ヤマケン

「ヤマケン」は「山之上創作研究会」の略称です。
創作技術の向上を目指しています。

議事録

2009-09-19 01:17:35 | 運営
第七回例会締切:1月末(仮設定)
形式・テーマ:特になし

なお、例会以外にもいつでも作品の批評を求められるようにします
批評を求める場合は、本blogにその旨の書き込みをし、その上で参加者全員へメールで知らせてください。
批評を求められた場合は、参加者の義務としてきちんと批評しましょう。

(文責:Σ)

第六回品評

2009-09-13 23:01:50 | まよいまつり
まよいまつりです、第六回品評を投稿します。

カオスさん『ミケといた夏』
人物:A+
構成:A
総合:A
分量がありますが、構成もキャラクターもしっかりしていると感じました。設定に分かりにくいところもなく、非常に読みやすかったです。最初は幽霊ものかと思わせますが、徐々に読者に真相が分かるようにさせる、その過程もうまいと思いました。離島やど田舎に転校したところ、そこには変な風習があり・・というのはよくある話ですが、うまくミステリーに仕立てて新鮮味のある話になっていると思います。キャラクターに関しては、ミケと川島美奈子の性格の対比がうまく描かれていると感じました。特にミケはていねいに描写されていると感じました。個人的には読んでいて特にひっかかるところはありませんでした。

りょくさん『ワスレガタキ』
人物:A
構成:A
総合:A
伏線が自然に練りこまれており、またきちんと回収されていると感じました。一部気になったところは、寝る前に鍵をかけているのに、朝に姉が起こしに来るのをなんとも思わないのは少し不自然かなと思いました。ハナが矛盾点に気付き、それを指摘していくところは、ハナの不安感や慌てている様子がうまく描写されていると思います。一般的でない病気を題材にするのはなかなか難しいことと思いますが、非常に上手く題材として取り入れられていると思いました。

シャオリンさん『渡り鳥』『若者』
詩歌の鑑賞には慣れていないので率直に感想のみを・・。
『渡り鳥』については、思い切ってからっぽになれば何だってできるということを表現しているかと解釈しました。
『若者』については、テーマ設定どおり、満たされていないという心情を表現できていると思います。「空が落ちてくるのを待つ」というのはどういうことなのか考えさせられました。何かの終わりをまっているのか、それとも革命的なものを待っているのだろうか。

まよいまつり『別ルート』
人物:C
構成:C
総合:C
またまた人物描写や情景描写などをおろそかにしてしまいました。また、話が唐突に展開し、構成もあまりよく練られていないように感じます。思いついたままに書いてしまった感があり、もっと丁寧に書くよう心がけたいです。


第6回品評会

2009-09-13 22:21:11 | Σ
まず、今回作品提出できなかった点については、本当に申し訳ございません。
今回提出できなかった作品は、完成次第アップします。次回作にはしません。
次回は期限より早めに提出できるよう頑張ります……

さて、作品書いてない身で品評というのも「お前何様だよ!」という気がしますが、作品書いてない上に品評しないのも「何のためにいるの?」って感じなので、開き直って言いたいこと言います。遠慮なんかしないんだからねっ(何様)!


●カオス作

『ミケといた夏』

構成:B+
大風呂敷を広げましたが、一応収束しきっているのはさすがです。
現実的にどうなんだろうと思わせる部分もありますが、上手い設定と勢いで読めてしまいます。
また、この長さで、細部のエピソードも手を抜かずにしっかり書ききれてるのは素直に感動します。
唯一の不満点としては、ラストがやや安直なことでしょうか。
神社を放火して混乱の隙をついて島を出る。シンプルなんですが、そこまでの展開に比べればややありきたりです。一大宗教を支える神社を簡単に放火できるというのも、現実的に変な気がしますし。
せっかく鉄人を切れ者として描いてきたのですから、彼の頭脳を使ったもう少しスマートな解決方法が考案できれば、よりラストが映えたかな、と思います。具体的にどうすればいいかさっぱり思いつきませんが。

