旅ごころ

「旅」をキーワードとして、イエローな脳細胞を駆使して生活を愉しむ。

Nagahama レトロモダンな優しい街🎨

2017-06-15 09:51:39 | 長浜

有難いことに6月半ばなのに空梅雨らしく今日も快晴。天気なら少しだけ遠出して長浜に行こうと決めておいたので車で妻と家から出発。関ヶ原町から国道バイパスに入った途端景観は徐々に初夏の緑なす伊吹山麓の風景に一変しドライブしていて気分は良好。そして2時間ばかりで昼前には目的地の駐車出来る豊公園に到着。
ここからは観光メッカの黒壁スクエアを目指し1km程歩く。先ずは道すがら長浜駅に隣接する一角にある長浜鉄道スクエアへ。私以上に鉄道に興味ない妻はつまらないからと木戸銭払わず入場しないため、特急で展示物を見る。明治初期鉄道造りに邁進し栄える長浜の様子が伺える。1882年建設の現存最古の駅舎と保存されているD51形蒸気機関車とED70形電気機関車の実物展示は懐かしい。
次にJR長浜駅へ。この駅は現在米原駅から新快速で10分前後で結ばれ便利だ。駅はブリッジ構造となっており東西を結ぶ。駅名を表すガラス細工の看板が目に留まる。そして西口には「秀吉と長浜城」、そして東口には「曳山まつり」の色彩豊かなガラス絵がエスカレーター前に設置されていてとてもお洒落。東口から霊峰伊吹山の雄姿が垣間見えた。
東口を出ると、ロータリーには秀吉と三成の出会いの像が見える。今朝車で通過した関ヶ原古戦場跡を思い起こす。さらに進み駅口交差点の信号待ちしていると向かいには昔ありそうなレトロな食堂が見える。歴史建物と思っていたら、さにあらず店の人が準備のため出てきた。調べたら中島屋食堂。明治30年創業で営業しているのか。
そして信号待ちの間太陽に輝くガラス屋根の休息所の石組みベンチに座ったが、デザインされた日除けはガラスで出来ており芸術の香りがする。通りの遥か向こうにもレトロな大きな建物。開知学校という保存されている明治初期の小学校。古い建物はタイムスリップしたみたいだが、不思議と今の街に馴染んでいる。
やっと黒壁スクエアの中心的存在の黒壁ガラス館に到着。すると何やらぽっちゃりした若い女性を撮影機器などを持つ何人かで取り巻いている。テレビ取材らしい。私は知らないが人気者らしく「あいちゃん」と通行人から掛け声がかかる。私たちもスマホ片手の高校生たちの追っかけと共にガラス館に入る。
芸能人あいちゃんのガラス細工の品定めは大きな声の明らかな関西弁。でもなぜか店員さんは岐阜方面からの私たちの言葉とイントネーションはあまり違わない。湖北は関西と中部両方から近いせいもあるので二つの言語圏の緩衝帯になっているかも知れない。
ガラス工芸品、江戸切子グラスやベネチアングラス始め女性用装身具などなど。様々なガラス製品が展示販売されている。先ほどの無関心はどこやら妻は態度が一変。次から次へと陳列場所を移動。「これとあれではどちらが良い?」と聞くので終わらせるためいい加減にこちらと返事。妻はシンプルなガラス細工の耳飾りを購入してくれた。
せっかくなので私たちは黒にこだわろう。昼の食事はガラス館と至近距離の食事・喫茶処「忠太郎」へ。目当ての黒とんかつと黒コロッケを注文。味はまずまず良かった。イカ墨の黒はスパゲティなどで経験済みだが、とんかつはどうやって黒色なのか店員さんに聞く。竹墨を使うとの説明。さらに豚肉には鹿児島県黒豚、コロッケには近江牛を使っていると言う。ここの商店街では黒カレーのレストランも見かけた。
さあ、辺りを散策しようとつれあいと先ずガラス館の隣のオルゴール館に入った。丁度彼女が孫たちに何かお土産買いたいことが重なり、30分待っても迷いに迷ってラチがあかない。仕方ないので私のみ商店街アーケードを抜け近くの曳山博物館へ。実物の曳山が陳列されており、そのタペストリーはとても見事だ。曳山には小ぶりのステージがあり毎年4月1週間に亘り開かれる祭りで子供達が歌舞伎を上演する。一度機会あれば観てみたい。起源は秀吉が男子生誕に喜び、豪勢にも町民に金を振る舞ったことから。いかにも秀吉らしいし、この曳山も豪華絢爛だ。
ようやくオルゴール館だけで1時間以上かかり買い物を終えた妻。時間がかかったのは選んだオルゴールにガラス細工物を貼り付けるという参加型の工程があったそうである。だがショッピング疲れの家内はもう歩かず菓匠禄兵衛黒壁店でお茶をいただくことに。スクエアには100店舗あるが今日はここまで。「今日は2軒しか済んでないよ!」と言うと、妻はまた別の日に来ようねと言う。[user_image 1b/c4e8081322ac52cbc9ddba726a268abce9.jpg]私だけが駐車場に戻る。途中是非寄りたかった鉄筋コンクリートで再建された長浜城(歴史博物館)に立ち寄る。5階展望台から見たかった琵琶湖の眺めはやはり絶景。
丁度竹生島へのクルーズ船が港に戻るところで絵になる景色(2時間以上かかるため今回船の利用は断念)。なお、もうすぐ皆が楽しみにしている8月の琵琶湖花火を担っているのは京都の國友銃砲火薬店。鉄砲鍛治國友のルーツは戦国時代の長浜にあると展示品から分かった。これもガラス工芸同様に素晴らしい伝統継承の一例かな。
駐車場から車で家内の待つ和菓子店横に立ち寄り帰路へ。帰りは高速道を使うことに。当然行きと比べると時間は30分ほど短縮出来た。
長浜は年間200万人訪れるそうであるが、今日は火曜日ということもありストリートには観光客は少なかったが、とても楽しく過ごせた。いろんな人のお陰かな。妻は買い物時、なんでも聞きたがる質問魔であり予定にない行動する迷い猫タイプ、それにとても根気よく対応する店員さん。疲れ休憩する家内にサービスのお茶を提供し優しく接する和菓子屋の店員さん(まあ蓬饅頭2個は買ったが)。そして私の質問に丁寧にさらっと的確に答え接客するレストランの店員さん。ガラス工芸品とは別に人と人のつながりを大切にする長浜らしさ(近江商人という言い方もあるが)を感じた1日だった。