子育てカウンセラー・作家:山本勝美ブログ「子育ておしゃべりコーナー」

子育て・心理カウンセラー山本勝美のブログ。子育て・介護・障害者などの悩み相談も。

性ーーージェンダーのこと

2008年09月09日 | Weblog
先回は古い、取って置きの話しをしましたが、
今日は一転、昨日の話をしましょう。

ある知人のお宅でおしゃべりにちょっとした花が咲いていました。
その知人は仕事上の先輩です。
彼女は世の中のいろんな差別問題に対して、
改革するために敏感に対応されている人です。

そのうち、性同一性障害の人の問題はどう受け止めるか、
という話になりました。
ぼくはそこで一つの相談ケースを思い出して話しました。


その話とはーーーー
保健所で子どもの健診業務にたずさわっていた日のことです。
わりと広いホールで沢山の親子が健診を待っていました。
医師や歯科衛生士さん、栄養士さんなどほかの職種の方には
個別の各部屋が割り当てられていましたが、
心理相談員は誰でも気楽に相談を受けられるようにということで、
ホールにデスクを置いて待つようになっていました。

さて、その時ある方が相談を希望して
ぼくのデスクの前に着席しました。
「実はわたしは性同一性障害です。
いま専門病院で診療中です」というお話です。

ぼくにははじめての相談です。
でもぼくは幸いにして、特に構えることなく、
何とか落ち着いてその方の話に聞き入ることができました。

その方は、お子さんにどう説明をしたらよいか、
子どもにどんな影響があるか、というご相談でした。
ぼくは、自分がどちらの性の選択をするか、
そしてその結論とその後の人生を、
お子さんが大きくなったときに、
自信を持ってありのままに説明すればいいのではないかと、
申し上げました。
以前、離婚の問題でも同じようなご相談を受けた事がありました。

やがてその方は
「今日お話しして理解していただきよかったです」
と言ってくださいました。
「実は年配の方はこの話を理解できないと思っていたので、
あなたに相談をするのを躊躇していました。
でも保健婦さんが,あの人は大丈夫と勧めてくれました」
とのことでした。
ぼくはそのことにとても嬉しくなりました。

ただ、実はぼくにしても気軽に自然に理解し、対応できる問題ではなく、
その日までにいろんな情報や仲間の指摘を受けたりして
意識が日々に変わりつつあったのです。
そしてほとんど滑り込みセーフの状態で
その人の相談に間に合ったというのが実状です。

こうしてその日はじめて性同一性障害者と自ら名乗る
当事者の方と出会ったことで、
その方のカミングアウトするその勇気と悩めるその姿から
貴重な体験をさせていただきました。

昨日はそんな話をしましたーーー



相談員も絶えず自分の意識、姿を振り返って行かないと
この変転激しい世の中から取り残されてしまいます。

性、ジェンダーの問題がそうです。
性同一性障害ほどの問題ではなくても、
性別役割分業、
つまり男は外で働き、女は家で家事育児
といった古い性役割の考え方は
今も社会のそこかしこで引きずっています。

男性が子育て、料理などにどのように向かうかという問題は、
今後も問われ続けて行くべき事だと思っています。









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