オメガねこ

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「731部隊」と「サリン事件」

2020年01月20日 | 戦争史
 1994年6月27日に起きた「松本サリン事件」では、被害者が加害者にされました。

 第一通報者の河野義行氏に対して、松丸伸一郎判事が本来「過失罪とする」ところを手違いにより殺人未遂罪として捜索令状を発行し、「長野県警」は重要参考人として連日にわたり取り調べを行ないました。

 これには伏線があり、「毒ガスに関する知識のない、素人の常石敬一」が、朝日・NHKなどの報道機関に「毒ガスの専門家」として取材され、

・「有機リン系の農薬などの薬品が何らかの原因で池に流れ込むなどして,水や水中の藻,微生物などと反応し,神経ガス様のものが発生した可能性がある。」(1994/06/28 朝日新聞 夕刊 )
・「製造方法がわかっているのは原爆も同じだが,はるかに身近な材料で殺人兵器と同じものができてしまうことを見せつけたのが今回の事件だ。」(1994/07/04 朝日新聞 朝刊 )
・「サリンはバケツと農薬でつくれる。」(出所不明)

等のコメントにより、サリンが農薬から合成できるかのような発言したことで「通報者に対する冤罪報道」を助長し、これを真に受けた判事が(無意識のうちに)その「手違い」を起こしたと思われます。

 更に1995年3月20日に、真犯人がオウム真理教である事が判明した後に通報者が犯人では無い事が証明されましたが、2018年7月に麻原被告以下7名の刑が執行されても尚、謝罪などは一切ありません。正確な事は分かりませんが、恐らく現在に至るまで、「素人の常石敬一」から「第一通報者の河野義行氏(報道・冤罪被害者)」への謝罪は、一切ないと思います。

 ところで、「素人の常石敬一」と言えば『消えた細菌戦部隊 関東軍第731部隊(1981年)』『七三一部隊―生物兵器犯罪の真実(1995年)』等、多くの偽書・・・もとい、著書を出していますが、現在の所「731部隊が細菌兵器を殺人目的に製造していた」と云う確たる証拠は有りません。勿論、多数の「(間接)証言」は有ります。

 1925年のジュネーヴ議定書では戦争時における化学兵器・生物兵器(細菌兵器)の使用禁止が規定されましたが、開発・生産・貯蔵といった行為は禁止項目ではなかった為、「731部隊」の正式名称である「関東軍防疫給水部本部」の名が示す通り、自然環境や敵からの攻撃に対応する防疫の為の「化学・生物兵器の研究」は必要不可欠であり、当時としての正当な実験や、事故や謀略等による漏洩や使用が無かったとは言えません。

 あれだけ日本を憎み制裁を加えたアメリカですら、「東京リンチ事件(通称、極東軍事裁判)」で、この件に関して有罪になった人はいません。但し、更に怪しげな共産主義国での「リンチ(名目上は有罪判決)」は有りました。

 2007年、アメリカは対日機密文書(細菌戦等)10万ページを公開しましたが、細菌戦や「ハバロフスク裁判」で裁かれた罪状に関する証拠は一枚も発見されませんでした。

 参考:生坂ダム殺人事件
 「松本サリン事件」で無実(無罪が確定の河野義行氏(報道・冤罪被害者)は、後に長野県公安委員になり、「生坂ダム殺人事件」に於いて「長野県警がこの事件を他殺と断定できなかったのはやむをえない。」として「長野県警」を擁護する意見を出しました。長野県警糾弾の先鋒になる事を期待した田中康夫県知事と、この件で対立し、河野氏は更迭されました。 

 河野氏は、「恨みや思い込みで人を判断しない」、更に「カネや地位に惑わされない」素晴らしい人格者だと思います。但し、そう云う人は「報道機関の餌食」に成り易いので注意が必要です。



8 コメント

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Unknown (dearmadonna)
2020-01-21 10:40:20
違法でなかったとしても、731部隊がやったことは極めて残虐。
東京リンチ殺人よりエグい。
そして証拠隠滅。

