オメガねこ

知識は人をバカにする。
智識はバカを人にする。
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「コンピュータ」 と 「最先端技術」

2018年12月20日 | 日記

 日本のサイバーセキュリティ担当大臣が「私はパソコンを使った事が無い。」「USBってなんですか?」と言った事について、揶揄したり否定的な見解を述べる人がいます。この大臣の能力や適性については知りませんが、この言動自体には問題は有りません。泥棒の経験や七つ道具の知識が警察庁長官の資格に何の関係も無いように、パソコンの知識とサイバーセキュリティ担当大臣の資格には何の関係も有りません。

 更に言うと、防衛大臣には戦車や戦闘機に乗った経験は不要ですし、武器の名称や使い方を知る必要は全くありません。寧ろ、知ったかぶりをする大臣の方が有害です。過去の防衛大臣の中で自衛隊経験者は数人しかいませんが、これが問題視された事も有りません。むしろ、憲法の条文から見ても文民統制(日本には軍人はいないので、意味不明な言葉ですが)の観点から、当然とも言えます。

 コンピューターを含めて多くの先端技術は発展途上で有るが故に、現在に於いて「最先端技術」と呼ばれます。五重塔やピラミッドなどは、完成した技術なので「最先端技術」とは言いません。だからと言って、これらを古い技術とは言えません。今でもピラミッドの建築方法は解明されていませんし、結果論としてですが、五重塔は地震で倒壊した例が無いにも拘らず、その耐震理論の解明は現在でも推論の域を脱してはいません。

 現在ではパソコンは単なる道具でしかないので、人間が「意識的に使用」しなければ役に立ちません。最初は算盤の代わりに使われ、次に印刷、事務、家電、インターネット・・・・と発展してきました。
 そして、コンピューター技術がさほど発展していない発展途上国でもスマホの普及率が高くなっています。つまり、コンピュータの存在を意識しないで使える事が、本来のコンピューターの存在意義であり、パソコンを使いこなす事がコンピューターを知っている事ではありません。

 サイバーセキュリティ対策には、インターネットが発展途上である事を認識できる能力が必要です。決して、パソコンの使用経験の有無では有りません。物事を統括する人は、ある分野に特化した人ではなく、全体を俯瞰する能力が必要になります。
 サイバーセキュリティはサイバーテロを防ぐだけではなく、平時や緊急時のデータ消失・漏洩・改竄等を防いだり、消失データの回復機能も含まれます。これらは紙媒体でも同じ事が言え、盗難・改竄・消失等を防ぎ、火災や水害により失った文字の再現技術なども必要になります。

 ロングタームキャピタルマネジメント(LTCM「長期資本管理ヘッジファンド」)は金融のプロが設立し、FRB元副議長やノーベル経済学賞受賞者二人が役員になり、コンピューターを駆使して運営しましたが、4年で破綻しました。
これは、その道のプロだけで運営すると失敗するという良い例です。

 ある技術が「最先端技術」と云う事は、その技術が発展途上であり、未だ完成していないという意味です。未完の技術を過信せず、多くの不合理な事象を客観的に判断し、対応する能力が必要になります。

 コンピュータの不正使用は、その事自体を未然に防ぐことは出来ません。死刑の罰則をもってしても殺人を防ぐことは出来ないように、犯罪者は必ず現れるからです。

 サイバーセキュリティ―には、ネット環境やデータセンターを防御する為の法的根拠を必要とします。予算付けには法的根拠が必要だからです。
パソコンの「善良な使用経験」は無意味です。




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