打倒!低周波音被害~まけないぞぉ~

振動公害から低周波音被害へ!世間の理解と拷問の日々からの救済を求め愛猫と彷徨う日々の記録

。。お伝えしたいこと。。

ご訪問いただきありがとうございます。 ここを訪れてくださった方は、何らかの被害を感じている方とお察しします。被害者はあなた一人ではありません。被害を訴えるあなたはどこもおかしくありません。低周波音被害の苦痛は、本能の悲鳴です。 私自身被害の渦中であり何も出来ませんが、せめて“ひとりじゃない”とお伝えしたいと思います。 このサイトのコメントは一時保留の後、公開とさせていただいております。公開不都合の旨を記入いただければ公開いたしません。また、差しさわりないアドレスをご記入いただければ、直接返信させていただく事も可能です。 低周波音被害が将来を担う子供達に、禍根とならないことを祈ってやみません。

低周波音が私を苦しめる≪第6回≫エコキュートで低周波音地獄

2008-02-08 | 津木とねこ
―エコキュートで電気代が下がってよかった~。と、喜ぶお宅が増える一方、エコキュートで苦しみ倍増のお宅もあるのです。―

私と低周波音との闘いは、近所にある工場の近代化と称する設備投資に始まり、新建材で悪化の一途をたどりました(詳しくは連載第4回)。動力機械が住宅に隣接して設置されることは、どこでも誰にでも起こります。そして設置されたらよほどのことがない限り排除されることはなく、一度低周波音の嫌な音圧を感じてしまったら、日々苦痛に、過敏になる一方で、慣れることはありません。ある女性は静かな田園風景の中の小さな集落で、低周波音に苦しむことになりました。
この女性は定年退職を控えて自宅を新築したものの、7年ぐらいして、目前に工場が建設されました。区画整理で代替地として移ってくる小さな工場で、静かな仕事と聞いていました。しかし工場の操業が始まると、やがて圧迫感や、訳もわからぬ不快感にさいなまれるようになったのです。家にいると頭が重く、息苦しく、眠れなくなりました。社交的で家事も大好きだったのに、外出も家事もままならなくなりました。人が変わったように暗く、あまりに世をはかなむ言動を心配した知人が、インターネットでご婦人の苦しみの原因を探し始めました。(そして〈低周波音症候群被害者の会〉のHPにたどり着きました。)
彼女の訴える症状は、まさに低周波音症候群そのものです。家の中で、操業とともに体調不良を訴えます。工場はいくつものコンプレッサーを使い、空調機を備えています。それらの機材が彼女の家との境に設置されていました。彼女の家の低周波音測定結果も、低周波音のピークの存在を示しました。しかしここでも行政は工場に何ひとつ指導できません。工場の再移転は困難で、彼女の終の棲家は、工場からの低周波音によって平穏を奪われてしまったのです。
工場だけではありません。隣人を平然と低周波音の地獄に突き落とす発生源に、環境省推進の「エコキュート」があります。
エコキュートとは空気の熱でお湯を沸かす電気給湯機。補助金制度もあり、一般家庭に凄まじい勢いで普及しています。気体は圧縮すると温度上昇する性質を利用するためにエコキュートはコンプレッサーで空気を圧縮しており、機種によっては工場で使用されるコンプレッサーの10倍もの圧力で高温を発生させます。この仕組みこそが、従来は無音の電気温水器を低周波音源にしてしまったのです。静かな住宅街の深夜に空気振動エネルギーを排出し、低周波音被害を生み出し続けます。
ある被害者は、隣家に設置された温水器の低周波音から逃れ眠るためだけに部屋を借り、夜毎通っています。というのも隣家でも移設・新機種交換と対応したものの、そのたびに音の減少に反し身体に感じる強い振動や圧迫感は増し、ついに不眠から日常生活にも支障をきたしてしまったからです。
現在隣家からは「家族はこの振動を感じない、機械の移設は限界、格安の深夜電力で夜間運転にしている、振動を減らす方法がわからない」と言われているそうです。自宅での安眠はかないません。

『週刊金曜日』暮らしコラム(2007年10月12日№.674号)津木とねこ
編集部03-3221-8521(禁無断転載)


