最終日にやっと行ってきました。
2000年から10年間かけて続けられる予定の唐招提寺金堂修復のため、本来、金堂内でしか観ることのできない仏像や瓦類・障壁画を展示する催しです。奈良後期の仏像や、建築物その他の工芸品を東京で観る機会はなかなかないため、この機会を逃すまいと行って来ました。
現地(東京国立博物館)へいって驚いたのは、意外に多かった人の数。それも、ご年配の方ばかりではなく、家族連れや学生も多く、改めて奈良時代の姿を保つ仏像たちや、歴史への関心の高さを実感しました。
(その他、特別番組を組むなど、今回の特別展への宣伝へ力を入れたTBSの力添えもあるのでしょうが・・・)
鑑真和上の建てた私寺が官寺へとなる詔を受けた際の勅額。現在の私が見ても美しいと感じる漢字体でした。
次のゾーンは金堂内部の仏像配置。四天王および梵天、帝釈両像の真中に、乾漆造でつくられた毘ル舎那仏坐像がそびえています。すべて奈良時代(8世紀)その配置は奈良時代後期当時の仏教観をそのまま伝えてくれます。以前読んだ土門拳の『古寺を訪ねて』では、毘ル舎那仏は、その乾漆造(「張子の虎」の作り方と同じで、中が空洞)のために指の細部まで細かく表現できず、かえって仏の指のふくよかさが表現できているというようなくだりを思い出しながら鑑賞しました。たしかに大きくゆったりした手の表情。全体的にも木にあるような堅さがなく、柔らかな印象を受けました。
唐招提寺の金堂は、建築当時の工法では上部で柱を支えきれず、少しずつ建物側面の柱が内側に傾いてきていたそうです。阪神大震災の折、傾きに拍車がかかったのをきっかけに、今回の大規模な修復作業が行われているそうで、金堂修理の説明の場を抜ける際、唐招提寺のお坊さんたちが、修理の勧進願に対する呼びかけを行っていました。
大金は個人的経済上出せませんが、せめて勧進代に還元されるものを、と特別展のお土産(レターセットと大型カード、ハンカチ)を購入してきました。
こうした文化財を守ることとは、海外との交流が困難だった時代に、命がけで海を渡り、文化や仏教を広めてきた人たちの姿勢を守ることでもあると思ったりするのです・・・

多くの来場者が集まった今回の特別展を喜ぶと同時に、2010年の奈良遷都1300周年及び唐招提寺金堂修復完了記念行事に、なにかしら携われる身になれることも祈りつつ、会場を後にしました