吉川祥瑞独語抄

日々気が付いた事、考えさせられる事等綴っております。

国民救援会全国大会に参加/救援運動の役割実感

2012-08-03 08:33:51 | 国民救援会
 7月28日~30日の3日間、日本国民救援会第56回全国大会が神戸市のシーサイドホテル舞子ビラで開かれ福島県代表代議員として参加してきました。大会には、47都道府県から、代議員、特別代議員、中央役員、顧問など461人が参加、他に大会要員104人が大会成功のため献身的な役割を果たしました。議案討議では68人が発言し、全国各地での救援活動の体験と教訓が語られました。代議員は異口同音に「人を助けるって すてき!」の救援会運動の原点に立った取り組み内容を報告しながら、「苦労と喜び」の経験を楽天的に語り、会場を沸かせる場面の連続でした。
 大会初日、福島県の特別代議員として参加した浪江町議会議員 馬場績さんが特別報告を行い、今なお16万人の福島県民が古里を奪われて避難しており、いつ帰れるか先の見えない過酷な日々を送っている実態を自らの体験を交えながら報告しました。また、「”昨夜、友人が避難先の2階から転落し重篤状況にある”との知らせが参加途中の電車の中の携帯に入った。酒に酔っていたらしイが残念でならない。酒でも飲んで気を紛らわさなければ生きていけない毎日なんです。みな同じ思いなんです。」との報告に会場は大きなどよめきに包まれました。家族と地域コミニテ―がズタズタに分断され、悲劇的な事態が多発している状況を具体的に話す馬場町議の報告に参加者は大きなショックを受けていました。東京葛飾から参加した知り合いの代議員から「馬場さんに東京に来てほしいのだが、頼んだ見てくれないか」との要請を受け、早速馬場町議に連絡、当事者間で日程調整に入ったようです。また、重要な段階に入っている「国公法弾圧2事件のたたかい」の特別報告があり、府川事件の再審無罪の勝利報告とお礼のあいさつが桜井昌二さんからあり、参加者から大きな拍手が送られました。


↑ 原発事故の実態を報告する馬場町議


↑ 国公弾圧2事件での勝利に向け決意表明する堀越さん


↑ 再審無罪の報告と国賠訴訟でたたかうけついを表明する桜井さん

 夜は、夕食懇親会が開かれました。この日はオリンピック開会日と重なったため、会場には「特設聖火台」が設けられて点火式が行われ、聖火台に”聖火が燃え上がる”なかで「国民救援会開会」が宣言され、盛大なセレモニーが執り行われました。


 聖火が点火され、「あかあかと燃える聖火台」

夕食懇親会終了後、名張毒ぶどう酒事件を描いた東海テレビ制作のドラマ「約束」の試写会があり、200人近い大会参加者が2時間を超えるドラマを食い入るように鑑賞しました。上映後、参加者は異口同音に「事件を克明に描いており、すごくよかった」と感想を述べていました。
 このドラマは、奥西勝さん役を仲代達矢さん、奥西さんの母親役を樹木希林さん、事件当時の奥西さん役を山本太郎さんらが熱演し、ナレーションを寺島しのぶさんが担当しています。ドラマは、今年暮れから来年にかけて全国の映画館で上映される予定になっています。
 ドラマは、はじめに「事件から51年、これは獄中からいまも無実を叫び続けている死刑囚の物語です。」のナレーションが流れ、「この番組は『名張毒ぶどう酒事件』の長期取材を基に構成しました」のテロップが映し出されて始まります。ドラマは、事件内容を克明に、しかも忠実に描きながら進みます。そして、ドラマ最後の鈴木泉弁護団長の記者会見の模様は、見るものに権力に対する新たな怒りを呼び起こさせます。第7次再審差し戻し審で、名古屋高裁が「不当決定」を下したことを伝えるために、入院先の病院に奥西さんを訪ねた模様を報告する記者会見です(奥西さんは不当決定当日、肺炎を起こし、八王子医療刑務所に入院しました)。鈴木弁護士は涙をにじませ、怒りをあらわにします。「・・・奥西さんに会ってきました。細く痩せ細ってしまった腕にですね、手錠がかけられているんですよ(涙をにじませながら、歯を食いしばり・・・)、もう、奥西さんは何十年も前に無罪の判決を受けた人ですよ、それを、あーだ、こーだと理屈をこねて、何ら証拠がないのに無理やりさせられた自白だけですよ奥西さんが有罪だということをわずかながら示している証拠は・・・、奥西さんに死刑の宣告をし、その死刑の宣告を維持し続けた裁判官は50人以上おり、私は彼らの責任を問いたい!!」
 2012年5月名古屋高裁は検察側が主張もしていない理屈を持ち出し、推論に基づく「不当な決定」を下し、奥西さんの「再審開始」の扉を再び閉ざしてしまいました。東海テレビが確かな取材を基に、真正面から真実に立ち向かい、一連の事実を忠実に描いたドラマを制作したことに拍手を送ります。是非多くの人に見てもらいたいと思います。このドラマは、体調に不安を抱えながら無実を訴え続ける86歳の奥西さんを一刻も早く死刑台から取り戻すための大きな力になるに違いありません。