文体:A
コールドリープの時以上にパワーアップしているように思います。
この長さで、表現に力を抜いていないのも素晴らしいです。

人物:A
向島怜奈が最高……いえ、なんでもないです。
かなりの多人数が登場しますが、キャラ分けがしっかりなされていて、しかもそれぞれのキャラがよく立っていると思います。

総合:A
オチに若干の不満はありますが、全体として素晴らしい出来だと思います。
文句の付け所はあっても、それ以上の魅力でカバーできています。
僕が勝手に思うに、カオスさんの作品の最大の魅力は細部の面白さではないかと思います。
全体としての大きな流れ以外にも、細部にくすりと笑わせるシーン、興味深いシーンをはさんでいて、それらが作品の質を高めているように感じます。
今回は、全体としての完成度ももちろん高かったのですが、それ以上に細部が非常に書けていたと思います。
自分の中では、買っても読む価値があると思える作品です。



●りょく作

『ワスレガタキ』

構成:B
伏線がいたるところに張っており、それらをラストで綺麗に回収できていたと思います。
ただ、少しオチを匂わせる描写が多すぎたかもしれません。
そのため、ラストの展開が予想でき、オチがあまり衝撃的に写りませんでした。
個人的な意見ですが、伏線は、後で振り返ってあれが伏線だったのか、と気付く程度のさりげないものである方が効果を持つと思います。

文体:A-
相変わらずのハイクオリティです。
物語は変わっても、文章力は財産として残るなぁ。

人物:B+
キャラ分け・キャラ立ちはしっかり出来ています。
ハナの緩いキャラは特によく書けてますね。

総合:B+
構成・文体・キャラともに高いレベルで揃った、完成度の高い作品だと思います。
テーマとしていた気持ち悪さもよく出ているかな、と。
一点、オチがかなり重要な話だと思いますが、ラストの衝撃度が少し薄れてしまったのが残念です。
伏線は見せ方が足りないと超展開になってしまいますが、見せすぎると綺麗に落ちない。難しいですね……



●シャオリン作

『渡り鳥』
リズム:D
文体:C
オリジナリティ:D
総合:D

小説や詩のワンフレーズとしてはありだと思います。
しかし、6行、文にして2文で、韻も踏んでいない状態では、詩として完成しているとは評価できないです。
テーマや言葉の選び方自体もあまり個性的とはいえません。
よって、申し訳ないですが低評価となりました。


『若者』
リズム:D
文体:C
オリジナリティ:C+
総合:D+

これも基本的には上記の『渡り鳥』と同じ印象です。
ただ、テーマが少し面白いなと思えたので、『渡り鳥』より高い評価になりました。



●まよいまつり作

『別ルート』

構成:C+
短いながらもオーソドックスな起承転結が守れています。
しかし、題材はいいのに展開が少し急すぎるような気がします。

文体:C+
ところどころちょっと変な表現がありますが、全体として描写力は上がっていると思います。

人物:C+
ヒロイン(ヒロインじゃないけど)の電波っぷりはいい感じです。
主人公のダメダメっぷりもよく伝わります。
でも主人公の別ルート(ヒロインに化けてたやつ)、性格変わりすぎじゃないですか? まぁ境遇によって人の性格はいくらでも変わるとは思いますが。

総合:C+
発想としては面白いです。
ただ、やはり短さのために題材を活かしきれていないと思います。
まよいさんは毎回アイデアは面白いと思うので、次回はそのアイデアを活かして発展させるような話を期待しています。

りょくさんの~第6回批評!!

2009-09-13 21:15:38 | りょく
えぇ、体調不良です。


そして個人的には、俺を含めて締め切りいっぱいいっぱいになる人がいるので、
締め切りはそこまで厳密にしなくても、一日二日猶予があっても……
まぁ、確実に猶予をもらっても俺は締め切りぎりぎりになりますがね!
まさに下種。


それでは品評のほうをどうぞ!
なお、作品へのリンクは面倒なので貼りません。ご了承ください。

それと、シャオリンさんの記事に変な改行があったので、
勝手ながら修正させていただきました。怒らないで!!




