だいぶ前に近所の公園に蓮を見に出かけたことがある。
孫を連れて「明日は9時には家を出るよ」と前日に皆に呼びかけておいたものだから、ほぼ同時刻には出発ができた。
その公園へはわが家から車で15分。
途中、静御前の平安時代の衣裳姿の銅像を見、そのまま目的の公園へ向かう。
平日だからか園内は比較的すいている。
高低のけっこう多い自然の地を利用した大型公園のため、池や川や沼や湿地が多く、自然と親しむにはうってつけの場所だと思う。
蓮は朝咲きだして、昼には萎んでしまう。
ここのは千葉市検見川の、弥生時代の遺跡から奇跡的に発芽した世界的に有名な「大賀ハス」を昭和50年にその千葉市から2本譲り受けたのがはじまり。なにせ2000年前の古代蓮の根。それが今では蓮の一大公園として訪ねる人の目を楽しませている。
紫陽花と向日葵の中間の時期に咲き、最近は市民の憩いの花となっている。
蓮の歴史を紐解くと、かなり古い時代に中国から渡来したようだ。
古事記にはもうその名が登場している。
花言葉は清らかな恋、雄弁、神聖、沈着、休養。
古代蓮の魅力はなんといっても、大型で薄いピンク色の美しさであろう。とても明るい感じで、一重咲きである。
よどんだ泥中で育っても、その泥に染まらず清らかな花を咲かせる。
秋に二歳になる孫を連れての散策であったので、蓮を見ている時間よりも、孫をみている時間のほうが長かったけれど、それはそれ。十分に楽しい一時間半であった。
そして蓮のように、苦しみの泥には染まらず、この世で美しい花を咲かせてほしいと思った。
もう5年も前の出来事ではあるけれど。
「季節の花(24) 古代蓮の魅力って」