この写真を見て、みなさんは綺麗な川だと思うでしょうか? また、この川はゲンジボタルが棲む川か、それとも棲んでない川かと聞かれたら、どう思うでしょう?

浅くて綺麗な湧き水が流れていて、護岸が緑に覆われ、土手の上には木が生え川の上を覆っているように見えます。このポイントだけを抑えるとゲンジボタルの発生にとって環境がいいところのように思えますが、実は「ホタルの棲む川」でも「ホタルが棲めない川」でもなく、「かつて、ゲンジボタルが乱舞していた川」が正解なのです。
ここが「かつてゲンジボタルが乱舞していた川」になってしまったのは、ホタルが羽化する直前に土手の除草が行われ、この写真を撮る1週間前には土手の土が露出し、しかも野焼きをして黒焦げになっていて、その上、川の中に茂っていた草も除草されてしまったことが原因と考えられます。もともとは川の中に転々と小島のようなところがあり、そこにも草が茂っていたのに、すっかり除草され、川幅も前より広がり直線的になった分、流れもいくらか早くなってしまいました。このような変化があって、今シーズンは何度調査しても2~3匹しか確認できませんでした。
この写真の場所は、200メートルほどの川岸という限られた場所に、毎年、見事なホタルの乱舞が見られる素敵な場所だったのに、訪れる人のためを思ってなのか、ホタルが発生する直前に河川整備をしたために、土中にいたサナギが土を踏み固められ、乾燥したために羽化が出来なくなったり、羽休めや、雨風を凌いだり、昼間、太陽から隠れるための茂みを奪われ、湿度を保ったり、光害を避けることも出来なくなったことで、ホタルの生息地として適しなくなってしまったのです。
ゲンジボタルが発生するための条件として、湧き水が流れていて、幼虫の餌になるカワニナがいればいいと単純に考える人たちがたくさんいます。しかし、現実には、水だけでみても、水質や水量、水深、水速、水温などが適していなければいれれけないし、護岸には繁殖や羽休めに必要な植物が茂っていること、光害や雨風を避けるために川岸が木で覆われていること、気温や湿度が保たれていること、卵を産むために必要な苔が茂っていて、サナギになるために必要な土手があることが必要で、その上に、幼虫の餌になるカワニナが繁殖できる条件を踏まえていて、尚且つ、ゲンジボタルの天敵の繁殖を妨げる条件を踏まえてないといけないのです。
自然の生物は、このような条件を自然に満たしている場所に生息しているわけで、このような条件が少しでも乱れれば適応できなくなります。このようなバランスは人が簡単に整えることが出来るものではないし、もしも、このような条件を一時的に整えられたとしても継続的に維持することは、自然の一部である人間に簡単に出来ることではないのです。
こことは別なホタルの自生地として知られていた場所でも、幼虫が上陸する前に川底さらいをして、コンクリート護岸に生えた苔を見てくれが悪いからと言って取り除いてしまったことにより、ホタルが全く見られなくなってしまったところがあります。ホタルの生態を知らずに活動したばかりに、全てが裏目に出てしまったわけです。このように見た目重視や、単なる思い付きの活動が自然の生物に与える影響は計り知れないのです。
人が出来ることは、自然を静かに見守ること、汚さないこと、壊さないことです。
人が自然を都合よく利用しようとすると、せっかく整っていた条件を乱すことになり、この写真のように、ただ水が流れているだけの川になってしまうのです。
以前、ここで初めてホタルの乱舞を見た人が、「まるで、ジブリアニメの「火垂るの墓」の光景みたいだ」と言ったことがありました。そのような素晴らしい光景をこの川で観ることは、もう叶わないのでしょうか?
「ホタルは人を楽しませるために光っているのではありません。身を守るため、命を未来に繋ぐために必死に光っているのです。だから、人のために都合よく利用することばかり考えずに、そっと見守る気持ちを忘れないでください。」

浅くて綺麗な湧き水が流れていて、護岸が緑に覆われ、土手の上には木が生え川の上を覆っているように見えます。このポイントだけを抑えるとゲンジボタルの発生にとって環境がいいところのように思えますが、実は「ホタルの棲む川」でも「ホタルが棲めない川」でもなく、「かつて、ゲンジボタルが乱舞していた川」が正解なのです。
ここが「かつてゲンジボタルが乱舞していた川」になってしまったのは、ホタルが羽化する直前に土手の除草が行われ、この写真を撮る1週間前には土手の土が露出し、しかも野焼きをして黒焦げになっていて、その上、川の中に茂っていた草も除草されてしまったことが原因と考えられます。もともとは川の中に転々と小島のようなところがあり、そこにも草が茂っていたのに、すっかり除草され、川幅も前より広がり直線的になった分、流れもいくらか早くなってしまいました。このような変化があって、今シーズンは何度調査しても2~3匹しか確認できませんでした。
この写真の場所は、200メートルほどの川岸という限られた場所に、毎年、見事なホタルの乱舞が見られる素敵な場所だったのに、訪れる人のためを思ってなのか、ホタルが発生する直前に河川整備をしたために、土中にいたサナギが土を踏み固められ、乾燥したために羽化が出来なくなったり、羽休めや、雨風を凌いだり、昼間、太陽から隠れるための茂みを奪われ、湿度を保ったり、光害を避けることも出来なくなったことで、ホタルの生息地として適しなくなってしまったのです。
ゲンジボタルが発生するための条件として、湧き水が流れていて、幼虫の餌になるカワニナがいればいいと単純に考える人たちがたくさんいます。しかし、現実には、水だけでみても、水質や水量、水深、水速、水温などが適していなければいれれけないし、護岸には繁殖や羽休めに必要な植物が茂っていること、光害や雨風を避けるために川岸が木で覆われていること、気温や湿度が保たれていること、卵を産むために必要な苔が茂っていて、サナギになるために必要な土手があることが必要で、その上に、幼虫の餌になるカワニナが繁殖できる条件を踏まえていて、尚且つ、ゲンジボタルの天敵の繁殖を妨げる条件を踏まえてないといけないのです。
自然の生物は、このような条件を自然に満たしている場所に生息しているわけで、このような条件が少しでも乱れれば適応できなくなります。このようなバランスは人が簡単に整えることが出来るものではないし、もしも、このような条件を一時的に整えられたとしても継続的に維持することは、自然の一部である人間に簡単に出来ることではないのです。
こことは別なホタルの自生地として知られていた場所でも、幼虫が上陸する前に川底さらいをして、コンクリート護岸に生えた苔を見てくれが悪いからと言って取り除いてしまったことにより、ホタルが全く見られなくなってしまったところがあります。ホタルの生態を知らずに活動したばかりに、全てが裏目に出てしまったわけです。このように見た目重視や、単なる思い付きの活動が自然の生物に与える影響は計り知れないのです。
人が出来ることは、自然を静かに見守ること、汚さないこと、壊さないことです。
人が自然を都合よく利用しようとすると、せっかく整っていた条件を乱すことになり、この写真のように、ただ水が流れているだけの川になってしまうのです。
以前、ここで初めてホタルの乱舞を見た人が、「まるで、ジブリアニメの「火垂るの墓」の光景みたいだ」と言ったことがありました。そのような素晴らしい光景をこの川で観ることは、もう叶わないのでしょうか?
「ホタルは人を楽しませるために光っているのではありません。身を守るため、命を未来に繋ぐために必死に光っているのです。だから、人のために都合よく利用することばかり考えずに、そっと見守る気持ちを忘れないでください。」
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます