子育てカウンセラー・作家:山本勝美ブログ「子育ておしゃべりコーナー」

子育て・心理カウンセラー山本勝美のブログ。子育て・介護・障害者などの悩み相談も。

取って置きの話

2008年08月30日 | Weblog
このブログではいつも最近見聞きしたこと、
経験したことなどを書いていますが、
けさ、古い話で、でもとても意味のある事を思い出したので、
記しておかなくちゃと思って急いで筆を取って・・
いやパソコンに向かって書いています。


先回は「自分なりのつき合い方」というテーマでした。
このテーマを思い浮かべていたところ、
もう20年程も前になるかな、
ある子育てのフリートークをしている会の事が
ふっと思い出されてきました。


しつけのことで話がはずんでいたとき、
「子どもが毎日テーブルの上に乗りたがるんです、
それをどうすればいいですか?」
という質問が出てきました。

するとあるお母さんは、
「わたしはやらせておきます。
何時か飽きると思いますから。
子どもが飽きるまでやらせる、
それにつき合うことは大切だと思うので」と言います。

するとその隣にいたお友だちが、
「わたしは直ぐ叱って降ろします。
良いことと悪いことの区別ができるように教えています」と
真反対の意見を出してきました。


ここまでなら、こんなに長くぼくの記憶に残らなかったでしょう。
このテーマ自体は、どこのご家庭でも経験しているので、
よく出される話です。
うちでも3人の子がみんなしばらくの間やってました。


ぼくが、関心をいだいた、というより、感心したのはそのあとです。

初めに、子どもを自由にさせておくと発言した人が、
次の真反対の意見のお友だちに対して、やさしく
「そうなのよね、あなたは叱って止めるしつけ方でやっているのよね」と
認める発言をしました。
するとこんどは相手の人が
「そうなの。あなたは逆ね」と言って、
二人はうなずき合っていました。


何気ないようなこのやり取りの中に、
ぼくは二人のあたたかくて、
お互いを受け入れ合っている成熟した関係を
感じて感心しました。


「ほかの人が行っているやり方だから」とか
「あの人が言っていることだから」とかいうことで、
自分の考え方に自信をなくし、人をまねてゆく場合があります。

反対に、自分の考え方にこだわる余り、
それをついほかの人に押しつけたり、
違う考え方に批判的になってしまう場合もあります。


ところが、この二人はそれぞれ自分なりに全く違うやり方を
自信を持って実践している一方で、
しかもお互いに相手の考え方を
あたたかく認め合っていました。
その二人の態度にとても打たれたのです。

自分に自信があるから、かえって
人の違いを受け入れられるのでしょう。


こんなふうに自分に自信を持っていて、
しかも相手の違うやり方を受け容れあっている
成熟した二人の関係に感銘を覚え、
長く記憶に残っています。




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