番外編 本当の“お互い様”って

2008-01-06 | 津木とねこ
昨年12月は何かと忙しく、あわただしく、めまぐるしく、言葉通り“師走”でした
週刊金曜日のコラムも昨年中に全8回収めるつもりでしたが・・・ゴメンナサイです。
というわけでやっと!久々の!
低周波音が私を苦しめる≪第5回≫ご近所様ならお互い様?
です。そして、その番外編。

“ご近所様ならお互い様?”という言葉は、本来何かの事態でご近所に迷惑をかけてしまったり、手助けしてもらったりしたときに、「ありがとうございます。申し訳ありません」と恐縮したときに、心優しいご近所の方々が「いいのよ、気にしないで。近所同士困ったときには助け合うのが当たり前だから。ご近所ならお互い様ですよ。」というのが本来のはず。
決して「近所同士多少の迷惑かけて当然。ご近所様だから文句を言うな!」とは使わないはずです。これを言ったのは、50もとうに過ぎたであろう地元の名士ぶった経理士です。一般には常識人であるべきジャンルの職業です。被害現場の確認もせず、ここには書けないような八つ当たりかイチャモンともいえる逆ギレの挙句、逆文句を言えないとわかっても「申し訳ない」ひとつありません。そしてこの冬も、この室外機は稼動しています。低く波打つ不快な〈音〉を撒き散らしながら。

低周波音問題にかかわって、TVなどでみるよりもはるかに、人としての常識や、良識が侵され崩壊しつつあると知りました。悲しいことです。
バブル時代、ビルや一般住宅の建設ラッシュに伴い設置された空調機器が、経年劣化でガタが来はじめる時期を迎えています。同じことがいたるところで起こるでしょう。その時「ご近所様ならお互い様」と対応を拒み、隣人を苦しめる・・・低周波音被害は骨が折れたり、皮膚が切れたように目に見えません。症状が出るまでに時間もかかります。そして症状が出たとき、被害者自身がなぜこんなに具合が悪いのか理解できないことも多いのです。
私の事例のように地盤全体が問題のような大規模でなく、家庭機器の場合には軽減策の可能性があるようです。(12月にはそのために奔走しました。状況が整えばBlogにも書きたいと思います。)しかし、問題が周知されず、できる対策さえ認識されていないばかりに、問題があるとして対応されず、機器には対策されず、被害者は被害源を知ることさえなく、日々苦しみから救済されないのが現状です。

環境省から官製の「対応の手引き」が出ていますが、被害の現実はそんな軽微なものではなく、低周波音問題と騒音問題の境界は、そんな明白なものではありません。100Hzできっちり白黒つくものではないのです。それさえ、現場に行かない学者さんには理解できないのでしょう。
いかにすれば速やかに低周波音問題の本当の現状が周知できるのでしょう。
一部の研究者の色眼鏡ではなく、一人でも多くの方に研究していただきたい!切に願ってやみません。



低周波音が私を苦しめる≪第5回≫ご近所様ならお互い様?

