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「短期金利」 と 「長期金利」

2019年09月12日 | 経済

 銀行の業務には住宅ローンの貸付があります。

 銀行が預かる「低い金利の普通預金」から、資金を必要とする顧客に対し高い金利で「長期で貸し付ける」ことで利益を生むのがその手法ですが、最近のマイナス金利の影響で、貸付をすると損失が出るので、銀行は貸し出しを抑えています。と、言う人がいますが、これは間違いです。

 銀行の金融業務には「間接金融」と「信用創造」があり、「間接金融」の場合がこの金利差による利得になり、この場合の貸付限度額はほゞ「顧客の預金額の総計」と言えます。この時に銀行が儲ける条件は「イールドカーブ」が右上がりである方が好ましいのですが、債権市場のマイナス金利は関係ありません。実際に現在の普通預金の利息は0.001%(都市銀行)~0.20%(あおぞら銀行)で、住宅ローン金利は0.4~1.3%程です。また、事務手数料も数十万円入るので、貸し出しを減らす筈は有りません。原因は単に、物価下落と平均世帯収入が増えていな事です。「物価上昇と収入増」は「借入金の相対的価値の低下」を意味し、後年度に成れば何の苦も無く返済が可能になります。

 イールドカーブは同種の債権に対して、横軸に残存期間、縦軸に一年当たりの平均利回りをとり、一般に満期までの期間が長い方が金利が高くなり、グラフは「右肩上がり」になります。稀にですが、経済の先行きが不安な場合には、長短の金利差が逆転する時があり「逆イールド」と言います。これは、長期に比べて短期の資金需要が優勢になった時に起きやすくなります。その結果「短期金利」>「長期金利」となり、これが最近アメリカで起きました。何か大きな(経済的な)事件が起こる前触れと言われています。

 「信用創造」の場合は、貸付額を制限するのは「準備預金制度」で、最近の法定準備率は1%前後なので、最大限で銀行は預金額の100倍を貸し付けることが出来ます。この時は、銀行は誰からもお金を借りる必要は無く、単に貸出先(支払先)の通帳に数字を書き込むだけです。

 「信用創造」ではイールドカーブの形状は問題にはならず、貸借の力関係(需給)で条件が決まります。金利は市場の相場で決まるので、借り手が多ければ金利が上がり、少なければ下がるだけで、最も合理的な金利と期間が選択されます。つまり、イールドカーブは結果論であり、これを(強制的に)変える為には損をしてでも大量の資金を投入する覚悟が必要になります。

 よく、マイナス金利で貸す(借りた人が利息を貰う)人がいるのか?と疑問を持つ人がいますが、解りやすい例では、金利が極めて低い時に口座管理料を取られた場合には、見かけ上マイナス金利になります。銀行預金は、預ける人が貸す人で、銀行は借りる人になります。

 少し複雑な例では、表面利率が1%の10年国債(額面100円)を102円で買った場合、一年目の利回りは約マイナス1%になります。この時点では、わざわざ損をする為に国債を買ったようにも見えますが、2年後には合計2円の利息を貰うので損失は無くなり、10年後には10円の利息と元本100円が戻って来るので、差し引き8円の利益が出ます。年平均0.8%の利益です。この時の残存期間1年の国債の利回りが0.1%だったとすると10年国債を損して買っても結果として得をする事になります。

 最近では、満期まで持っていても「元利合計」が「購入価格」を下回り、実質的に損をする状態が続いています。この場合は、義務的購入か、債券の値上がり益を狙っている場合が多いようで、「債権バブルの崩壊」の可能性も頭の片隅に入れておいた方が良さそうです。



2 コメント

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Unknown (hasunohana1966)
2019-09-13 08:53:03
有益な情報をありがとうございます。大変参考になりました。
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Unknown (yk-soft-85)
2019-09-13 17:05:14
@hasunohana1966 蓮華さんへ。
コメント有難う御座います。
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