先日参加した、利賀演劇人コンクール第一次上演審査の総評が出ました。
https://togaconcour.tumblr.com
「松浦さんの舞台は、作品の世界を最も的確に表現してくださいました。」
と言ってもらえています。日本語を研究し、そのために塾で現代文も教えるようになっている私にとって、戯曲の読解力とその表現力において認めていただいたのは、本当に嬉しいものです。
また、他の方たちは作品と言われているのに対して、舞台という言葉が使われているのを好意的に解釈すれば、舞台人としてはこの上ない喜びですし、後述する自身の反省を考え合わせると大変的確な表現だな、と思います。
「旧仮名遣いをそのまま発音するといった試みも面白かったのですが、その割に他の部分の言葉に対する扱いが弱くバランスを欠く印象になってしまいました。」
と書かれています。
私の反省としては、稽古時間に比して、やろうとした事が多い割に尺が長すぎて、全て中途半端に終わってしまった、という事です。
自分ルールとして一つの作品に対して160時間かける、と言うのがありました。
いわゆる商業演劇が1ヶ月の稽古時間で上演する、と若い時に聞いて、週40時間(1日8時間×5日)×4週間=160時間という計算です。
以前は作品を80分ぐらい作っていましたが、最近は70分ぐらいになってきていますし、急病などで抜ける時間や、最初の顔合わせ・ワークショップ、テーブル稽古などの時間を抜いて、140時間に減らします。計算しやすくするために。
すると140時間を70分で割るので、2時間で1分という方程式が出来ます。
つまり稽古時間2時間で作品として完成したものを出せるのは(計算の上では)1分間である、ということです。
今回は20分以内というのが規程で、稽古時間は10時間程度でしたから、本当は5、6分の作品を作るべきだったのに、実際は3倍の18分間のものを作ってしまいました・・・。そりゃあバランスが悪くなります・・・。
でもね、やっぱりね、岸田さんをやりますし、勉強すればするほどやりたい事って出てきてしまいますよねえ。しかも憧れの青年団の俳優さんたちですし・・・。
昔からの癖なんですけど、思いついた事やりたいと思ってしまった事はやってしまうという僕の性格がそのまま出ました。美術の先生に「おまえ、アイデアだけはいいんだけどなあ」と言われていたことを思い出します。
かといって6分間を作るっていうのも・・・。
ちなみに柳美里さんに後でお聞きしたところ、最初の投票で3位にはしていただいていたようです。可もなく不可もなくって感じだったのかなあ、と思いつつ、お客さんに対して、自分のこだわりの完成品を見せるのか、荒削りでも戯曲の世界を紹介し、物語として完結し得るものを提出するのか、という最初の選択で、もう一度やっても同じ決断を下しそうな気もします。
舞台は、僕個人のためのものではなく、第1にお客さんのためのものですから。
でも、コンクールに勝つなら完成度だろうな、とは改めて思います。
そしてやはりお客さんに対しても完成度の高いものを見せるべきだとも。
やっぱり、もうすこし短くしても良かったかな。今思うと。
Tomo Matsuura
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