2008-01-06 | 津木とねこ
―“家”は本来、安住のための場。でも安住の場で低周波音に苦しめられるのは、津木さんばかりではありません。―

せっかく診断にこぎつけた「低周波音症候群」ですが、私の状態は外因性自律神経失調症性に加え、神経症的なストレス障害が重なります。終わりのない低周波音は、単に体調不良だけではなく精神的に追い詰められ、つらいのです。「死んだほうがまし」という絶望感が襲ってきます。引き出しにはそれなりの薬がためてありますし、家中の刃物を片付けたこともあります。ストレス診断や鬱診断のチャートにはほとんど当てはまります。
このコラムを書きながらも、工場の稼働する平日は毎日全身にジンマシンが出ます。手のひらほど腫れ上がるジンマシンは、工場の休業日にはきれいに消えます。そして月曜の始業とともに全身に発疹し、腫れあがります。二年前にも同じようにジンマシンが出、一年近く発疹を繰り返しました。そんな風になる前に何か方策をとれば、と思われるかも知れません。
しかし低周波音は、これまで述べてきたように遮音が難しく、被害者には防ぐすべがありません。その場を離れる以外に自衛策がないのです。とはいえ、簡単に家屋敷を処分することも、二重生活もできません。ましてや、低周波音被害の発生源である工場の存在が資産価値を損ない、処分を不可能にしています。
そんな逃げ場のない苦しみを強いられる生活に、追い討ちをかけるような仕打ちを、ご近所様から受けることになりました。
近所のテナントビルのエアコン室外機が経年劣化かものすごい音で回り、工場の休業日なのに頭痛がし、仮眠を妨げられ、「駆動音がつらいので整備してもらえないか」とビルオーナーに頼みに行きました。しかしオーナーは最後まで聞くことなく「どこでも付けている物に、なんでお宅だけいちいちうるさいと文句を言うのか。ご近所様ならお互い様だろう。」と逆ギレされました。この室外機は14年前のもので間に家を一軒置いて稼動音が聞こえ、部屋の中でよどむようにウォンウォンと低く響き続けるのです。エライご近所様はその後も平然と、うるさいエアコンをご愛用中です。
このような事例は、低周波音症候群被害者の会では、多々報告されています。都会のマンションに住んでいたAさんは、近所のスーパーの保冷機器から発せられる低周波音に苦しんでいました。
彼女は購入したばかりの自宅の中で、24時間365日ウォンウォンと響き続ける音に、日常の家事をこなすことも休むこともできず、ひどい体調不良に苦しんでいました。もちろんマンションの管理者にも行政にも相談しました。ところが発症までの個人差の大きさゆえか、保冷機の音をうるさく感じている住人はいても、彼女のように苦しみを訴える住人はいません。行政にも放置され、次第に彼女の一人息子も情緒不安定になり、夫も不眠を訴えるようになってしまいました。彼女の憔悴はいや増し、やがて愛しい一人息子をおいて入退院を繰り返すまでに……。今彼女の一家とは連絡が取れません。

『週刊金曜日』暮らしコラム(2007年10月5日№.673号)津木とねこ
編集部03-3221-8521(禁無断転載)


低周波音が私を苦しめる≪第4回≫遮音が難しい低周波音

2007-11-18 | 津木とねこ
―いや~な音があったら、遮音したいのが人情。ところが低周波音は、遮音すればするほど、ますます強烈になってしまうのです。―

前号で20デシベルの差について書きましたが、低周波音の20デシベル差となると、その差は更に大きくなります。
1波長(波形の山から山、谷から谷)で3.4メートル進む100ヘルツの音と、340メートル進む1ヘルツの低周波音では、同じデシベルでも音の持つエネルギーが格段に違うからです。
音や振動には、発生源から離れるにしたがい、伝わりにくくなる「距離減衰」という特性があります。ところが低周波音は、一般の騒音と異なり音のエネルギーが大きく、距離減衰が少なく、エネルギーを保ったまま遠くまで届きます。つまり、物体を貫通する割合が高く、遮音が難しいのです。人の話し声ならば壁一枚で遮音できますが、鐘の音は市中に、花火のドーンという低音や遠雷は山を越えて、更に窓を閉めた室内でも聞こえます。このような低周波音は、脳の遮音壁であるはずの頭蓋骨を貫通して脳自体を振動させるので、様々な体調不良を感じさせるともいいます。
低周波〈音〉も空気振動ですから、〈音〉として振動が物に伝われば物が振動します。テレビででんじろう先生が、ボウルにラップをかぶせて塩を撒き、ボウルに向かって声を出すと、声の大きさや周波数に合わせて塩が飛び跳ね踊りだす、という実験をみせてくれますが、あの状態でしょうか。頭蓋骨の中で、脳が振動しているなんて、考えただけでめまいがします。脳に震動が伝わることで身体や神経に異常をきたす例としては、鉱山や工事現場で削岩機を長期間使い続けることによって起こる振動障害という疾病があります。
我が家の場合は、隣接する工場が振動・騒音防止と称して、工場の外壁を囲い、屋根を鋼鈑スレートに改装してから、振動も不快な音圧も一層ひどくなりました。音源を囲うという行為が、その意図に反し低周波音がさらにつらく感じさせられるという結果となってしまった例は、ほかにも聞いています。
当初は騒音問題と捉えられがちだった低周波音問題は、騒音防止のための遮音や隔壁を設置することで、騒音によってマスキングされていた低周波音を露呈させる結果となってしまうのです。
その上、自衛策として、遮音のためにサイジングで家の外壁を囲み、二重サッシで密閉すると、逃げ場のなくなった低周波音は屋内にこもり、内壁の素地が石膏ボードであればさらに増幅され、とんでもないことになります(思えば行政の基地周辺の騒音対策はこの方法ですね。ヘリコプターなどは低周波音のレベルが高いので、解決できないのが頷けます)。
この高気密+石膏ボード悪人説は、低周波音の不快な音圧の軽減を試み、自宅の天井を改造したときに確信しました。天井部分の石膏ボードをはずしたときに軽減した音圧が、石膏ボードを張るとともに復活したのです。そして、石膏ボードの使用が少ない部屋では明らかに音圧が下がります。しかし、今日の一般住宅では石膏ボードを使わないことは難しく、壁も天井もない家では生活ができません。