カオス作
『ミケといた夏』



構成:A-
長さを感じさせずサクサク読めると思います。あっという間にこんな時間!
また、伏線の張り方も回収の仕方も見事。
惜しむらくは最後がもう少しボリュームがほしかったことですね。
えぇ、個人的な感想です(笑)


文体:A
一人称の文体はかなり十分な出来栄えに。
鉄人のパートは三人称でも良かったのではないかとも思いますが、
一人称のおかげで読者が彼の思考を追跡しやすくなっていると思います。


キャラクター:A-
魅力的なキャラクターが描写されていると思います。
美奈子さんの出番が少ないかと思いますが。まぁ、ヒロインじゃないしね。
ミケか美奈子さんのどちらが生き残ることになるのか……気になります。


読後感:A-
狂気の描写は人それぞれですが、俺はこういうのは好きですね。
伏線の張り方も回収も良かったですし、読んでいる最中に考えながらも、
結局「そこかぁ!そこがそうだったのかぁ!」と思えて満足です。
ただ、ラストが少し物足りない気がします。スピード感はあるけども。
ラスト以降の展開が浮かびづらいのですよ……ハッピーなのか苦悩なのか。


総合:A-
これだけの分量でも中弛みしないとは……進化すさまじい。
浦賀と美奈子の活躍の場がもう少しあってもよかったかなと思いましたが、
出来自体はよかったと思います。

あと、個人情報は「生きている人間」に対するものだけだから、
死人の個人情報は漏洩しても法的には問題ないよ。
道徳的にはあるだろうけども……
はっ!まさか役所の人間が美奈子の戸籍情報を出さなかったのは、
実は脳内では「生きている」と認識していた、という伏線なのか!?





りょく作
『ワスレガタキ』



構成:B
思い切って伏線を最初から出してみた、が、
これはあからさま過ぎましたね。途中も張ってるし。
あと、ね?いつものことだけどね?毎回毎回なんだけどね?
山場とかラストの分量というか密度が薄いと思うのね?残念です。


文体:B+
リフレイン大好きです。一人称はいつもとキャラが違う……
つもりだったんですが、結局はいつも通りの皮肉屋さんに。
どうしても一人称だと、主人公が説明文を語ったり、
状況描写をしないといけないので、客観的なキャラになりがち。
やはり三人称の方がよいのかのう?


キャラクター:B+
実際に代理ミュンヒハウゼン症候群の方を見た事ありませんが、
書籍などで想像し創造した結果、山場はあんな感じに。
すいません、あぁいう人物の描写に慣れてるんです。
華ちゃんがもう少し頭の回転が速いところを見せたかった……
突然正体に気付いた、みたいになってるしね……


読後感:B+
オチについては、三パターン考えていて、
その中で最も救われるパターンを選びました。
個人的には最もエグいもので書いても良かったのですが……
読後感最悪になるのでやめました(笑)


総合:B
「一年後」が唐突過ぎた感はありますが、
伏線も回収し、文章の形にはなっていると思います。
もう少し頭の中の光景を文章にすることができれば、
山場の恐怖を伝えられるかもしれません。難しいよ!!

なお、おもな参考資料は
「Sickened 母に病気にされ続けたジュリー」ジュリー・グレゴリー
でございます。




シャオリン作
『渡り鳥』
『若者』  

構成:B-
どちらも短く、それでいてメッセージ性があると思います。
メッセージ性が強すぎるような気もしますが。
何となく標語のようなイメージです。


文体:B
ミッシェルガンエレファントの歌詞みたいで、好きです。
えぇ、個人的な好みです。空が落ちてくるのを待つ、というのが特に。
自分と空との間に境があるからこそ、空が落ちてくるのですね。


キャラクター:-
評価対象外……で、いいですよね?


