テレビとうさん

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「定額給付金」 と 「預金額増加」

2020年10月27日 | MMT
 麻生財務相は講演で、この夏の10万円全員給付に関して「当然、貯金が減るのかと思ったらとんでもない。その分だけ貯金が増えました。・・・カネに困っている方の数は少ない。ゼロじゃありませんよ。困っておられる方もいらっしゃいますから。しかし、預金・貯金は増えた」と、預金額が増えた事が「定額給付金」の失敗であったかのように言ってます。
 
 個人が「消費材」を購入し「お金」を使うと企業は「収入」を得、その「お金」は「タンス預金」にはならず、取り敢えず銀行に預けられます。その口座は「当座預金」か「普通預金」で、当然「預金額」が増えます。次に、従業員の給与として、個人の預金口座に振り込まれます。これは何を意味しているかと言えば、「政府が通貨を発行すれば、ほゞ同額の民間の預金が増える」という事です。

 実際の個人消費に影響するかどうかは、例えば銀行振り込みの場合で、「1万円給付」の場合は銀行預金を減らしてまでの消費増は考えられないし、「100万円給付」となると借金返済や高価なものを購入する事が考えられます。「10万円給付」くらいならば困っている人は全額使うかも知れませんが、微妙な金額です。何れにしても、預金総額は変わりませんし、
内閣府の景気ウォッチャー調査8月版を見ると、それなりの効果は出ているようです。

 民間の「預金」は、個人と法人に分かれます。企業の場合は「法人所得税率」が高い場合は納税額を減らす為に、社員の報酬・給与が増える傾向があって個人の預金額が増えます。逆に税率が低い場合は、企業の内部留保に廻って法人の預金額が増える傾向にあります。結果として「個人の預金割合が増えた」と云う事は、企業の内部留保に廻るほどの「給付金」が配られなかったか、或いは旅行などのようにモノの「供給制限」が有った可能性の方が大きいと思います。

 民間がどれだけ無駄使いしても、誰かの預金が減って他の誰かの預金通帳に「数字が移るだけ」なので、誰かが「通貨」を発行すると必ず「預金額」は増えます。現在は、「ハラマキ」にお金を蓄える人は居ないので、当然の結果と言えます。麻生財務相の希望通りに「預金額を減らす」と云う事は、自宅の金庫かタンスに「お金」が貯蔵されている事が考えられ、不健全と言えます。個人が消費すると、廻り回って個人に「お金」が戻ってきます。これが経済の仕組みです。

 これは「MMT」の基礎概念なので、経済担当相には説明するまでもない「常識」だと思っていた私の認識の甘さかも知れません。

「通貨とは、貸借の記録に過ぎない。」
「発行された通貨は、発行体が回収しない限り民間で流通を繰り返し、減ることは無い。」
「自国通貨の発行額は、自国の『モノやサービスの供給余力』が許す限りに於いて、制限はない。」
「一般税は、経済活動の行き過ぎを抑え込む為の、罰金としての手段に過ぎない。」
「目的税は、財務省の軛から解放され各省庁の独自財源になる場合は、必ずしも罰金とは言えない。(再分配)」

 若し、通貨発行量が「現物で保管する量」によって制限を受けるとしたら、「MMT」は間違いと言えますが、実際は「通帳の数字」でしかなく、桁数が書ききれなくなる場合以外は、何も問題は起きません。日本はデフレで、需要が減少して供給余力が過剰な為に経済成長が止まっています。規制緩和は更なる「供給余力」を生み出し、デフレが継続します。

 政府主導のイノベーションや構造改革は「企業側」の問題ではなく、政府自身の「新しい切り口」を必要としていて、企業は政府とは関係なく勝手にイノベーションを考えています。今の政府は、一部の企業の代理人の口車に乗って「規制緩和」を推し進めていますが、これが一般企業の競争力を奪う結果になっています。




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