先日、新潟弥彦温泉で行われた「銀行労連東部支部OB会」に参加し、その帰り道燕市国上(旧分水町国上)の五合庵に寄ってきました。
銀行労連は、全国の銀行労働者で組織している労働組合の全国組織で、私も過去に中央執行委員を務めています。
東部支部は、東北・北海道・新潟所在の労働組合が集う地方組織で、支部OB会が各組合持ち回りで毎年開かれています。
五合庵は、良寛が諸国行脚をした後、40歳から59歳まで住んだ小庵です。
私が良寛に惹かれるというより、良寛の書に惹かれると言った方が正直なところです。
良寛は、この五合庵で「良寛流」の書を書きあげていますが、いわゆる書家ではありません。線の細さ、素人が書いたような一見つたないように見える字形、しかし、この素朴ともいえる文字に吸い込まれるような魔力があるのが良寛の書と言われています。
(左)不語似無憂 (右)君看雙眼色
沙門良寛書 沙門良寛書
(読み下し…右より)
君看よ 雙眼のいろ
語らざるは憂いなきに似たり
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「天上大風」はこすりがき風な素朴さ、いわゆる書家風ではありませんが、邪念をそぎ落として残ったものの字形と言われる良寛の代表的な名品です。
「君看坩雙眼色 不語似無憂」は、流れるような運筆でしかも捻じれ弾けるような筆法が見事に組み合わされています。見れば見るほど引き込まれていきます。
五合庵に腰を掛け、書の世界に浸ったような錯覚を味わえたひと時でした。