『週刊金曜日』暮らしコラム(2007年9月28日№.672号)津木とねこ
編集部03-3221-8521(禁無断転載)


低周波音が私を苦しめる≪第3回≫ヘルツとデシベル 音の仕組み

2007-11-07 | 津木とねこ
―低周波音とはいったいいかなるものなのか、まずは〈音〉の構成単位であるヘルツとデシベルのお話から始めましょう。―

「低周波音症候群」とは、長年低周波音の測定を行い、被害者救済を切望する汐見文隆医師によって名づけられました。頭痛やめまいなどの不定愁訴は、一般には内因性の自律神経失調症ですが、汐見医師いわく、低周波音被害者の訴える不定愁訴は、外部からの低周波音被曝が原因の不定愁訴であるから、外因性自律神経失調症ということです。
私たちが日常聞いている〈音〉とは、空気が振動し耳の中の鼓膜という器官を震わせ、複雑な聴覚器官と聴覚神経によって脳に伝わり、〈音〉として知覚されます。太鼓を叩くと太鼓の振動が空気に伝わり、太鼓の〈音〉として聞こえる。手で太鼓を押さえ、太鼓の振動を止めると〈音〉も止むという仕組みです。ちなみに振動の伝わる媒体になる空気のない宇宙空間では一切の音が伝わらないため、無限の静寂の世界だそうです。
また、鐘を、木材、スイカを叩くと、大きかったり高かったりくぐもったり、太鼓は太鼓の、鐘は鐘のスイカはスイカの〈音〉がします。それは、素材によって振動や伝わり方が違うことで、聞こええてくる〈音〉が異なるためです。その違いは周波数(ヘルツ)で表わされ、〈音〉の大きさは音圧(デシベル)で表わします。
すべての〈音〉は周波数を持ち、人の話し声は100~400ヘルツ、車は20~50ヘルツ、88鍵のピアノは27.5ヘルツ~4186ヘルツ、時報は440ヘルツ~880ヘルツ等々。低い音は周波数(ヘルツ)が低く、高い音は周波数が高い、そして大きい音は音圧(デシベル)が大きい、と表現します。周波数は音色の高低、音圧は聞こえる大小でしょうか。
可聴音(人間に聞こえる音)の周波数はおおよそ20ヘルツから2万ヘルツ、低くて聞きにくい100ヘルツ以下を低周波音、聞こえない20ヘルツ以下を超低周波音といい、高すぎて聞こえない2万ヘルツ以上を超音波といいます。
音圧(デシベル)はむずかしい数式をはしょっても、かなりややこしいですが、対数表示なので50デシベルと60デシベルの10デシベル差は、20%増しではなく約10倍になります。10が12ではなく100になるのですから詐欺のような話です。現実には50デシベルの発生源が倍の2つになっても3デシベルしか増えないのです。倍の倍で発生源が4つになって6デシベル、8つになって9デシベル、16になっても12デシベル―。かなり簡易にいうと10デシベル差は10倍、20デシベル差は100倍、30デシベル差は1000倍です。
汐見医師によると、低周波音症候群の判断は、低周波音レベル計を用いて、苦情者が苦しいと訴える時を測定します。10~40ヘルツに60デシベル前後のピーク(卓越周波数)が測定されれば、おおむね低周波音被害と認定されます。低周波音発生源のない市街地だと、分析器は40デシベル前後のなだらかな曲線を描きますから、この20デシベル差が100倍の音圧であり、大きな意味を持ちます。

『週刊金曜日』暮らしコラム(2007年9月21日№.671号)津木とねこ
編集部03-3221-8521(禁無断転載)
(単位表記はデシベル;db/ヘルツ;Hzです)

