”卒寿のデビュー”と話題になった横井和子さん に惹かれてCD「ピアノ・リサイタル2010」を聴いた。
現役最高齢のピアニストで、大阪教育大、大阪芸大の名誉教授で、関西クラシック界の重鎮。
音楽生活70年ものキャリアのなかで、今日まで歩んできた証しに、日本大学・カザルスホールでのコンサートホールのライブ録音したものという。
私生活では、幼くして両親を亡くし、祖母の育てられて東京音楽大学(現東京芸術大学)を卒業し、翌年結婚した夫はミャンマーで戦死、弟さんを病気で亡くした。
「つねに音楽があったからこそ、悲しみを乗り越えられた」。そして「人生最後の日まで、ピアノとともに歩み続けたい」と述懐する。
いま91歳。毎日2時間、鍵盤に向かう。
折りもおり、96歳のチェリスト・青木十良さんの音楽人生をたどる『チェリスト、青木十良』(大原哲夫著)が雑誌の書籍紹介欄で目にとまって、本を読んだ。
鉱石ラジオを作ったりした科学少年が、チェロに出あい、ドイツ人チエロ奏者に出会って手ほどきを受け、以後はほとんど独学。
88歳で、バッハの『無伴奏チェロ組曲第6番』をCDにリリース。以後さかのぼって全6曲を目指しているという。
”絶妙のボーイング”と評され「チェロを通じて人間の尊厳を表現したい」という青木氏に感動を覚え、CDを求めた。
楽譜を見ながら、ボーイングのイメージトレーニングをする姿に、またしても感動する。
横井ピアノと青木チェロを交互にBGMとして聴いている。
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98歳で詩集『くじけないで』を出版した柴田トヨさん が『百歳』を続刊され、共に読んだことは、前にこのブログに書いた。
と、たまたま見ていたテレビ番組で「絵日記」を描き(書き)つづける93歳の竹浪正造さん が紹介されていた。
昭和30年1月1日に一念発起していらい休まず56年間、大学ノートにして2296冊になる。
たまたまその番組をみていた出版社の社員がぜひ本にしたいと即交渉。
『はげまして はげまされて』として出版された。親子の絆、家族愛がユーモアとともにつづられている。
「世界記憶遺産」にも登録されたという。
当のご本人は照れながら「人生のよい土産になる」とポツリ。
きょう傘寿の第1歩を踏み出した私。大先輩たち、横井さん、青木さん、柴田さん、竹浪さんに学び、あやかりたい。