読後感:B-
ちょっとあっさりしすぎているような気がします。
あと、「満たされてない」という思いを描くのに、
からっぽになればいい、は……少し投げやり?


総合:B-
短くて印象に残るという点は問題ないと思います。
インパクトはありますし、満たされていない感じもよく出ているかと。

あとは、満たされるようなものも書いていただければよかったと思います。
このままだと、満たされない若者は満たされないままになっちゃうかと。



まよいまつり作
『別ルート』

構成:B-
二次元美少女の会話の節々に異世界の自分のセリフを混ぜても良かったかと。
変わりっぷりが唐突すぎるので。
全体的に密度と分量を濃くするとよいと思います。
あと、異世界の自分もわざわざそんなところにいる奴を出してくるなんて。


文体:B-
一人称に慣れていないためか、少しだけ大仰な気がします。
相手のセリフのオウム返しも目立ってしまいますし。
え?お前が言うな?はは、何のことやら……

「」を外しただけのマンガの吹き出しのような一人称にならないよう、
気をつけながら書くとよいかと思います。


キャラクター:C+
異世界の俺、いくらなんでも二次元美少女になるて……
違う意味で驚愕のキャラクターです。えぇ、それはもう。



読後感:C+
あっさりしすぎているような気がします。
最後は意識を薄れさせるよりも、刑務所の中で目を覚まして、
なんじゃこりゃーみたいな展開の方がインパクトあるかもしれませぬ。


総合:B-
分量がもの足りません。長さや時間を気にせず、
もっと詰め込んで書けばよいと思います。
書きたいだけ書けば、きっと密度も増していきますしね。

第六回品評(カオス)

2009-09-13 21:11:33 | カオス

 ※「構成」「文体」「人物」「総合」を分けての評価をしてなかったので後付けですが追加しておきます。

「ワスレガタキ」 りょく作

構成「A」
文体「A」
人物「A-」
総合「」 (文句を付けるとすると小奇麗にまとまり過ぎている点。いやミステリ的には褒め言葉でしかないのですが……)

 短編ミステリ劇としては申し分ない。完成度高し。
 ミステリ視線で読むと早い段階で物語の構造は見えるのだが話がどう進むかわかっていても読者をひっぱれるだけの書き手の力があった。一種のホラーとして読めるからというのもあるかもしれない。
 地の文はほぼ必要十分な説明がなされている。心内突込み的な文章が気になったりもするが、それは文体だと割り切れる。
 キャラクターは探偵役の人物が非常によかった。普段駄目駄目なのに急所で冴えるというのは一つの黄金パターンだろう。主人公はラノベの王道「周りの女性から好かれる(色んな意味で)」「受け身」「突っ込み」を満たしている。
 ラノベ系短編ミステリ賞みたいなのがあったら受賞するだろう。

+++++++++++++++++++++++++


「ミケといた夏」 カオス作

構成「B+」プロットがあったお陰で大きく物語が暴走することはなかった
文体「B+」よい文体とは何なのか?
人物「B+」容姿を描写すべし
総合「B+

欠点が多過ぎる。
 必要十分という描写ができていない。不必要な部分を多く書き、必要な部分を少なく書いている感じ。
 そのためにキャラクターに魅力が出ていない。キャラぶれもある漢字。
 話の大筋、構造自体は悪くないと思うのだが全部読んで全部腑に落ちる感はあまりないのではないか。
 有亜はそもそもプロット完成時点で登場する予定のないキャラだったが適当に出してみたら物語のキーパーソンになってしまった。書き終わって「こういう話だったのか」と自分の中では腑に落ちたので、もう一度最初から書き直したら読める話にはなるかもしれない。
 政治家の秘書ってそんな仕事じゃないよね……。あれ? 冒頭の小島は関係ないの? 突っ込みどころは満載されているはず。あばば。

