PEALPATNER2021年11月号より記事を抜粋してご紹介致します。
国土交通省「事故物件」の告知に初の判断基準/人の死の告知に関するガイドラインを公表
2021年10月8日、国土交通省は「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を公表した。人の死が発生して「心理的瑕疵あり」とされた不動産の取引に対し判断基準が国によって示された。
〇ルールがなかったことによる問題
①宅建業者は、死亡事案が発生した際の取り扱いについては、明確な基準がなかったため裁判例などを参考に個別対応するしかなかった。
②ルールがなかったために、高齢者の孤独死に対して不安が大きく、高齢者の入居に対して拒否感が強かった。
〇告知しなくても良いケースを明確化
①老衰や病死が告知不要となった。
②他殺・自殺・事故死、特殊清掃が行われた場合、集合住宅の共用部で発生した場合については事案発生から概ね3年経過後は告知義務なし※但し事件性、周知性、社会に与えた影響などが高い事案については告知義務有りと明確化された。
〇宅建業者の調査義務について
①宅建業者は、売主・貸主に対して物件状況等報告書やその他の書面(告知書等)に過去に生じた事案について記載を求めることで調査義務を果たしたものとするとされた。※インターネットでの調査義務や周辺住民などへの聞き取り義務まではないとされた。
以上3点が、※PEALPARTNER11月号からの完全な抜粋となりますが・・・「人の死の告知に関するガイドライン」の大きなポイントとなります。
<横山専務のコメント>
不動産賃貸管理の講習会で、講師の方が「ホテル、旅館などでは亡くなった人がいても告知義務がないのに、なぜ賃貸物件に関しては義務や責任が求められているのか?」と憤慨されていたのを思いだします。
ガイドラインが公表されたことで宅建業者の負担が軽減されたような印象も受けますが、ルールが定められたことで各業者の判断に委ねられていた曖昧な部分が線引きされ最低限の調査義務が定められたことになりました。
高齢者が賃貸物件を借りずらいと言われていますが、原因の1つとして孤独死や病死などが発生した場合の不利益が大きいことがあげられます。
ルール化されたことでリスク軽減になる!?・・・と、私は思えない(苦笑)
心理的瑕疵について、告知書を用いた説明義務が必要となるということは契約書類の文言が増える(;^_^A。。。わけですが、その調査範囲については、広範囲ではない・・・ということですね。
まだ「亡くなった人がいた建物を取り壊した場合」「病院に搬送されてから亡くなった場合」などについての規定はされておらず今後の実務が進む中でガイドラインが見直されることとなるようです。
心理的瑕疵について告知書などの書類を用いて説明する義務が出てくることで借りての方も安心して物件の購入又は借りることができる方向性になるわけですね。
情報の発表があり次第、またブログ上で発信していきたいと思います。