緊急事態宣言の延長されてから急浮上してきた9月入学制ですが、入学と始業を9月に変えると何か起きるのかどういったメリット、デメリットがあるのか私なりに解説してみました。
※一部日本経済新聞の記事より引用、抜粋しております。
〇9月入学制に対する都道府県知事の「基本的な考え方」※日経新聞5月12日記事より抜粋
賛成:18人
どちらかといえば賛成6人
反対:2人
どちらともいえない:15人
明確な反対が2名に対し賛成が6割に上っている。
〇日経新聞が行った世論調査※日経新聞5月10日記事より抜粋
18歳~39歳:賛成66%/反対28%
40歳~59歳:賛成59%/反対32%
60歳以上:賛成50%/反対35%
どの世代においても賛成が反対を上回る結果となっている。
〇各業界の反応※日経新聞4月30日記事より抜粋
三菱重工業:新卒一括採用の見直しが進む
早稲田大学・田中総長:在学中の学生が社会に出るのが遅れる、私立の学校の授業料が得られなくなる可能性がある。
関西大学・芝井学長:海外の学生にも日本の大学が選択肢になる。浪人中の学生や小学校の入学時期の変更などの影響が大きい。
全国高等学校長協会・萩原学長:学習の遅れを取り戻せる。就職活動をする高校生、教職員の定年時期など課題が多い。
代々木ゼミナール・佐藤教育推進本部長:海外に足並みをそろえられる。4月入学に準備してきた受験生や教育業界が切り替えられるかが問題。
学期の開始の時期が海外と揃うことで大学同士が連携して単位交換プログラムをやりやすくなる。日本の学生で留学経験のあるのが4%程度であるため、日本の教育日程を世界基準にすべきだとの指摘は以前からあった。
経済会の一部からは「9月に入学、夏に卒業」へ移行するならば「企業は通年採用に切り替える必要がある」「一斉入社をやめて多様化を図るべきだ」との声が出ている。
〇中曽根首相時代に研究が行われていた9月入学についての内容※5月14日福島民報より抜粋
経費については当時の費用で1兆8000億円を試算していた。
年間計画について、9月入学を導入した場合には12月までが1学期、翌年1月~3月までが2学期、4月~7月までが3学期と想定。中学校の運動会や部活動の大会は冬季を避けて3学期に行うモデルを提示していた。
9月入学の以降についてはある年の4月~8月までの子どもが一緒に入学する「1.5倍方式」や1年目は4月生まれ~翌年5月生まれ、2年目は5月生まれ~翌年6月生まれ、6年間をかけて小学校での以降を完了させる「漸次受け入れ方式」などが示されていた。
「横山専務のコメント」
新型コロナウィルスの影響で学校の休校が長引くなか、勉強の遅れを取り戻すための施策の1つとして急浮上してきた9月入学、始業ですが・・・こうした各界の反応や世論の結果を見ると一時的に犠牲となる子どもたちや教職員の方の負担増などは懸念されるものの、日本全体の今後を考えると海外交流が盛んになり、学生の就職場や機会増えることは間違いなくプラスになるのではないでしょうか。
不動産屋として短期的なことを申し上げると9月入学・始業を決定した段階で非常に大きな経済効果があるのではないかと考えております。
理由としては、9月入学・始業が決定した時点で8月いっぱいまでの期間が事実上の長期休暇が発生することとなります。海外に渡航する方は少ないとしても経済を動かすべきとの議論が持ち上がってきている中、自粛を行ってきた日本人が国内、または近場を利用して余暇や休暇を過ごすことで観光業界と飲食業界が復活する足掛かりとなるのではないかと思ったからです。
逆に4月始業のままだった場合、学校全体で検討しているのが夏休みを返上してカリキュラムを組みなおすといった方向です。こうなると長期休暇がなくなるため観光業界のビジネスチャンスをさらに奪うことになるでしょう。
不動産に携わるものとしては、企業の採用が春だけでなくなれば引っ越しの機会がばらけるために通年を通して安定して家賃収入や仲介業務による収入が見込めることとなります。また海外の学生が日本に入ってくることにより賃貸事業はグローバル化と併せて活性化することでしょう。
また学期に切り替えまえに長期休暇(海外基準だと9月始業にすることによって夏の長期休暇が発生する)があることによって引っ越しや新築や中古住宅の購入を考える機会となることが見込まれます。
よって不動産屋の立場からは9月始業に切り替えることは賛成です。
但し小学生を持つ親の立場から申し上げれば・・・
現時点で既に長期間で家で過ごしている子どもの自宅での学習をどうするのか?
友達のかかわりがないことが精神的に悪影響が出ないか?
など心配な点も多いのが実情です。
9月始業にすると、4月~8月まで誕生日の子は学年を強制的に切り上げる必要もでてくるため、来年の春に幼稚園・保育園を卒園予定の子が急遽9月から小学生になるわけですが。。。賛否両論ある中でハードルも高いですね。
子どもたちと経済にとって最良の選択がされることを願うばかりです。