 既存の物語や疾病の概念を一つずらすという手法は「ワスレガタキ」「ミケといた夏」共に同じなのだが完成度の点で前者が優れている。

++++++++++++++++++++++++


詩 シャオリン作

総合「C+」(指摘部分で才能を見せた表現を加えることができればB~B+)

「渡り鳥」

 吐き出した吐瀉物は一体なんだったのだろう?
 身の丈に合わない夢とか、作り過ぎたガンプラとか、息苦しい人間関係とか、笑えることが一つもないその地での思い出とか、国籍とか、親とか、アイデンティティとか……。
「捨てる」ではなく「吐き出す(おそらくは鳥だからということだろう)」のだからその時の心情を吐露しろということなのだろうか。
 1段落使ってその吐き出す具体的なものを羅列すれば印象に残る詩になりうるのではないか。その時の固有名詞の選び方が詩のセンスということになるのだろう。

「若者」

 彼が「誰にも気付かれないように」空を睨む理由は何か? 彼は他の人から見れば普通に日常を送っているということなのだろう。例えば普通に社会人生活を送っている。それでも破滅願望のようなものを持っているのだ。
 では彼が見上げる「空」はどんな空なのだろうか。それを書くことで若者の心はより鮮明に浮かび上がるのではないか。私なら「透き通るように高い空」「過去の憧憬を映す秋の夕空」などを入れるかもしれない。「暗雲経ちこめる空」などではないはずだ。人は美しすぎるものを見た時のほうが死にたくなる時だってあるのだ。

 二作とも短いのが悪いわけじゃなくておそらくはその詩をもっとも特徴付けるであろう描写の部分を書いていないのが少々残念。

+++++++++++++++++++


「別ルート」 まよいまつり作

構成「B-」(大きな構造はこれでいいがさらに細部の構造を考えるべき)
文体「B」(僕もよくしてしまうことであるが表現が面倒臭いところを省略してしまう嫌いがある。)
人物「B-」(斬新)
総合「」 

(文章作法)
・「・・・」の三点リーダは普通「……」で表すことが多い。
・「あなたは狂ってなんかいないわよ。証拠にあなたしか知らないことも知っているわ。たとえば・・」のたとえばを具体的に書くと面白そう。

 (お話)
 とても他人ごととは思えない設定の小説。現代内向オタクのための私小説といったところか。
 別ルートの僕がこんな超絶魔法的なことができるのはどうしてだろうか? という疑問は残るが、別ルートの僕は向こうで本物の「D2」に出会ったのかもしれない。そして「自殺は辞めようよ。別ルートの君と入れ替わるという方法があるわ」と唆されたのかもしれない。別ルートに行くことになる僕は向こうでまた本物のD2と出会うことになるとする。そしたら僕は別ルート´の僕と入れ替わるという行動をするのではないか。次々と置換していく数学の構造が連想される。


第6回品評会

2009-09-13 21:00:00 | シャオリン
こんばんは。シャオリンです。
第6回例会作品の品評を行います。



+++++
カオス作『ミケといた夏』

構成:A-
文体・表現:A
人物:A
総合:A-


構成について:
あちこちに張られた伏線が綺麗に回収されており、
プロットから丁寧に作り上げていったのが伝わってきます。
ただ、川島美奈子とミケがその後うまく両立できたのかと、
すっきりしない読後感も残りました。
できれば後日談も作って欲しかったです。


文体・表現について:
「燃えている。全てが燃えている~」など、
印象的な表現が目に留まりました。


人物について:
よく設定が練られていると思います。


総合について:
よくできた作品だとは思いますが、
最後の部分に改良の余地があるように思いました。


++++++++
りょく作『ワスレガタキ』

構成:B-
文体・表現:B+
人物:A-
総合:B

構成について:
時折入るハナとのゆる~い会話の部分が、シリアスな部分をよく引き立てていると思います。
ただ、ハナが湊の会話や行動に疑問を持つ点が不自然に感じました。通常は弥慶か彼の父親から話を聞いたと思わないだろうか、と感じます。姉の行動に疑いを持たせるには、もう少し物語の長さが必要に思います。
また、「遺影が突き刺さり、慌てた姉が倒れこんだ拍子に自分の喉をメスで切り裂いた」終わり方も、やや唐突な印象を受けます。姉さんに事故死で退場してもらう以外に、何か解決方法が無かったかなと感じました。