日本の得意技?
東京裁判の時点でアメリカは実態を知らなかったのでは?
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Unknown (yk-soft-85)
2020-01-21 11:10:27
日本軍の「証拠隠滅」は有り得ません。事実として、敗戦前後にソ連やアメリカに資料が流れています。それよりも、軍隊の撤退時には「書類の焼却」は軍隊の義務です。寧ろ、日本軍の義務違反が問われるべきです。

ソ連もアメリカも支那大陸で、国民党にも共産党にも軍事援助をしていたので、リンチ事件の段階で米ソが「事実」知らなかったことは有り得ません。但し、常石敬一の言う「細菌兵器」は満州には無かったので、知らないのは当然です。

殆どの「証言」は「中帰連」に拠るものです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E5%B8%B0%E9%82%84%E8%80%85%E9%80%A3%E7%B5%A1%E4%BC%9A
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Unknown (あほうどり)
2020-01-21 20:22:11
報道の先走りは確かですが河野義行氏は冤罪被害者ではありません。
詳細は述べられませんが実態を知れば納得します、知らない人が被害者と感じるのは止むを得ないことですが。
https://blog.goo.ne.jp/700646kanagawa/e/073c486025e22eaaaa169ecbb556701a
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Unknown (yk-soft-85)
2020-01-21 21:37:29
あほうどりさん、コメントありがとうございます。

ニュースでの「事実」しか知らないのですが、判事の「捜査令状のミス」と「農薬からはサリンは製造できない」の2点で、「第一通報者の河野義行氏(報道・冤罪被害者)」として書きました。

「松本サリン事件」で無実(無罪が確定)と書いたのは、この「無実」は「無罪が確定」した事の結果である事を示したかったからです。

「無実と無罪の違い」は知っているつもりですが、「無実で無い」のなら、この事件の実態を知る「ヒント」だけでも知りたいと思います。
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Unknown (あほうどり)
2020-01-22 17:40:29
人を殺す真実もあれば、命を救うウソもあります。申し訳ありません、ご賢察ください。
 ニュースは往々にして「事実」ではありません。ニュースでの「事実」が「事実」とされているのは本当に困ったものです。
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Unknown (Kuroneko)
2022-02-03 17:13:25
常石氏は自分の発言が利用された長野県警による河野さん冤罪の失態につき、誘発責任があると直接会って謝罪して、河野さんも謝罪を受け入れ、なおかつ河野さんは責任は警察にあり常石氏ではないとしてます。
著書文庫本後書きに明記されてます。
さて2022/2/10に731部隊の許されざる犯罪と、人体実験に関わった医師、学者たちが戦後堂々と大学学長、学部長、病院長等になったり、反省して生きた人々もいた事実を調査した著者の731部隊研究集大成本が高文研から出版されます。日本国民必読の書です。
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Unknown (yk-soft-85)
2022-02-03 18:41:48
Kuronekoさんへ。

常石氏が、「河野さん冤罪」の誘発責任があると謝罪したのは知りませんでした。有難う御座います。
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Unknown (Kuroneko)
2022-02-04 01:23:46
常石氏が後書き書いた文庫本は家にあるのですが見つからないのでわかったら投稿します。
新刊本は400ぺージで税込4000円位です。
実は私は横浜の神奈川大の生涯学習講座で常石氏の話聞いてますが、Wikipediaの悪意ある文章には呆れてましたので、講座聞いてよかったと思います。また帝銀事件は731部隊員がやったとよく言われますが、常石氏は理由は専門的で書ききれませんが否定的でした。一旦完了した731部隊研究を本にして改めて出すのは、フクシマ原発事故と科学者の責任、大学研究者が予算不足に追い込まれて、防衛省との産官学連携研究に突っ込んでゆく状況への危機感からだと思います。なお講座では731部隊の医師が戦後に旧帝大学長、学部長、病院長、薬害エイズのミドリ十字など医薬系会社の役員就任したなど実名を挙げてました。731部隊での研究によるインチキな博士号取得も実名で。もしかしたら2/15発売の新刊本で実名を出してくるかも知れません。
(長文失礼)
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