↑ ドラマ「約束」のタイトル画面
 
 大会2日目は、えん罪、人権侵害事件で多くの発言がありました。東電ОL殺人事件の「支える会」客野美喜子さんが東京高裁の再審開始決定について報告、ゴビンダさんのお礼の言葉も交えながら国民救援会の支援に感謝を述べました。名張毒ぶどう酒事件では三重の砂野代議員が奥西さんの一日も早い獄中からの救出のため最高裁判所宛の署名活動の強化を訴えました。仙台北陵クリニック筋弛緩剤えん罪事件では、守祐子さん(守大助さんの母)が、2月10日仙台地裁に再審請求書を提出したことを報告しながら、支援の訴えを行いました。東住吉えん罪事件では、朴さんの母・李文子さんが再審開始を確定させて無罪を勝ち取る決意を表明しました。日野事件の阪原美和子さん、袴田事件の袴田秀子さん(袴田巌さんの姉)、がそれぞれ当事者の家族の立場から支援を訴え、高知白バイ事件、大崎事件、豊川幼児殺人事件、介護ヘルパー窃盗えん罪事件も当事者や関係者が支援を訴えました。


↑ 東電ОL事件の再審開始決定の報告と謝礼を述べる客野さん


↑ 名張毒ぶどう酒事件 特別面会人・稲生(いなう)さんの訴え


↑仙台北陵クリニック筋弛緩剤えん罪事件 守祐子さん(守大助さんの母)の訴え

 午後の討論には私も参加し、郡山支部活動の経験を報告しながら「憲法から原発事故をどう見るか」発言しました。「・・・馬場浪江町議の報告の通り、現地福島は、家族も地域コミニュテーもズタズタに分断され、数々の深刻な事態が発生している。まさに、憲法で保障されている生存権、財産権、教育権、職業選択権など基本的人権が一方的に奪われている。この事態は単に福島だけの問題ではなく、全国民の将来かかわる深刻な問題で、「原発被害者に対する救援」の課題として位置づけるだけで足りるものではない。人権団体としての国民救援会の大会決定は「原発事故は憲法を真っ向から蹂躙するもの」と明確に位置づける必要があると思う・・・」との補強発言をしました。その結果、大会議案は「福島原発事故は住民の生存権・財産権をはじめ基本的人権を根こそぎ奪ってしまいました。原発が憲法と相容れない存在であることが明らかになりつつあります。・・・」の文言が追加・修正されました。この問題は福島県本部常任委員会の議案討議で議論され、大会で補強意見として発言し、修正を要請することになっていた問題です。

↑私も討論に参加、支部活動報告と補強意見について発言

 3日目は討論と討論のまとめが行われ、議案修正(原発問題)も含め議案は全会一致で採択されました。また役員選出と大会スローガン、大会アピール、諸決議の採択が行われ、参加者全員の「団結ガンバロウ」三唱で大会の幕を閉じました。
 大会は、豊富な救援活動の経験と教訓が交流され、国民救援会運動の新たな到達点を確認するものとなりました。そして、あらためて国民救援会の存在と役割の大きさを
自覚する意義ある大会となりました。


↑大会参加の福島県代議員(右から 馬場特別代議員、吉川、石川、鈴木、栗城 の各代議員)span>

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