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「金本位制」 と 「国債本位制」

2023年05月06日 | 経済
 「金本位制」の場合は、法定通貨の信用は金(ゴールド)の保有量によって保障されるのですが、「農(米)本位制」は(将来の)農産物の生産量が担保します。

 ゴールドも農産物も、その「生産能力(余力)」に左右されるので、平時には安定的と言えるのですが、戦争や飢饉には脆弱です。そこで考えられたのが、単品を本位にするのではなく「経済指標全体(GDP)」の指標を担保にする現在の「管理通貨制度」です。

 「農本位制」は、単一国家では有効に機能するかも知れませんが、国際的な価値の調整が難しく、植民地を良しとしない国際社会では不向きです。

 「金本位制」の場合、「現物」の量が固定的なので経済状況によってその価値は大きく変動し、「現物」が先進国に集中しがちで紛争の原因にもなります。但し、一般には「世界共通の金本位制にすると、各国の経常収支は自然に均衡する」とされていますが、それは「経済力が均衡した国家間」での話です。

 「管理通貨制度」の下では、自国通貨量は国債の発行量とバランスしているので、「国債本位制」とも言えます。なので、経済目標が「適度なインフレを保つ」と設定された場合には、その条件が達成するまで国債の発行が必要になります。

 国内経済だけに限定すると、国内の生産能力を超える通貨発行はインフレを招き、逆に、通貨不足で生産能力を持て余す場合はデフレになります。

 物価動向に因らず、現在の様に「供給余力か過剰な時」に増税したり、経営者が資金効率を考え「低賃金労働者」を多用すると可処分所得が減少し「デフレスパイラル」に陥ります。

 経済を安定的に成長させる気が有るのなら、

・インフレ時には、国債発行(法定通貨の発行と等価)を減らす。
・デフレ時には、民間の供給能力を超えない程度に国債を増発して、有益な財政支出をする。

が、鉄則です。

 市中に通貨(国債の対価)を十分に供給しても、「もったいない」「倹約は美徳」などと言って、資金が滞留すると生産余力が過剰になりデフレになります。その場合は、国(政府)が基盤整備をするチャンスなのですが、過去の例からすると、政府は逆に、民間経済が活況の時に調子に乗って「無駄な公共投資」を加速しがちです。

 経済の主体は、政府(国外援助は除く)と民間(国際取引も含む)しか無いので、経済を安定成長させる気が有るのなら、民需が停滞した時に政府が「公共投資(防衛費も含む)」を加速すべきです。逆に、民需が過熱し過ぎた時には、政府が得意な「緊縮財政(防衛費は除く)」の出番です。

 ところが、日本の過去数十年間は、左右の国の顔色を見ている所為か、政府の所業はいつも頓珍漢で混乱を極めています。

 考えるに、国内決済は「国債本位制」で、貿易決済は「金本位制(物々交換を含む)」にして、基軸通貨国や国際資本からの「経済的独立」を目指すのも、一考に値するような気もします。各国の経済力に合わせた「金保有量」と「生産余力だけ」で貿易を均衡させ、「管理通貨制度」で国内経済を調整し易くします。
 
 過剰に国債を発行(通貨の発行と同義)すると、国内物価が上昇し、結果として金価格も上昇するので、国内経済に関しては「国債本位制」と「金本位制」は同じ結果になりますが、国内経済を制御し易い「管理通貨制度」が良いと思います。




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