文体・表現について:
相変わらず安定した文体表現だと思います。
序中盤のくすっと笑える軽やかな表現と、冒頭とラストの重い描写も、
違和感無く書き分けられているように感じました。


人物について:
一人一人の人物の設定がよく練られていると思います。
ハナというゆる~いキャラの存在が、
物語のシリアスさをうまく目立たせているように感じました。
姉さんのSっぷりな描写もよく描けていると思います。


総合について:
一定以上のレベルにある作品だとは思います。
ただ、物語の中盤から終わりにかけての展開に、
少し物足らなさを感じます。
「精神的な気持ち悪さ」をテーマにするなら、
主人公が姉を殺してしまうくらいのバッドエンドにしてしまう方が、
強烈な印象を与えられたかもしれません。



++++++++
まよいまつり作『別ルート』

構成:C
文体・表現:C
人物:C-
総合:C


構成について:
オチの発想は面白いと思います。
ただ、文章そのもののボリュームが少なかったためか、
物語の進行に唐突な印象を受けます。
ところどころに伏線を仕掛けた方が、より面白くなったかと思います。
また、別ルートの『主人公』がどういう境遇に置かれているのか、
もう少し詳しく書いた方が、物語の悲劇性も増したかと思います。


文体・表現について:
平易で読みやすい文章だと思いますが、
印象に残りやすい表現が欲しかったなと思います。


人物について:
登場人物の内面や外面の細かい描写がもう少し欲しかったなと思います。


総合について:
もう少しじっくりと熟成すれば、さらに面白い作品になる題材だと思います。
登場人物の細かい設定、物語の構成と伏線等のプロットをある程度作り上げてから書くようにすれば、
作品にもさらに深みがでてくるかと思います。



++++++++

シャオリン作『渡り鳥』

構成:C
文体:C
総合:C


構成について:
「飛びたいならからっぽになれ」という文の流れではなく、
からっぽになりたい→吐き出せ→そしたら飛べる
という流れにしたのは工夫したところです。
ただ、小説の一部のような詩であり、
韻を踏んでいるわけではなく、詩としてはリズムが良く無いため、
詩としては平板な印象を与えてしまうかもしれません。



文体について:
「乱暴な言葉遣いだけど思いやりを感じさせるもの」を目指しました。
ただ、表現にもう一工夫必要だったと思います。


総合について:
「詩とは言葉に出して気持ちの良いものである」という観点からすると、
この作品は詩としてはまだまだ不十分な出来のように思います。
小説の1シーンで使った方が適切な作品だったかもしれません。



++++++++

シャオリン作『若者』

構成:C
文体:C
総合:C


構成について:
思いついたアイデアをそのまま晒してしまった感があります。
韻を踏むなど、もう一工夫が欲しかったように思います。


文体について:
「睨み付けている」は一工夫した表現。
きつい印象を与えることには成功しているように思います。


総合について:
作中の人物の背景が見えないため、
何を考えているのかが分かりにくいのかが難点。
表現や構成など、もう一工夫必要だったと思います。


+++++
所感:
今回の出品作はカオス先生の作品が一番完成度が高かったように思います。
作品を作るうえで、事前の下準備もしっかりされているようですね。
僕も見習いたいと思います。

あと、小説出せなくてすみません。
次回は書けるようにしたいと思います。

次回品評会

2009-09-06 01:03:44 | 運営
次回の品評会は9/13(日)に行います。
21時~24時の時間帯に投稿よろしくお願いします。
フライング投稿される方は事前にご連絡を。


(文責:シャオリン)