、電車が彼らの間を通るときはせりふがさえぎられたようにあるいは相手には聞こえない台詞として言ってもらう計算で作っていきました。本来は心の中に引っ掛かりがあって、言い辛かったり言いよどんだりする「・・・」とか「-。」という感じで台本では書かれる部分です。

顔を背けてもらいたいときは、後方に行く電車を見送ってもらい、逆にここは観客に顔を見せたい、というときは前方に行く電車を目で追ってもらう、という指示を出しました。

そして、その電車の箇所がわかるようにと効果音を入れたのです。

つまり体の動きの振り付けをしたのですが、それの説明を俳優に対してはすべて電車の通り抜けで行ったのです。

効果音はガラスが割れたりする音で、捕らえられた男に私刑をするために集まってきた群衆が投げつける簡易爆弾や投げつけられたものに見えるようにして、俳優が電車に対応しているさまが自動的に演技に見えるようにしたつもりでした。

でもこれは私の判断ミスでした。どうせなら電車として本当に場面を置き換えてするべきでした。

結局、俳優たちも振り付けどおりには動けず、観客たちに対しては演出の意図がよくわからない芝居になってしまいました。


逆に、もう一組は成功しました。
こちらは、以前から暖めていた設定で、劇団の俳優たちにはこの設定はお客さんにはわかりにくいよ、という風に言われていた設定でしたが、「わかりやすい」という評判を得ましたし、悲劇で暗いと思われていた台本で笑いを起こすことができました。

若い男と少女が実は知り合いで、少女が実は知らない振りをする幼馴染という設定です。

若い男は最初目隠しをされていて、それをとってからもなぜか少女は顔を見せようとしない(幼馴染とばれるから)、という設定です。

これを生徒たちはしっかり素直にやってくれて、予想以上の舞台成果でした。
こちらはディレクションの勝利だったと思います。

思うに技巧的に走るより、きちんと面倒でも俳優とコミュニケートし、指示の必要性、必然性を俳優がしっかりと理解し、かつお客さんにどのように見せたいのかについては、ある程度はっきりしたイメージを共有する必要があるということをいまさらながらに学びました。

別のことをしているさまが、まったく別の演技として成立するということは、実際あるにはあるのですが、それはあんまりよくないのだということを学びました。

やはり正攻法で、直球で行くべきです。

僕に変化球を投げることは、あわなかったです。
というかまさしく失敗しました。

一組目には本当に申し訳ないです。
がんばって台詞は覚えてくれたのに・・・。

次回の演出作品でものすごくいいものを創ってお詫びに代えたいものです。
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