山形屋歯科 坂上医院

山形屋歯科坂上医院のブログ

インプラントするなら

2010年10月20日 09時36分59秒 | 歯科コラム
最近、皆様の間にインプラントという歯科治療が浸透してきたようですね。

さて、このインプラントとは良い治療なのでしょうか?

残念ながら当院ではインプラント治療を行っておりません。

それはインプラント治療があまり良くない治療だと考えているからではありません。

私のホームページ内で述べましたように、長期的な視野に立って考えると自分には責任を持って治療を行う自信が無いという事と、インプラント手術の際の滅菌環境を確保出来ないというふたつの理由からです。

私はインプラント推進派で、インプラント治療を希望される患者さんには、私より腕の良い立派な先生をご紹介することにしています。その方が患者さんにとって、色々な意味で良いと考えるからです。

さて、『インプラント治療』はどんな歯科医院で受けたら良いでしょう。

私は、個人的にインプラント治療を受けるのなら、総入れ歯・部分入れ歯を作製するのを得意としている先生に手術してもらうのが一番だと考えています。

当院には、しばしばインプラント治療がうまくゆかなかった患者さんが、なんとかならないかと来院されます。

何故、インプラント治療がうまくゆかなかったのかという原因を探ってみると、ほとんどのケースといっても過言ではないくらい『噛みあわせ』がうまく構築されていないのです。

私は大学を卒業して以来、噛みあわせという課題に常に向き合って診療を行ってきました。

たとえば、入れ歯でうまく噛めないのでインプラントならうまくゆくのではないかと考えてインプラント治療を受けたとします。

インプラント治療終了時には、あたかも大成功で良く噛めるようになったと感じると思います。

しかし、噛みあわせが適切な状態で設定されていないと、やがてインプラントは哀れな姿になってゆきます。

インプラントは直接顎の骨の中に埋め込む為、治療直後は噛みあわせの良しあしとは関係なく、ちゃんと噛めるようになります。

しかし、時間が経つにつれて、インプラントに負担がかかり過ぎて、やがてさまざまな不都合が生まれます。

この詳細については、私のホームページに詳しく述べておきましたので興味のある方はご覧下さい。

一方、『入れ歯でうまく噛めないのでインプラントならうまくゆくのではないかと考えて』という同じ理由で、入れ歯作製の上手な先生の歯科医院を受診したら、まず、何故現在使用している入れ歯が噛みにくいのかという原因を追及すると思います。

まず、入れ歯とはぐきがぴったり合っているかを診査して、もし適合が悪くなっている場合には、入れ歯の内側に新たに材料を追加して、はぐきにぴったり合うようにします。

次に、入れ歯の噛みあわせを診査して、入れ歯の噛み合わせる面にプラスチックを追加したり、削ったりして適切な噛み合わせになるように調整を繰り返します。

そうして、この入れ歯の調整が終了して、入れ歯できちんと噛めるようになった状態が、その患者さんの適切な噛み合わせ(上顎と下顎の適切な位置関係)が完成した状態になります。

この状態で、インプラント手術を受けて、適切な噛み合わせで修復物を作成してもらえば、長持ちする良いインプラント治療が行えます。このような状態でインプラント治療を受けることが出来れば最高ですね。

但し、使用中の入れ歯の調整を繰り返し、きちんと噛めるようになった患者さんが、わざわざインプラント治療を受けたいと考えるかどうかは、はなはだ疑問が残りますが。