ヤマケン

「ヤマケン」は「山之上創作研究会」の略称です。
創作技術の向上を目指しています。

品評会

2007-12-04 22:01:21 | りょく
作品発表順に評価。

シャオリン作

『音』

構成:C
『音』という単語で韻を踏んでいるため読みやすいが、
できれば『音』以外の『と』で終わる単語でも韻を踏んで欲しい。

文体:B
『壊れる音』の段落の『倒れる音』と『グラスが割れる音』は、
どちらか片方にするか両方削った方が悲壮感のみを純粋に伝えられる。
ただ、言葉の羅列から二人が何をしてどんな表情をしているのか、
などといった情景が浮かんでくる詩でした。

オリジナリティ:B
恋愛の始まりから終わりを『音』という要素から着目し、
また表現したところは面白いと思う。

総合:B-

その他:
情景が浮かびやすい。
『囁く音』の段落(詩ではなんと言うのか忘れました)は、
『楽しい音』の段落と雰囲気では似たような感じに思えるので、
起承承転結といった構成になってる気がする。


『深海』

構成:B
短いながらも相手に光景と気持ちが伝わりやすい詩です。

文体:B
言葉の区切り方がテンポ良いと思う。

オリジナリティ:C
揺れ動く人の心は詩や文章で数多表現されていますが、
その人個人の気持ちが如実に反映されると思います。
よって詩人個人をもう少し出せるといいかもしれません。

総合:B-

その他:
先に向かって動こうと出来ない人は共感できそうです。
『あの言葉』および『あの声』をもう少し明確に描写したほうが、
読む人がよりいっそう情景を思い描くことが出来ると思う。


りょく作

『産み落としたもの』

構成:C
最後の部分が物足りない。

文体:B
一人称文体で一人称を使ってない割にはそこまで破綻していないと思う。
また、『ひねくれた子供』という雰囲気も出せて無くはない。

オリジナリティ:C
叙述トリックとしては在り来たりな物。
単なる性別もしくは同世代の入れ替わりではないとはいえ、
早い段階で分かってしまう可能性が高い。

総合:C+

その他:
起承転までは大きな問題は無いが、肝腎の結の部分が明らかにボリューム不足。
字数制限を設けるのならばある程度バランス良く構成した方が良いと思われる。
メインの叙述トリックについてはかなり容易なものではあるが、
短さも相まって読み手がもう一度読み返しやすいと思われる。


カオス作

『コンピュータシティの殺人』

構成:B
1~10のパーツに分けているため、場面展開が分かりやすい。
また自分で挿絵を添付して読み手の状況把握を容易にしている。

文体:C
擬音の多さが気にかかる。

オリジナリティ:B
トリック自体は設定独自のオリジナリティがあると思う。
オチは在り来たりと言えば在り来たりだが、むしろ王道と言える。

総合:B-

その他:
『とある世界の密室殺人』のトリックはおもしろい。
ただ、『コンピュータシティの密室殺人』の方は、
6の展開が急すぎて面白みを発揮し切れていない感じがした。
あと5の展開はオチの部分に持っていくためには必要な要素だと思われるが、
どうしても急すぎて不自然さが拭いきれない。
擬音語はわざわざ書かなくても相手に伝えることができているので、
省いてしまってもいいと思う。