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読み捨てー捨てません。返します

文字中毒の私です。読み飛ばす本の画像に、簡単な感想を載せています。

『三つの名をもつ犬』『最後の毛布』

2021-06-19 13:18:47 | 日記
近藤史恵『三つの名をもつ犬』
この作家は余程犬好きらしい。
『さいごの毛布』に続いて、ストーリーの中心に犬を持ってきている。
不倫をしている都は、愛犬エルをブログに載せてから仕事は順調に。
不注意からエルを死なせたことを秘密に、エルに似た犬を探す。ここから、歯車が狂い出す。
ホームレスがエルにそっくりな犬ナナを飼っていると聞いて、都は犬を誘拐してしまう。ブログにはエルとしながらも、その犬にササミと名付ける。ササミに噛まれた不倫相手の橋本に「保健所に処分させる」と言われ、都は思わず橋本を刺し殺す。
橋本の妻は、殺人を知ると共謀して遺体を始末する。
詐欺グループが事件の臭いを嗅ぎ付け、犬好きのチンピラ江口を巻き込む。、、と、こんな具合に、どんどん深みに嵌まっていく登場人物達だが、最後に都の自首で犬も救われそれなりにホッとして終わる。
本当の犬好きな人は、責任感が有るものです。
近藤史恵『最後の毛布』
老人ならぬ老犬ホームでの話。
生きるのに不器用な人たち。口下手、人見知りなために、家族から孤立していく智美。犬アレルギーの息子を置いて離婚したオーナー麻耶子。不倫から逃れられない優しい従業員の碧。
毛布とは、きっと老犬たちの温もりだと思う。それぞれが時間を掛けて、再出発して行く。

『二年半待て』『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

2021-06-19 13:12:49 | 日記
新津きよみ『二年半待て』
通勤電車の往復で、読めてしまった☀️ 七編の「活」。すなわち、「就活」「婚活」「恋活」「妊活」「保活」「離活」「終活」
女性視点でまとめてあるので、なるほどねえとサラッと読めます😉
ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』
『次に予約で待っている人がいます。なるべく早く返しましょう。』の紙が挟まれていた。急いで読んだ。
福岡からイギリス南部に嫁いだ女性の子育てを通したドキュメンタリー風。教育制度、階級色、宗教、ヘイト、ドラッグ、彼女の日本人イエロー視点や白人夫ホワイトの意見、何より成長していく息子の受け止め方(ブルーであったり、グリーンなときも?)等、改めて知らないことが多いと再認識した。
田舎の均一的な環境にいると、敢えて求めない限り異質なものに出会う機会は少ない。観ても読んでも、生の体験がない感覚はどこか距離感を持つ。こういうことは、学習してきちんと整理して受け止めていくことが私のような場合は必要ではないかと考える。
彼女の『子供たちの階級闘争』(大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞候補になったそうな)も読んでみよう。

『贖罪』『終わった人』

2021-06-19 13:02:13 | 日記
 
秦かなえ『贖罪』読了。
週2日、公共交通機関を利用している時が、読書タイム。
かなえさんの『告白』をイメージさせます。娘を殺された母親の復讐話と言うのも同じなら、関わった小学生の同級生女児四人に一人一人に語らせる手法も同じです。「時効までに犯人を捕まえるか、私が納得出来る償いをしないと、復讐する。」と言う母親麻子の呪いに囚われたように、成人した四人各々が殺人事件を起こす。皆不幸な結末になるも、夢中で読んでしまいますね。
内館牧子『終わった人』
岩手県から東大法学部卒、メガバンクで役員手前迄行った田代。
結局は、出向先の専務で退職の63歳の、プライドと未練と足掻きのお話。
TVドラマ『すぐ、死ぬんだから』に通じるものがありました☀️
内館さんが還暦過ぎてから書いた本で、エピローグに「60代は自信も自負もあるのに、社会からお引き取りくださいと言われる」と、書いている。
その後の心境も伺って見たいものです。比べるべくも無いけれど、何と彼女は私と生まれ年が同じでした‼️

『プール葬』『アンフェアな月』『ポイズンドーター・ホーリーマザー』6編

2021-06-19 12:38:30 | 日記
新井千裕『プール葬』
引きこもり青年が、夜間プール管理人で働きだした。プール底で死んだ真似したり、宇宙やら何やらとりとめのない想像したり、老人から猫を託されたりと、ぐちゃぐちゃ話が進みますが、ふんふんといつの間にか読んでしまう。
秦 建日子『アンフェアな月』
必要とあらば犯人射殺(既に二人)も厭わないアラフォー超美人刑事雪平。
「人殺しの娘」と苛めにあった小学生娘を夫に託して離婚。
風呂にも入らず、2~4日ぶっ通しで働く検挙率一位の、部屋も本人も不潔、不眠症の雪平。
シングルマザーの乳児が誘拐される。余命一年を予告された男と、努力を尊敬されない不満を溜め込んだ医師。経験と手腕に自信を持つ刑事仲間や、情報を一つ一つ自ら確かめていく雪平刑事の視点が圧巻です💓
秦みなえ『ポイズンドーター・ホーリーマザー』6編
毒親に支配されたけど、自分が親になったら「娘の心配をして、何が悪いの❗」とさ。

『私のカレーを食べてください』『ギリギリ』

2021-06-19 11:59:11 | 日記
幸村しゅう 『私のカレーを食べてください』
6歳から18歳迄で養護施設で過ごした(このベースは大きい)成美は、小学校の担任の先生がお別れの日に自分の為にスパイスから作ってくれたカレーに強烈な想いを抱く。高校卒業後、夜間の調理専門学校に通い、困難の中で理想のカレー一筋に邁進する。
読みながら《頑張って》《このカレー、どんな味か食べてみたい》の繰り返しです。最後にレシピ4種有るけど、私は食べる側が良いわ
 
憧れだった同級生瞳の夫が急死して、ひょんなことから再婚相手となったシナリオライター志望の健児。
優しい健児は、瞳の元姑静江にもこまめに尽くす。三人ともに、思いやりのある人達だが、これで良いのかという気持ちがそれぞれにある。それが、健児が売れ出したあたりから問題として表出し、ついに瞳と健児は離婚する。人の気持ちは変えようがないし、気付いてしまうと気付く前には戻れないし。離婚は、仕方ない場合もある。