低周波音が私を苦しめる≪第2回≫〈音〉が見えたらいいのに

2007-11-05 | 津木とねこ
―〈音〉=低周波音は目に見えません。人に被害を伝えるのも、発生源との交渉も、大変な苦労なのです。―

低周波音とは聞こえにくいか聞こえない低い周波数の空気振動〈音〉であり、人の声などより貫通力があり、遮音が難しいそうです(詳しい説明は次回に)。
地震・火山噴火・雷なども、高い値の低周波音を発しているといいます。そしてそれは、天変地異や生命への危険信号を生物の本能に知らせているのではないか、とのこと。天変地異と同じ危険信号が、隣の工場の稼動とともに発せられている!考えたくもありません。でも、工場の稼動とともに襲ってくる心身への圧迫感は、ただならぬものがあります。まるで大きな地震の地鳴りにあった時のように。
私がどんなに低周波音が苦しいといっても〈音〉は見えません。そして〈音〉の感じかたはとても個人差がとてもあります。線路脇で毎日熟睡している人もいれば、海のそばの民宿でまんじりともせず朝を迎える人もいるそうです。風鈴の音を風流と感じる人も、うるさく感じる人もいます。子供の泣き声を愛らしく感じる人も、イラつく人もいます。これらはみな騒音です。大概は慣れ、気が付かないときさえあります。
しかし低周波音は慣れることがありません。一度聞こえ始めたら日々過敏に体が反応してしまいます。ある程度の低周波音があるだけで不快な音圧を感じ頭が締め付けられ、頭痛がしてきます。そんな時の頭痛には薬が効きません。体を強張らせて発生源が止るのを待つか、その場から逃げ出すしかありません。しかし発生源が固定され、長時間、ましてや24時間365聞こえてくるとしたら……、自宅での生活をあきらめるしかありません。24時間365日というのは決して大げさではありません。24時間営業の店舗や工場、夜中に動く環境省推進のエコキュート、車の絶えない幹線道路、等々。
さらに発生源の音圧や周波数にもよりますが、低周波音に気づき不快に、つらく感じるまでには潜伏期間があります。同じ家で同じ低周波音に曝されていても、他の家族は何も感じず、数年経って感じ始めたりします。我が家も私一人で「ひどい、つらい、苦しい。」と騒いでいた時期がありました。
常々〈音〉が見えたらどんなにいいだろうと思います。そうしたら、「私はこの〈音〉が苦しい。」とはっきり伝えられるのに。私の苦しみを表す言葉が、行政にも世間にもありません。苦しみを家族に、発生源者に伝えるのに、延々低周波音とはかれこれ、私はどう苦しいしかじか―なかなか伝わらず、聞いてさえもらえません。病院に行き受付で「隣の工場の振動が原因の低周波音で具合が悪くて……」「イヤならやめてもらえばいいじゃないですか。」「やめて???」
―話が噛合わない。そう、看護師でさえ低周波治療器と勘違いしているのです。さらには診療科目ごとに検査に回され、検査結果は「異常なし」。こんなに具合が悪く、つらく、苦しいのに病名さえ付きません。
ところが、私のこの説明に苦しむ苦しみに名前がありました。「低周波音症候群」です。
『週刊金曜日』暮らしコラム(2007年9月14日№.670号)津木とねこ
   編集部03-3221-8521(禁無断転載)

低周波音が私を苦しめる≪第1回≫家の中にいられない!

