テレビとうさん

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「処理排水」 と 「希釈排水」

2019年09月28日 | 政治

 生活排水は、汚水処理施設で高度処理などをした後に川に流され、海に到達します。この場合「汚染水は処理され排水された」と言います。この時の「処理排水」は法律で「有害物質の基準濃度」が示され、微量の有害物質が含まれています。最近では、病人が服用する薬の薬効成分が処理しきれずに問題視される事も有ります。

 また、逆に排水が完全に浄化された場合は、本来森林などから川を通して海に流れる栄養素が消滅して、海洋生物の成長に悪影響を及ぼす可能性も考えられています。つまり、本来の川の汚れ程度の「汚れた排水処理」が必要と云う事です。

 人間を「自然の動物」の仲間と考えた場合は、他の動物と同様に「糞尿」は雨水などによって「希釈排水」され川を通して海に流れると言えます。これは自然現象なので、本来は問題視される課題ではないと思いますが、人間が自然には存在しない薬剤などを垂れ流した場合は「希釈排水」は出来ません。この場合は、自然に対して影響がないまでに分解して「処理排水」する必要があります。

 現在では、福島の原発事故により発生した放射能汚染水から「特定放射性物質」を除去した後の「処理水」を貯蔵しています。科学者の中に、「汚染水を処理したからと言っても、処理水とは言えず『汚染水』と言うべき。」と主張する人もいます。しかし、現在の技術では「自然にも大量に存在するトリチウム」を(有効に)除去する事は出来ません。

 トリチウムは半減期12.3年でヘリウム3が生成され、この時に放出されるベータ線はエネルギーが弱い為、人体には殆ど影響は無いのですが、人体の成分(遺伝子など)に取り込まれた場合の影響はあまり解っていません。考えられるのは、遺伝子に取り込まれたトリチウムがヘリウム3に変換し、その遺伝子に欠損を生じ癌化する可能性です。その時のベータ線もヘリウム3も、これ自体は人体にほとんど影響しませんが、「遺伝子に欠損を生じる」と聞くと恐怖を感じる人も出て来ると思います。しかし、DNAの損傷は、細胞内における正常な代謝の過程でも1細胞につき1日あたり5万回以上の頻度で発生していると言われいます。

 原発事故とは関係のない場所にいる人でも、人体には「1Kg当たり140ベクレル程度」の放射能が有るとされています。140ベクレルとは、1秒に140個の崩壊を起こすと云う事です。その中にも当然「遺伝子」に含まれるトリチウムもごく微量ですが含まれていて、これら全ての状態の総和が今の「生態系の結果」を成しています。極端な話として、「遺伝子の欠損が無ければ、進化は起こらない。」とも言えます。

 民主主義の結果として原発が開発され、誘致され、造られ、利益を得て、被害を受ける。この中には「ウソをついた人」「騙された人」「知らなかった人」がいます。誰が被害者か、誰が加害者かは個別に、法に則り判断するしかありません。

 健康の為にラドン温泉に行き、放射線温を浴びる人。飛行機に乗って地上の数十倍の放射線を浴びる人。健康診断の為にレントゲン検診を受ける人。此処に被害者はいるかもしれませんが、加害者はいません。どれも、その影響が判らないにも拘らず違法行為ではないからです。

 「処理水」も同様に、その危険性が解らなくても、法に則り「希釈排水」する事には問題は有りません。若しこれを「海を汚さないのは、海洋国家としての日本人の誇りの問題だ。」とするのなら、少なくても自分の意思表示が出来ない子供に対しては、「温泉」「飛行機」「レントゲン」等の利用を禁止すべきです。また、福島より放射線の強いソウル等への渡航も禁止すべきです。



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