テレビとうさん

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「核兵器禁止条約」 と 「不戦条約」

2019年09月09日 | 国際情勢

 「パリ不戦条約」は1929年に発効し、世界のほゞ総ての「独立国」が署名しました。

 パリ不戦条約第一条

締約國ハ國際紛爭解決ノ爲戰爭ニ訴フルコトヲ非トシ且其ノ相互關係ニ於テ國家ノ政策ノ手段トシテノ戰爭ヲ抛棄スルコトヲ其ノ各自ノ人民ノ名ニ於テ嚴肅ニ宣言ス

 要約すると、「国際紛争解決のための戦争の否定と、国家の政策の手段としての戦争の放棄。」です。これは、国連憲章や昭和憲法第9条の「趣旨」と同じで、当然ですが自衛の為の「装備」は否定されていません。

 この条約が有っても、「自衛の為の軍拡」が進み後の二つの大戦に繋がりました。今でも世界のほゞ総ての国は軍隊を保持し、戦力の放棄を否定しています。これは、憲法9条の「趣旨」には反しています。

 「核兵器禁止条約」は締結国に対して「核兵器あるいはその他の核爆発装置の開発、実験、製造、生産、あるいは獲得、保有、貯蔵、移譲、権利の委譲。」を禁止していますが、「濃縮済みの核を安全に保管する事や、動力としての核の使用」は禁止されていません。実際に「核兵器禁止条約」に違反しない、核分裂を利用した発電装置や出力装置は開発されていて、「核兵器とはされない核」の軍事利用は進んでいます。

 核動力の人工衛星に核燃料を大量に積み込み、地球を周回させれば「核燃料兵器」になりますが、これは「核爆発装置」では無いので条約違反にはなりません。軍事力を自衛力とか自衛隊とかに言い換えると同じです。

 また、この条約を最もうまく利用したのが「北朝鮮」で、条約に加盟しながら核開発を進め、完成するとこの条約から脱退しました。この件に対しては、「核兵器禁止条約」が未発効なので「国連憲章の規定」によって制裁が強化されています。

 「核兵器禁止条約」は「50ヵ国が批准し、それから90日後に発効する。」とされていて、2019年4月現在で「署名:70ヶ国。批准:24ヶ国」です。この条約が発効すると、「不戦条約」と同様の未来が想定されます。「自衛の為の軍備」と同様に「核の平和利用」を主張し、堂々と「核燃料保有国」になり、核兵器を開発出来そうな段階で脱退すれば条約に違反せずに核兵器を開発できます。

 現在は「核不拡散条約」が発効中ですが、ほとんど効果を上げていませんが、「核兵器禁止条約」に加盟する事を条件に「核不拡散条約」を脱退する事にも正統性を与え、益々「核燃料」の取引が加速します。

 心から核兵器の廃絶を願うのなら「アメリカを含む核兵器保有国に対する経済制裁を強制する条約」を発効させれば良いのですが、非核兵器保有国は圧倒的に多いにも拘らず、その気はないようです。この事は、「核兵器禁止条約」に、何か違う目的がある事を暗示しています。 



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