2007-11-04 | 津木とねこ
―〈音〉に苦しむ女性の体験をお伝えします。その〈音〉を感じると全身を不快感が襲います。その〈音〉の正体とは?―

 世界には音があふれています。風の音や川のせせらぎ、鳥の声や動物の声、そして人の声。人が生活する為に利用する機械や車などの人工音。
 私は今、低周波音という〈音〉に苦しんでいます。苦しめられています。それは、私だけの特別な事ではなく、誰にでも、いつでも起こりうる苦しみです。
私は北関東の山に囲まれ、伝統的な地場産業を抱えた、少しばかり古い街に住んでいます。そして当然のように、住宅に隣接して工場が点在しています。私の家の隣にも地場産業の工場があります。ブロック塀一枚隔てて、人一人通るのがやっとの至近に。
 朝8時、この工場が操業を始めると、機械の稼動にあわせ間断なく地響きが伝わってきて、家の中にいられなくなります。地を這い襲う振動と、全身を締め付けるような不快な音圧を感じ、全身の血流が止ったかのように、頭や胸が締め付けられ、体が重くこわばり、頭痛、耳痛、めまい、動悸、胃痛、吐気……。集中力が無くなり、不安感が募り、ひどいときには工場の操業が終わる夕方5時まで、家から逃げ出すしかありません。たとえ私が病気でも、自分の家にいられないのです。
工場の機械が止りさえすれば、振動も不快な音圧も止み、じきに私の不快感もおさまります。
 工場がこのとんでもない機械を最初に設置したのは、1986年。私も家族も、以前よりうるさい機械に変わったと感じてはいました。しかしその頃は、じきに工場を閉めると聞いていたので、多少は仕方がないと受け止めていました。が、その後徐々に台数が増え、操業時の不快感は増し、家の建具がゆがみ始めました。そして工場はいつの間にか、工場を閉めるという話はなくなっていました。
もちろん先方に被害を伝え、改善を求めましたが、「隣に住んでいるのが悪い。」と、改善の意思はみじんもありません。
 工場の対応のあまりのひどさに、98年からは市役所の環境課に何度も相談し、対応と救済を求めました。が当初は振動問題としか対応されず、ましてや地場産業の工場であり、振動測定さえ難儀な状態。市役所の不誠実な対応もさることながら、そうこうしているうちに家の中で感じる不快感はだんだんひどく、耐えられないものになりました。
 やがて、テレビなどのメディアで「聞こえない音」の影響として取り上げられるようになったり、2004年に環境省から『低周波音問題対応の手引き書』が発行されるなどして、私の家の中で感じている異常な心身不調の原因は「低周波音」というものだとわかってきたのです。単なる振動被害ではありませんでした。
 もちろん私は医師でも、研究者でもありません。しかし、ワラにもすがるように情報を集め始めました。インターネットは情報にあふれ、とても便利なものでしたが、それでもこと低周波音被害については、疑いたくなるような記述を含めてさえ、微々たる情報しかありませんでした。
     『週刊金曜日』暮らしコラム;津木とねこ(2007年9月7日№.669号) 
                   編集部03-3221-8521(禁無断転載)

週刊金曜日 暮らしコラム“低周波音被害”から見えられた方々へ

2007-10-27 | 津木とねこ
コラムを読んで下さりありがとうございます。
汐見文隆医師の著書に「わかったら地獄」というタイトルがあります。低周波音被害は本当に「わかったら地獄」です。しかしわかればまだしも、ちまたには「何がなんだかわからないけど地獄」という方々がたくさんいらっしゃると思います。
≫≫≫
(略)低周波音被害は、あらゆる体調不良を引き起こすだけではなく、ヨーロッパなどでは胎児に影響・ガンの発生率を高める・発達障害の一因などの研究がされていると聞きます。とすれば日本でも低周波音発生源とされる室外機と高気密住宅の組み合わせ1つを例としてもいかに増えているか。そして発達障害といわれる子供たちのいかに増えていることか(子どもなら発達ですが、成人なら認知症やCNS:中枢神経系疾患でしょうか)。すべての発達障害の原因が低周波音というつもりは毛頭ありませんが、低周波音は明らかに神経・精神を蝕みます。なのに室外機には改善がなされず、子供と家族が不遇の憂き目に遭っています。(略)
低周波音被害と知らずに理由もわからず深刻な体調不良に悩み苦しんでいる人も多いと思います。そして私たちのように行政に握り潰されている人も多いと思います。被害も深刻で問題も大きく根深いというのに放置されています。父も弟も家で眠れないことから体を壊し、精神を病み、亡くなりました。毎日死ぬことを考え過ごす初老のご婦人や、小さい子供を抱えて入院を繰り返す母親もいます。
どうかこの底なしの拷問から助けて下さい。憲法に保障されている安全・安心な生活をどうか守って下さい。(略)
≫≫≫これは私が用意している嘆願書の一部です。

工場や室外機のみならず、風力発電やエコキュートなども低周波音発生源として増えています。体調不良に苛まれ、眠れぬ被害者の多くは「ここにいる私が悪い」「生きている私が悪い」と考えます。そんなことは決してありません!

あなたは何も悪くありません。生きてください。

あなたに大切な人がいて、幸いまだ被害を感じていないなら、その大切な人が被害者にならないために声を上げてください。発生源が消失すればあなたは元気で明るいあなたに戻れます。できの悪い機械のために、あなたが消えることはありません。
理不尽に苦しみを強いられているのはあなただけではありません。あなたがオカシイのではありません。“生きてください。”それを伝えたい一心でコラムを書きました。